コラム

ブランディング動画とは?12の事例からわかるブランディングの成功条件

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TMS編集部

「ブランディング動画とはどんなもの?イメージがわかないので事例を見たい」
「ブランディングに取り組んでいるが、なかなか結果が出ない」

このような課題を抱えている企業担当者の方は多いでしょう。

ブランディング動画は、企業の理念や世界観を映像で伝え、視聴者の共感を得ることで長期的なファンを育てる手法です。

近年はブランディング動画の公開もトレンドですが、構成のたて方や作り方自体がわからない方もいるでしょう。

この記事では、ブランディング動画の基本知識から制作方法、12の成功事例まで詳しく解説します。

最後まで読めば、自社に最適なブランディング動画の方向性が明確になり、効果的な動画制作を進められるはずです。

目次

1.ブランディング動画とは

ブランディング動画は、企業の価値や世界観を映像で伝え、視聴者との長期的な関係を築くための重要なツールです。

まずはブランディング動画の概要を解説します。

ブランディング動画とは

  1. ブランディング動画の定義
  2. プロモーション動画や商品紹介動画との違い

(1)ブランディング動画の定義

ブランディング動画とは、企業や製品のブランドイメージを構築し、向上させることを目的として制作される映像です。

伝えたいメッセージや想いを映像で表現することで視聴者の心を動かし、最終的には企業や製品のファンになってもらうことが目的です。

動画の大きな特徴は、静止画よりも表現できる情報量が圧倒的に多いという点にあり、企業が伝えたい企業像と、顧客が思い描く企業像との乖離を防げます。

会社が目指す未来をビジュアル化したり、会社が提供している社会的な価値をテーマにするなど、さまざまな切り口でブランディングを訴求できます。

(2)プロモーション動画や商品紹介動画との違い

ブランディング動画とプロモーション動画の最も大きな違いは、その目的にあります。

プロモーション動画の目的は製品やサービスの販売促進であり、購入や問い合わせといった即効的な行動を促すことに焦点を当てています。

一方で、ブランディング動画の目的は、企業や製品のブランドの付加価値を高めることです。

つまり、プロモーション動画が「今すぐ買ってもらう」ための行動喚起を担うのに対し、ブランディング動画は「長く愛してもらう」ための関係構築がミッションです。

この2つの違いをしっかり理解したうえで、ブランディング動画をつくっていきましょう。

2.ブランディング動画のメリット

ブランディング動画は、企業の認知拡大から採用活動まで、幅広い効果をもたらす重要な施策です。

ここでは、ブランディング動画を活用することで得られる5つのメリットを紹介します。

ブランディング動画のメリット

  1. 自社の取り組みに関する認知を拡大できる
  2. 採用活動やBtoB開拓など幅広い用途に利用できる
  3. 共感を呼び広い拡散効果を生み出す
  4. 競合他社との差別化に役立つ
  5. ユーザーの購入動機を生み出せる

(1)自社の取り組みに関する認知を拡大できる

ブランディング動画は、企業の社会貢献活動や理念を効果的に伝えるツールとして機能します。

通常、企業ホームページに掲載された取り組み情報は、株主や一部の関係者しか詳しく閲覧しませんが、動画にしてYouTubeやSNSで配信すれば、より多くの人々に情報を届ることが可能です。

