コラム

CRMツール・システムの導入費用は?提供形態ごとに相場や費用内訳を解説

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TMS編集部

「CRMツールやシステムを導入したいが、導入費用の相場は?」
「CRMツール・システムは提供形態によっても費用相場が異なるの?」
「どの提供形態のツール・システムを導入すべきか分からない」

企業の経営者やマーケティング・販促部門の担当者の中には、このような疑問やお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

CRMは顧客関係管理とも呼ばれる概念で、顧客情報を管理・分析するツールやシステムを指すこともあります。

CRMツールやシステムを導入することで、業務の効率化や収益の拡大などが期待できますが、様々なツール・システムが提供されており、費用体系も複雑です。

本記事では、CRMツール・システムの費用について、提供形態別に相場をご紹介します。

また、それぞれの費用の内訳や相場についても解説しますので、導入を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

1.提供形態別・導入費用の相場

CRMツール・システムには、その機能の提供形態によって、以下の分類があります。

CRMツール・システムの提供形態

  1. クラウド型
  2. オンプレミス型
  3. 独自開発

それぞれの特徴や費用相場について、具体的にご説明します。

(1)クラウド型

クラウド型はSaaS型とも呼ばれ、ベンダーが提供するサービスにインターネット上で接続して利用する方法です。

そのため、インターネット環境が整っていれば、どこからでも接続して利用できるため、テレワークなどに最適な提供形態と言えます。

導入費用としては無料~10万円程度の場合が多いです。

また、システムのセキュリティ対策はベンダー側で行うため、保守費用がかからず、保守作業を行う必要がないことも安心して利用できるポイントと言えるでしょう。

初期費用が低額に抑えられることが大きなメリットですが、後述するように月額利用料などのランニングコストが別途かかります。

また、利用できる機能はベンダーが提供するものに限られるため、拡張性や機能のカスタマイズ性という観点からは、後述するオンプレミス型の方が優れています。

(2)オンプレミス型

オンプレミス型は、自社のサーバーに製品をインストールすることで利用する方法です。

製品の購入費用がかかり、そのほかにもサーバー維持費や保守管理費用などのコストがかかるため、導入の費用相場は全体の費用を含めると50万円~200万円です。

自社のインターネット環境にシステムを設置、運用するため、機能のカスタマイズ性が高いことがメリットとして挙げられます。

そのため、自社の業務フローに最適な機能を自由に拡張・追加することができます。

一方、自社サーバーにシステムを設置するため、セキュリティ対策を自社で行う必要があり、導入後は定期的に保守作業と保守費用のコストがかかることに注意が必要です。

自社内にメンテナンスや障害対応を行える人員が確保できる場合にはおすすめですが、そのような専門知識を有する人員がいないときは外注に頼らざるを得ず、外注費などの追加の費用負担が発生する可能性があることも押さえておきましょう。

(3)独自開発

自社の業務フローや導入目的に合わせてツール・システムを1から構築する方法も考えられます。

主に自社で開発を行う場合と開発を外注する場合が考えられ、200万円~500万円が費用相場です。

既存の製品やサービスにはない独自の機能を持たせられることが大きなメリットで、余分な機能を排することで運用の費用対効果を高められる可能性があります。

もっとも、開発を行う際には開発期間が長期にわたり、費用コストが高くなる傾向があります。

また、社内方針の変更に伴う業務フローの見直しなどの変更が生じた場合には、システムの要件定義に遡ってスケジュールを組み直さなければならず、その分だけ開発が遅れてしまう可能性もあります。

そのため、すぐにツール・システムを導入したい場合にはおすすめできません。

なお、CRMツール・システムを独自開発する際の手順や注意点などについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