加えて、動画というフォーマットは視覚と聴覚の両方に訴えるため、テキストよりも記憶に残りやすいという特徴があります。

環境保護活動や地域貢献、SDGsへの取り組みなど、企業の事業以外の活動は一般的に関心を持たれにくい分野です。

しかし、動画として露出することで「こんなことに取り組んでいる企業なんだ」という新たな気づきを視聴者に与えられます。

その結果、企業への好感度が高まり、ブランドイメージの向上につながるでしょう。

(2)採用活動やBtoB開拓など幅広い用途に利用できる

ブランディング動画は、企業の理念や価値観を伝えることで、間接的に様々なビジネス機会を生み出します。

採用活動においては、企業理念や文化を動画で発信することで、それに共感した質の高い求職者からの応募が増加します。

単なる福利厚生や給与条件ではなく、「この会社の価値観に共感した」という理由で応募する人材は、入社後のミスマッチも少なくなるでしょう。

また、BtoB領域ではブランディング動画によって企業の信頼性や専門性が認知されることで、協業の提案や新規取引の問い合わせにつながります。

例えば、環境への取り組みを発信する動画を見た企業から「一緒にサステナブルなプロジェクトをやりませんか」といった協業の話が舞い込むケースがあるかもしれません。

1度動画を制作すれば長期間にわたって使用でき、企業イメージの向上を通じて多様なビジネスチャンスを創出できる点が、ブランディング動画の大きな強みといえるでしょう。

(3)共感を呼び広い拡散効果を生み出す

ブランディング動画は、視聴者の感情に訴えかける内容が多く、自然な拡散が期待できます。

感動的なストーリーや共感できるメッセージを含む動画は、視聴者が友人や家族にシェアしたくなるものです。

特にSNSでは、ユーザーが自発的にコンテンツを広めてくれるため、広告費をかけずに多くの人々の目に触れる機会が増えるでしょう。

視聴者が動画に対して抱く好感や共感は、SNSを通じて瞬時に広がっていきます。

例えば、企業の創業ストーリーや社会貢献活動を描いた動画が話題になれば、ブランドの認知やイメージが自然に浸透していくのです。

結果として、動画の拡散が潜在顧客へのリーチを広げ、最終的には購買行動につながり、売上アップに貢献するという好循環が生まれます。

(4)競合他社との差別化に役立つ

現代市場では類似商品やサービスが溢れており、機能や価格だけでの差別化が困難になっています。

しかし、ブランディング動画を活用すれば、商品スペックを超えた企業独自の価値を伝えることが可能です。

例えば、創業時の苦労や挑戦、独自の技術開発ストーリー、社員が大切にしている価値観など、「この企業だけの物語」を映像で表現できます。

これらのストーリーは競合が簡単に模倣できない、企業独自の資産となります。

また、動画を通じて企業の人間性や温かみを伝えることで、視聴者は「この会社から買いたい」という感情を抱くようになります。

実際に、同じような商品を扱う複数の企業があったとしても、ブランディング動画で共感を得た企業が選ばれることはよくあるものです。

このように、機能や価格といった理性的な判断基準ではなく、感情的なつながりによる差別化を実現できる点が、ブランディング動画の大きな強みといえます。

(5)ユーザーの購入動機を生み出せる

ECサイトやオンラインショッピングが普及した現代において、消費者の購買行動は大きく変化しています。

商品を実際に手に取れないオンライン環境では、「このブランドなら信頼できる」という安心感が、価格や機能性よりも重要な判断基準となっているからです。

従来の広告動画は商品の特徴やメリットを直接的に訴求するため、視聴者に押し付けがましい印象を与えることがありました。

一方、ブランディング動画は企業の理念や価値観を伝えることに重点を置いているため、視聴者が自然に情報を受け入れやすくなります。

ブランディング動画は即座の購買を促すものではありませんが、視聴者の記憶に残り続けることで、購買検討時に「あの動画を見た企業の商品を買おう」という動機づけになるのです。

このように、直接的な売り込みではなく、連鎖的に「このブランドだから買いたい」と思わせる役割を果たす点が、ブランディング動画の本質的な価値といえるでしょう。

3.ブランディング動画の表現パターン

ブランディング動画には、企業の理念や世界観を効果的に伝えるための様々な表現手法があります。

企業が大切にしている価値観や、視聴者に感じてほしいブランドイメージに合わせて、最適な表現方法を選択するのがポイントです。

ブランディング動画の表現パターン

  1. ストーリーテリング
  2. インタビュー・ドキュメンタリー
  3. ビジュアルや抽象的な表現
  4. インナーブランディング
  5. アニメーションやモーショングラフィック