2024.05.30

CRMを自社で開発することはできる?開発手順や注意点を解説

2.クラウド型の費用内訳

クラウド型のCRMツール・システムには、初期費用のほかにも、月額費用がかかります。

また、機能の追加などによっては、オプション費用が別途生じる場合もあります。

クラウド型のCRMツール・サービスの主な費用内訳は、以下の通りです。

クラウド型CRMツール・システムの費用内訳

  • 初期費用
  • 月額費用
  • オプション費用

それぞれの費用内訳についても、費用相場をご紹介します。

(1)初期費用

先ほども述べたように、クラウド型のCRMツール・システムには導入の際に初期費用がかかり、その相場は無料~10万円程度の場合がほとんどです。

初期費用の中に含まれる費用項目としては、導入企業のインターネット環境の調査費用やプラン構成費用、システム導入費用などです。

クラウド型のサービスでは、インターネット環境からベンダーの提供するサービスに接続することで利用ができるため、サーバーなどの機材を事前に用意する手間もかかりません。

そのため、初期費用は比較的安価であり、ベンダーによっては無料としている場合もあります。

(2)月額費用

初期費用が低く抑えられる一方で、月額費用がランニングコストとして発生します。

基本的に1アカウントごとに月額使用料が設定されており、1アカウントにつき500円~1,000円が相場となります。

そのため、アカウント数が増えるごとに月額費用が高額になります。

もっとも、ベンダーや提供されるプランによっては、一定のユーザー数までであれば1アカウントの月額使用料が適用される場合もあります。

また、単年契約ではなく、複数年契約をすることで価格を低額に抑えられるようなプランを導入しているベンダーもあります。

導入を検討する際には、月額費用の負担やプランについてあらかじめ確認しておくことがおすすめです。

(3)オプション費用

オプション費用は、利用できる機能の追加を行った場合の費用やサポート費用などがこれにあたります。

サポート費用はツールの使用方法に関する問い合わせやトラブル対応に対して発生する費用です。

どのような機能が追加で利用できるか、サポート内容はどのようなものか、はサービスによって異なるため、明確な費用相場は設定されていない場合が多いです。

そのため、オプション費用がかかる条件や費用については、事前に確認することが重要です。

導入を検討する際には、必ず見積もりをとった上で、オプション費用についても問い合わせておくことがおすすめです。

3.オンプレミス型の費用内訳

オンプレミス型のCRMツール・システムは、製品を購入して自社サーバーにインストールすることで利用が可能です。

そのため、クラウド型のサービスとは異なり、買取型のシステムであることから、クラウド型とは費用体系が大きく異なります。

具体的には、以下のような費用内訳となっています。

オンプレミス型CRMツール・システムの費用内訳

  • パッケージ費用
  • ライセンス費用
  • サーバー費用
  • 保守管理費用

それぞれについて見ていきましょう。

(1)パッケージ費用

パッケージ費用は、オンプレミス型のCRMツール・システムの製品を購入する際にかかる費用です。

製品によって変動しますが、その相場は5万円~10万円程度の場合が多いです。

パッケージ費用は製品自体の費用ですが、製品を購入するだけでは利用することができません。

自社サーバーに製品をインストールした上で、後述するライセンス認証を経て初めて利用することができます。

(2)ライセンス費用

オンプレミス型のCRMツール・システムには、システムの利用料としてライセンス費用がかかります。

基本的には1人につき1ライセンスと設定されており、その費用相場は2万円~10万円程度です。

ライセンスはユーザーごとに発行することが必要であるため、ツール・システムの利用人数が増えるほどライセンス費用は高額になります。

また、ライセンスには使用期間に制限が設けられていることがほとんどで、継続的に利用するためには月や年単位での更新が必要です。

そのため、ライセンスの更新料もライセンス費用に含まれていることがほとんどです。

もっとも、中には永続して使用できるライセンスもあるため、ライセンス費用の負担が気になる場合には見積もりの際に確認しておきましょう。

(3)サーバー費用

サーバー費用は、オンプレミス型のCRMツール・システムの製品をインストールするための自社サーバーの設置費用を言います。

社内規模やシステムの利用状況などによっても変動しますが、5万円~10万円程度が費用相場です。

一度サーバーを設置すると、それ以降は自社で運用することになりますが、故障によるデータの消失のリスクもあるため、数年サイクルでの修理や買い替えも欠かせません。

また、サーバーは熱に弱いため、設置場所には工夫が必要です。

空調などによるサーバー設置場所の環境整備にも一定のコストがかかることを押さえておきましょう。

(4)保守管理費用

オンプレミス型のCRMツール・システムを導入した後は、自社サーバーで運用を行います。

そのため、定期的なメンテナンスが必要となり、サーバーの管理や障害対応、セキュリティ対策などの費用が保守管理費用としてかかります。

自社で保守管理を行う人員が確保できない場合には、これらの作業を外部業者に外注することになり、年間5万円~30万円程度の費用負担が発生します。

もっとも、これらの作業を行える人員を自社内で確保できる場合には、外注費はかかりませんが、専門的な作業に伴う人件費が発生することに注意が必要です。

CRMツール・システムには膨大な顧客情報が集積されているため、セキュリティ対策を怠り、情報漏洩が生じると企業の信頼低下につながりかねません。

そのため、保守管理費用は必ず発生するものととらえ、万全な対策を講じることが何よりも重要です。

4.独自開発の費用内訳

CRMツール・システムを独自開発する場合には、以下の手順で行います。

CRMツール・システムを開発する流れ

  1. システム要件定義の決定
  2. 方針の決定
  3. システムの詳細設計
  4. システム構築
  5. 機能テストとデバッグ
  6. 運用テスト
  7. 本公開・保守運用

これらの手順に従い、開発を外注する場合には、以下のような費用内訳となります。

独自開発CRMツール・システムの費用内訳

  • 仕様・要件定義
  • システム開発
  • テスト・改修費用

作業内容も踏まえながら、それぞれの費用相場について解説します。

(1)仕様・要件定義

仕様・要件定義は、開発するCRMツール・システムにどのような機能を持たせるかや開発環境に関する事項を決定する作業です。

開発手順に即して言えば、システムの要件定義から詳細設計までをカバーする作業であり、その費用相場は条件などによって変動するものの、概ね20万円~25万円が相場となります。