(1)ストーリーテリング

ストーリーテリングとは、企業の理念や価値観を物語形式で伝えることで、視聴者の共感を引き出す表現手法です。

人間は物語を通じて情報を受け取ることで、感情移入しやすく、記憶にも残りやすいです。

そのため、企業が大切にしている想いや、ブランドが生まれた背景を物語として描くことで、視聴者の心に深く響く効果を生み出します。

例えば、創業者がどのような社会課題に向き合い、どんな想いで事業を始めたのかを描くストーリーは、企業の存在意義を伝えます。

また、顧客との出会いが企業の方向性を変えた瞬間や、困難を乗り越えた経験など、人間味のあるエピソードを通じて企業の姿勢を示すことも効果的な手法です。

こうした物語は視聴者の感情に訴えかけ、「この企業は何を大切にしているのか」という本質的な理解を促し、結単なる情報提供を超えた、深い共感と信頼関係を視聴者との間に構築します。

(2)インタビュー・ドキュメンタリー

インタビューやドキュメンタリー形式は、企業の真摯な姿勢や人間性をリアルに伝える表現手法です。

社長や社員が自分の言葉で企業への想いを語ることで、企業理念が単なるスローガンではなく、実際に働く人々の信念となっていることを伝えられます。

演出を抑えた撮影スタイルは、視聴者に「本物の企業文化」を感じさせ、ブランドへの信頼感を醸成するでしょう。

例えば、職人が黙々と作業に打ち込む姿や、チームが真剣に議論する様子を通じて、企業の「誠実さ」や「品質へのこだわり」という価値観が自然と伝わります。

視聴者は企業の飾らない姿に触れることで、ブランドの本質を理解し、深い信頼を寄せるようになるでしょう。

(3)ビジュアルや抽象的な表現

ビジュアル重視の抽象的な表現は、言葉では伝えきれないブランドの世界観を感覚的に伝える手法です。

商品の機能説明ではなく、映像美や音楽、色彩、光の演出などを駆使して、「このブランドが体現する価値」を視覚化します。

例えば、ラグジュアリーブランドの動画では、美しい風景や洗練された空間を映すことで「上質さ」や「洗練」というブランド価値を表現します。

また、環境配慮を重視する企業であれば、自然の映像や循環をイメージさせる映像を用いて「サステナビリティ」という価値観を演出することもあるでしょう。

ただし、抽象的すぎると何を伝えたいのか分からなくなるため、企業が大切にするコアとなる価値は明確にしておくことが重要です。

視覚的な美しさとブランドメッセージのバランスを取ることで、視聴者の記憶に深く刻まれるブランディング動画が完成します。

(4)インナーブランディング

インナーブランディングとは、企業の理念や価値観を社内の従業員に伝え、共感の輪を広げることを目的とした表現手法です。

従業員が企業のビジョンや文化を深く理解し、共感することで、全員が同じ方向を向いて働く組織文化が生まれます。

例えば、創業時の想いや、これまで大切にしてきた価値観を振り返る動画によって帰属意識を高めることも可能です。

このようなインナーブランディングにより従業員一人ひとりがブランドの担い手として誇りを持ち、社外に対しても一貫したブランドイメージを発信できるようになるでしょう。

(5)アニメーションやモーショングラフィック

アニメーションやモーショングラフィックは、抽象的な企業理念や未来のビジョンを視覚化する表現手法です。

実写では表現しにくい「革新」「挑戦」「つながり」といった概念的な価値観を、自由な映像表現で伝えることができます。

また、独自のキャラクターやビジュアルスタイルを用いることで、ブランドの個性や親しみやすさを演出することも可能です。

例えば、人々がつながる様子をアニメーションで表現することで「コミュニティ」という価値観を示したり、未来の社会をイメージ映像で描くことで「ビジョン」を視覚化したりできるでしょう。

さらに、温かみのある手描きアニメーションで「人間らしさ」を、シンプルなグラフィックで「洗練」を表現するなど、スタイルによってブランドの個性を際立たせることも可能です。

このように、アニメーションは企業の抽象的な価値観を具体的なイメージとして視聴者に届ける、表現力の高い手法なのです。

4.ブランディング動画の事例12選

ここでは、実際に企業が制作したブランディング動画の成功事例を12個紹介します。

ブランディング動画の定義が曖昧であったり、どんな構成の動画を作れば良いかわからない方は、ぜひ参考にしてください。

ブランディング動画の事例12選

  1. 日本郵船株式会社
  2. 株式会社ジェイテック
  3. DENSO
  4. Ameba
  5. JR九州
  6. 株式会社シマノ
  7. SUUMO
  8. デロイトトーマツグループ
  9. 星のや東京
  10. POLA
  11. 森ビル
  12. インフォマート

(1)日本郵船株式会社

日本郵船株式会社のブランディング動画は、感動的なドラマ仕立ての構成が特徴です。

海運業という一見「船を使って荷物を運ぶだけ」と思われがちな仕事を、人間ドラマとして描くことで視聴者を引き込んでいます。

視聴者と同じように普通の暮らしを送る人々を多く登場させ、その生活に使われている日用品や食べ物が「海の向こうから運ばれてきたものだった」ということをナレーションで最後に印象的に伝える構成です。

日本郵船が単なる海運業という枠を超えて、人々の暮らしを支えていることを伝える感動的なブランディング動画です。

(2)株式会社ジェイテック

株式会社ジェイテックのブランディング動画は、製造業の現場をリアルに伝える動画となっています。

技術者たちの仕事への真摯な取り組みの様子を映し出しながら、テロップでジェイテックの理念を解説する作りとなっています。

守りたいもの、こだわりを追求するために信念を持って働いている会社であることが伝わる動画です。

(3)DENSO

DENSOのブランディング動画は、自動車メーカーとして実現したいことを伝えるブランディングムービーになっています。

「この世界はまだ、できてないことだらけだ」という印象的なセリフを効果的に使い、DENSOが今できていないことを「できる」に変えられる会社という印象を作り出す動画です。

軽快なBGMと共に映像が切り替わるテンポの良い動画で、先進的な企業のイメージを強く打ち出したブランディング動画の事例といえるでしょう。

(4)Ameba

Amebaのブランディング動画「つくる、つむぐ、つづく、」をキャッチコピーとして作られています。

動画内にはBGM以外の音声や字幕は一切なく、ただ人々が笑顔で暮らしている様子を映し出しています。

1つ1つのシーンにはヒモのようなエフェクトを加えて、それが人々の暮らしを「つないでいる様子」を表現。

動画全体の雰囲気が暖かいことから、Amebaが目指すブランディングが雰囲気で伝わってきます。

サービスの機能や会社の理念についての言及は一切ありませんが、不思議と印象に残るブランディング動画といえます。

(5)JR九州

JR九州のブランディング動画は、「九州の元気を、世界へ」をテーマに作られており、九州の魅力を詰め込んだ動画となっています。

女子高生が電車に乗りながら窓の外を眺める様子を映し出し、その後は九州の「元気な人々」が次々と映し出されます。

九州のなんでもない商店街の様子、美しい森や老夫婦など、田舎を持つ人なら誰もが「懐かしい」と感じるカットをつないだ作りは、九州出身でなくても懐かしいと感じるものです。