自社独自の機能や機能の実装に手間がかかる場合には、さらに費用負担が生じる場合もあります。

(2)システム開発

システム開発では、要件定義や設計書の内容に基づいてプログラミングを用いながらシステムの構築を行います。

費用相場は条件や実装する機能など、プログラムを組む際の難易度によっても大きく変動しますが、60万円~75万円が目安です。

もっとも、専門知識を有する人員やプログラマーを自社内で確保できる場合には、この作業を内製化することで外注費を抑えることができます。

なお、システム開発を進める中で仕様変更や修正の必要性が生じる場合があります。

外注する際には、修正作業に回数制限が設けられている場合や都度追加費用がかかる場合もあるため、見積もりの段階で確認しておくことでトラブルを予防することが可能です。

また、変更や修正の内容によっては、システム設計に遡って検討を行わなければならない場合もあり、そのような場合には導入までの期間が長引く可能性もあります。

そのため、なるべく変更や修正が生じないように機能の要望などは具体的に伝えることがおすすめです。

(3)テスト・改修費用

テスト・改修費用は、構築したプログラムがエラーなく正常に機能するかどうかを確認するためにかかる費用です。

機能の動作のテストとそれに伴う改修が行われ、費用相場は15万円~25万円です。

もっとも、テスト費用と改修費用を分けており、改修を行う際には別途費用がかかる場合もあります。

そのため、費用体系については見積もりの段階で確認し、必要に応じて複数社に見積もりを依頼することが重要です。

また、オンプレミス型と同様に、年間の保守管理費用が別途かかることにも注意が必要です。

5.CRMツール・システムを導入する際のポイント

CRMツール・システムは、提供形態によって導入費用の相場に変動があります。

また、それぞれの形態ごとにメリット・デメリットがあることにも注意が必要です。

CRMツール・システムを導入する際には、以下のポイントを押さえましょう。

CRMツール・システムを導入する際のポイント

  1. 導入目的と解決したい課題を明確にする
  2. 必要な機能が備わっているかを確認する
  3. 使いやすさを重視する
  4. 予算を決めておく

順にご説明します。

(1)導入目的と解決したい課題を明確にする

CRMツールやシステムを導入する際には、導入によって解決したい自社の課題を明確化しておくことが何よりも重要です。

例えば、CRMツール・システムには、以下のような機能が実装されています。

CRMツール・システムに実装されている主な機能

  • 顧客情報管理機能
  • 商談管理機能
  • メール配信機能
  • 問い合わせ管理機能
  • レポーティング・分析機能

解決したい課題が明確化すると、どのような機能を備えたツール・システムが最適であるかも具体的になります。

具体的には、メールマーケティングによるリード(見込み顧客)の育成に課題があるならば、顧客属性ごとにセグメントされたメール配信を行える機能が備わっているツール・システムを導入することが考えられます。

導入する目的と導入することによって解決したい自社の課題を明確化・具体化することで、必要な機能を備えたツール・システムを導入でき、効果的な運用を行うことにもつながります。

(2)必要な機能が備わっているかを確認する

導入目的に照らして、必要な機能の見極めを行うことも重要です。

例えば、クラウド型のCRMツール・システムでは、基本機能のほかに追加機能を利用することでオプション費用が発生する場合が多いです。

初期費用が低額であることのみを重視して導入してしまうと、自社の課題解決や業務フローに必要な機能が備わっておらず、追加の費用負担が発生する可能性があります。

また、機能が豊富なツール・システムを導入したものの、利用しない機能がプランに含まれていると、その分だけ費用負担が増加します。

そのため、導入目的や解決したい課題を明確化した上で、必要な機能の絞り込みを行うことが重要です。

(3)使いやすさを重視する

CRMツール・システムを導入する際には、操作性やユーザー・インターフェース(UI)などの使いやすさを重視して選定を行うのがおすすめです。

機能性が優れていても、操作性や使い勝手が悪い場合には自社での運用が定着せず、効果的な運用を行うことができない可能性があります。

また、ほとんどのCRMツール・システムでは、無料トライアルを提供していますので、導入の前に無料トライアルで操作性を確認しておくことが有益です。

その際には利用する部署の責任者や運用管理者に無料トライアルで操作性のチェックをさせることがおすすめです。

実際に利用することが予定されている部門・部署のメンバーから意見や懸念点などを収集しておくことで、導入へ向けた問題点を洗い出し、社内で調整を行うことができます。

(4)予算を決めておく

CRMツール・システムを導入する際には、予算を決めておくことが重要です。

これは、ツール・システムの費用対効果を考える際の指標にもなります。

導入による費用対効果は、主に以下の2つの要素から判断します。

費用対効果を判断する要素

  • 売り上げの向上
  • 業務の効率化

例えば、ある施策の数値について、CRMツール・システムの導入前後でどのような変化が見られたかを比較することで、売り上げの向上を測ることができます。

また、CRMツール・システムの導入後に行われなくなった業務があれば、導入によって業務の効率化が図られたと見ることができます。

もっとも、これらの変化が見られたとしても、それを上回るコストがかかっているようでは意味がありません。

そのため、導入の際には予算を決めて、その範囲内で費用対効果が得られるかどうかを判断することが何よりも大切です。

なお、費用対効果を考える際には、初期費用だけでなく、月額費用などのランニングコストまで含めた費用を把握した上で比較する必要があることも押さえておきましょう。

まとめ

本記事では、CRMツール・システムの導入費用の相場を解説しました。

導入にあたっては、CRMツール・システムの提供形態によって費用体系や費用相場が異なるため、自社の導入目的や解決したい課題に適合した製品やサービスを導入することが重要です。

また、ツールやシステムを導入し、効果的な運用を進めていくためには費用対効果の把握が欠かせません。

導入にあたってかかる費用を総合的に考慮しながら費用対効果の把握に努めましょう。

本記事でご紹介した導入のポイントも参考にしながら、自社の課題に合ったツール・システムの導入を進めましょう。

この記事の投稿者
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京都のWebコンサルティング・制作会社TMS Partners株式会社のコラム編集部です。中小企業/個人事業主が取り組みやすいWebマーケティングや、SEO、Web広告、マーケティングオートメーションのknow-howをお届けします。