単なる交通機関としてではなく、その地域の元気を支える存在としての役割を示しているような動画になっています。

(6)株式会社シマノ

株式会社シマノのブランディング動画は、これまでのヒストリーを動画でまとめてた重厚感がある動画です。

釣具メーカーのイメージが強いシマノですが、羽島ありは「島野鐵工所」として機械の修繕、フリーホイールの開発が元祖。

その部品の質の良さが評価されて自転車部品、釣具の製造などアウトドアメーカーとして成長していく過程をまとめています。

動画では最新技術を駆使したシマノの工場、そしてグローバル社員の姿も映し出され、卓越した技術をもった国際的な企業としての存在感をアピールする作りになっています。

(7)SUUMO

SUUMOはテレビCMでブランディング動画を放映、それが「泣ける」として話題になりました。

SUUMOは賃貸仲介サービスを提供していますが、動画はサービスの宣伝ではなく一人の女性が引っ越しを前に、今までの思い出を振り返る作りになっています。

最後に部屋にお礼を言って旅立つ様子が映し出され、家は思い出を紡ぎ、そして引っ越しは新しい生活への門出であることを感動的に演出しています。

多くの視聴者が涙を流すほどの感動を与え、SUUMOというブランドへの好感度を高めることに貢献しています。

(8)デロイトトーマツグループ

デロイトトーマツは、自社の多様な事業領域を紹介するブランディング動画を公開しています。

動画では「税務」「IT」など、様々な専門分野がテキストで表示され、その後に「進化の連続」「次の革命」などのキャッチコピーが続く構成になっています。

一見わかりにくいコンサルティング業務を、言葉と映像で直感的に理解させる工夫がされており、「デロイトトーマツがどんな意識で仕事に取り組んでいるのか」を伝える内容です。

登場人物には日本人だけでなく海外のメンバーも含まれており、グローバルに活躍する企業であることを自然に印象づけています。

すでに知名度の高い企業でありながら、改めて何をしている会社なのかを視覚的に伝え、同時に「かっこよさ」や「誇り」を感じさせるブランディングに成功しています。

(9)星のや東京

星のや東京は、日本旅館をコンセプトにしたブランディングムービーを公開しています。

映像では、日本の魅力を感じさせるシーンが随所に挿入され、畳や障子、自然の光などが織りなす和の空気感が丁寧に描かれています。

居室の様子や、宿泊中に体験できるアクティビティ、リラクゼーションのシーンが落ち着いたBGMとともに流れ、ここでゆったりとした時間が過ごせそうと感じさせる構成になっています。

東京という大都会にありながら、静寂と温もりを兼ね備えた空間としての魅力を強調し、星のやブランドが持つ上質で特別な世界観を見事に表現しています。

(10)POLA

POLAのブランディング動画は、「あなたの今日にタイトルをつけるとしたら、どんな一日ですか?」という問いかけから始まります。

この導入により、視聴者が自分の一日を振り返りながら、自分ごととして動画に引き込まれる構成になっています。

最初は化粧品ブランドの動画と気づかないほど自然な始まりですが、やがてPOLAの店舗でメイクやエステを受ける女性の姿が映し出され、日常の中にある特別な時間を描いていきます。

冒頭の問いに再び触れながら、「意識すれば、なんでもない一日が特別な日に変わる」というメッセージを提示。

後半では、POLAが一人ひとりの1日を特別にするために取り組んでいる活動やサービスを紹介し、ブランドのミッションである「日常を特別にする存在」であることを印象づけています。

(11)森ビル

森ビルのブランディング動画は、都市開発企業として未来の街づくりへのビジョンを描いています。

単なる不動産デベロッパーではなく、人々の暮らしや働き方、文化を創造する存在としてのブランドイメージを確立しています。

建物や街並みの美しい映像に加え、そこで生まれるコミュニティや文化の様子を丁寧に描き出すことで、森ビルの事業が社会に与える意義を伝えています。

非常に抽象的ながらも、全体を通してカッコよくスタイリッシュな印象を残し、未来志向のブランドとして強い印象を与える動画です。

(12)インフォマート

インフォマートのブランディング動画は、アニメーションを活用した作品です。

映像自体には宣伝的な要素がなく、ナレーションでインフォマートが「デジタルの力で生活を変える」というミッションを語る構成になっています。

アニメーションでは、デジタルの輪が世界中に広がり、人と人、企業と社会がつながっていく様子が描かれています。

全体として宣伝臭がなく自然に視聴でき、見終わる頃にはインフォマートが目指す「デジタルで社会を豊かにする」姿勢がしっかりと伝わる仕上がりです。

5.事例から見るブランディング動画の成功条件

これまで紹介した事例から、ブランディング動画を成功させるための共通する条件が見えてきます。

事例から見るブランディング動画の成功条件

  1. コアメッセージを一貫させる
  2. 映像美や音響設定に気を配る
  3. 冒頭3〜5秒で世界観を表現・問いかけを入れる
  4. ターゲット視点での共感ポイントを入れる
  5. 社員の顔を見せるなど「人間味」を出す

(1)コアメッセージを一貫させる

ブランディング動画を制作する際、最も重要なのは「誰に」「何を」届けたいのかを明確にすることです。

伝えたい要素を欲張り過ぎると、結局何の動画か分からなくなってしまいます。

例えば、SUUMOの事例では「新しい生活への一歩を応援する」というメッセージが一貫しており、視聴者に明確に伝わっていました。

このように筋の通った世界観を設定し、構成・撮影・編集のすべてをその軸に沿って設計しましょう。

(2)映像美や音響設定に気を配る

ブランディング動画において、映像と音響のクオリティは非常に重要です。

高品質な映像は、ブランドの専門性や信頼性を視覚的に伝えるうえで欠かせません。

高精細映像や適切な照明、安定したカメラワークなど、基本的な技術面を押さえるだけでなく、ブランドの世界観を反映した「映像美」も追求しましょう。

さらに、聴覚情報は50%を占めると言われているほど重要な役割をもつため、BGMは企画段階で決定しておくのがおすすめです。

視覚・聴覚双方で訴えかけるブランディングムービーを目指しましょう。

(3)冒頭3〜5秒で世界観を表現・問いかけを入れる

動画の冒頭は、視聴者の興味を引き、最後まで見てもらうための重要な要素です。

特にSNSやYouTubeなどでは、最初の数秒で視聴を継続するかどうかが決まります。

そのため、冒頭3〜5秒で動画の世界観を表現し、視聴者の関心を掴むことが不可欠です。

冒頭に問いかけを入れることで、視聴者の興味を引き、「この先どうなるのだろう」と期待させる構成を目指しましょう。

(4)ターゲット視点での共感ポイントを入れる

ブランディング動画では、ターゲットの共感を得ることが重要です。

対象とする視聴者の興味関心や好みを考慮し、感情に訴える要素を盛り込むことで視聴者とのつながりを強化できます。

例えば、「この企業は自分のことを分かってくれている」と感じてもらえるカット、キャッチコピーを入れるのが理想です。

共感・驚き・感動といった感情の起伏を意識した脚本を用意すると、視聴後の印象が格段に高まります。

(5)社員の顔を見せるなど「人間味」を出す

ブランディング動画において、企業の「人間味」を伝えることは非常に重要です。

社員の顔を映し、実際に働いている様子やインタビューを盛り込むことで、視聴者は企業を身近に感じることができます。

無機質な企業イメージではなく、「そこで働く人々の顔が見える」ことで、視聴者は企業に対して親近感を抱きやすくなります。

そのため、人間味を出すことで、企業のブランド価値を高めることができるでしょう。

6.ブランディング動画の作り方

ブランディング動画を効果的に制作するためには、適切な手順とポイントを押さえることが重要です。

ここでは、ブランディング動画の制作プロセスを7つのステップに分けて解説します。

ブランディング動画の作り方

  1. ブランディングの見直し
  2. 目的とターゲットを定める
  3. コアメッセージを決めストーリーを作る
  4. 制作会社を選定する
  5. 表現手法を選ぶ
  6. 初稿の確認・修正
  7. ブランディング動画の配信

(1)ブランディングの見直し

ブランディング動画を制作する前に、ブランディング自体を見直しましょう。

そもそもブランディングとは、売り込みのための活動ではなく、企業や商品・サービスの価値を顧客や社会全体に認識させ、競合と差別化を図るための戦略的な取り組みを指します。

改めて消費者に自社名を伝えた際に何を想起して欲しいのかを考えてみましょう。

この段階でブランディングをしっかりできていれば、動画制作の方向性も明確になるので、時間をかけて考えるのがおすすめです。

(2)目的とターゲットを定める

動画の制作に取り組む前に、明確な目的とターゲットを定義しましょう。

目的を明確にすることで、制作過程で方向性を失わず、効果的な動画を制作できます。

また、誰に向けて動画を制作するのかも事前に決めておくことで、動画のトーンや内容を決めるのに役立ちます。

ターゲットによって、動画のトーンや内容、配信する媒体が変わってくるため、この段階で明確にしておきましょう。

(3)コアメッセージを決めストーリーを作る

次に、コアメッセージを決めましょう。

コアメッセージとはブランディング動画で伝えたいメッセージのことで、まずは荒くて良いので簡単にまとめておきます。

文字にまとめるのが難しければ、まずは思いの丈をすべて書き出して、そこから文章にすると書きやすいです。

コアメッセージはブランディング動画の柱となり、これを決めておけば大きく内容がブレることはありません。

メッセージに沿ってストーリーを決めることで、一貫した内容の動画を制作できるでしょう。

(4)制作会社を選定する

次に制作会社を選定します。

ブランディング動画は企業の顔とも言える動画になるので、クオリティが非常に重要です。

そのため、自社制作ではなく映像制作のプロにここまで決めたコンセプトを渡して、動画を制作してもらいましょう。

制作会社を選定する際は、過去の制作実績や得意分野を確認し、自社のイメージに合う会社を選ぶことが重要です。

制作会社との打ち合わせでは、目的やターゲット、コアメッセージを明確に伝えて最も納得できる提案ができる企業を選びましょう。

ブランディング動画の制作が得意な会社は、こちらの記事で紹介しています。

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(5)表現手法を選ぶ

制作会社の選定が完了したら、打ち合わせで表現方法について話し合います。

ブランディング動画の表現手法は主に以下の5つです。

表現手法

  • ストーリーテリング
  • インタビュー・ドキュメンタリー
  • ビジュアルや抽象的な表現
  • インナーブランディング
  • アニメーションやモーショングラフィック

それぞれの表現手法に特徴、伝わりやすいメッセージがあるので、制作会社にもアドバイスを受けながらコアメッセージが伝わりやすい表現手法を選びましょう。

例えば、自社の固いイメージを払拭して親近感を生み出したいならアニメーション、人間味を出したいならインタビューやドキュメンタリー形式がおすすめです。

(6)初稿の確認・修正

制作会社から初稿が上がってきたら、社内で確認し、フィードバックを行います。

全体の流れやメッセージが意図通りに伝わっているか、ターゲットに響く内容になっているかを重点的にチェックしましょう。

また、複数の社内関係者に見てもらい、様々な視点からの意見を集めると多角的な意見が生まれます。

制作会社とのコミュニケーションを密に取り、お互いの認識をすり合わせながら、ブラッシュアップを進めていきます。

(7)ブランディング動画の配信

動画が完成したら、適切な媒体で動画を配信します。

自社のWebサイトやYouTubeチャンネル、SNS、展示会やイベント、営業資料など、さまざまな場所で活用しましょう。

また、動画の効果測定も継続します。

再生回数や視聴継続率、エンゲージメント率などの指標を定期的にチェックし、動画の効果を検証することで、次回の動画制作に活かしましょう。

まとめ

ブランディング動画は、企業の理念や世界観を映像で伝え、視聴者の共感を得ることで長期的なファンを育てる効果的な手法です。

効果的なブランディング動画を制作するためには、コアメッセージを一貫させること、映像美や音響にこだわること、冒頭で視聴者の興味を引くこと、ターゲットの共感を得ること、そして人間味を出すことが重要です。

ブランディング動画は集客や採用にもかかわる企業の根幹メッセージを伝えるものなので、予算をかけても外注がおすすめです。

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