金融業界に特化したCRM7選!活用事例や導入メリット/デメリットを紹介
「金融業界でCRMが必要なのはなぜ?」
「金融業界での利用に適したCRMツールとは?」
資産を扱う性質上堅固なセキュリティが求められる金融業界では、IT化が遅れている傾向にあります。
しかし、近年のDX推進の動きにより金融業界でもCRM導入を検討し始めている企業が多いはずです。
この記事では、金融業界にCRMが必要とされる3つの理由や導入メリットとデメリット、金融業界に適したCRMツールや実際の活用事例を紹介しています。
最後まで読めば金融業界で導入すべきCRMや活用方法がわかり、自社でもCRMを使った顧客との接点創出に向けて動き出せるでしょう。
1.金融業界にCRMが必要とされている3つの理由
金融業界でCRMが必要とされている3つの理由を紹介します。
- 2025年の壁への対応
- 顧客とのコミュニケーションの変容
- 提供できるサービスの平準化
金融業界を取り巻く概況の変化について理解し、CRMを有効活用しましょう。
(1)2025年の壁への対応
2025年の壁とは、金融業界が2025年に直面すると予測されている技術面での課題を意味します。
金融業界は資産を取り扱う性質上、安全面を重視してアナログな管理方法がとられており、DXへの適応が遅れている業界です。
DXへの適応による技術刷新が行われない場合の経済損失は約12兆円に及ぶと予測されており、金融業界ではセキュリティを担保したIT技術の導入が急がれています。
金融業界は顧客との関係性が非常に重要な業界であり、従来のように電話で直接顧客に営業をかけたり、対面営業に出かけるのは効率を妨げています。
今後はCRMを導入して金融業界の顧客との接し方を変容させ、2025年の壁に対応しなければなりません。
(2)顧客とのコミュニケーションの変容
金融機関でも顧客とのコミュニケーション方法が変容しています。
かつて金融機関は顧客が窓口へ訪れる、または訪問するなどの対面営業が主流でした。
しかし、現在は金融機関と顧客のコミュニケーションはメールやLINE、アプリからの通知など多様化しています。
顧客とのコミュニケーションが変容したことで、管理すべき顧客の情報や交渉履歴も増え、従来のシステムだけでは十分な管理が難しくなりました。
そのため、顧客情報や交渉履歴を効率的に管理できるツールとしてCRMに注目が集まり、金融業界でも導入企業が増えています。
(3)提供できるサービスの平準化
金融機関は顧客との関係が非常に大切な業界ですが、担当ごとにサービスの質に差が出る点は問題です。
顧客管理を営業担当個人で実施しているケースも多く、その情報が共有されていないためです。
そのため、Aさんが対応すると顧客が上機嫌だが、Bさんが対応すると契約が成立しないというような事例もよく起こります。
Aさんは顧客をよく理解しており満足度の高い接客ができますが、Bさんは経験が浅く顧客情報もあまり知らないため、接客の質に差が出てしまうのです。
上記のような問題を解決するうえで、CRMの情報共有機能が注目されています。
顧客情報を全社で共有できるため、顧客のニーズや好みに沿った対応を誰もがしやすくなります。
2.金融機関でCRMを活用する6つのメリット
金融機関でCRMを活用することで得られるメリットは、以下の6つです。
- 膨大な顧客データの一元管理
- 情報のスムーズな共有
- データ先行の分析や営業
- 業務効率化
- 効果の高いPR戦略
- 顧客ロイヤリティの向上
6つのメリットを知れば、CRMが自社でも有用だとわかるはずです。
(1)膨大な顧客データの一元管理
金融機関でCRMを導入すれば、膨大な顧客データの一元管理ができます。
管理すべき顧客データを統合管理することで、顧客の情報を統一して分析や応対に活用できます。
また、CRMに情報が統合されることにより情報の改ざんを防ぎ、不正流出や漏洩対策も可能です。
(2)情報のスムーズな共有
CRMの導入により、金融機関のすべての従業員にスムーズな情報共有が可能です。
営業や窓口、コールセンタースタッフなどに即座に顧客情報の更新が共有されるため、顧客の応対品質も向上します。
例えば、コールセンターにあった顧客の問い合わせ履歴を元に、営業が関連した情報を案内できるなど、より顧客ニーズを汲み取った対応ができるようになるでしょう。
(3)データ先行の分析や営業
従来の金融機関の営業は、営業担当のスキルや経験則によるものが大きく、営業担当ごとに差が出やすいものでした。
しかし、CRMを取り入れることで人の先入観や個々のスキルに依存しないデータ先行の分析や営業活動を行えます。
顧客の属性や傾向をAIが自動分析し、成功率の高い商談先を決めるなどより精度が高く効率の良い営業活動を目指せるでしょう。
(4)業務効率化
金融業界でCRMを取り入れることにより、業務効率化も期待できます。
金融業界はいまだに内線や口頭での情報伝達をしている企業も多く、情報の伝え漏れやそれに起因するトラブルも起きています。
しかし、CRMを使えば情報を各自がツールに入力して伝達できるため、伝え漏れや情報伝達ミスもありません。
また、CRMを使用して顧客にメールを配信することもでき、郵送物を送る手間や作業自体も省けます。
(5)効果の高いPR戦略
CRMの導入により、金融業界のPR戦略の効果を高められます。
CRMに集積した顧客情報の分析で、顧客の傾向や属性を割り出せば、詳細なターゲティングが可能です。
例えば、三井住友銀行が開始した「B/43」というカップル向けの家計管理用プリペイドカードは、想定ターゲットの20〜30代がよく使用しているインスタグラムを中心に広告展開されていました。
上記のように、新商品のリリース時に自社顧客属性を利用して、どのような層に受けるのかを分析して適切なPR戦略を立てられる点も、CRMを導入するメリットといえるでしょう。
(6)顧客ロイヤリティの向上
CRMにより顧客とのコミュニケーションの質を上げることで、顧客ロイヤリティが向上します。
顧客ロイヤリティとは、顧客が対象企業へ持っている帰属心や忠誠心のことです。
ロイヤリティが高い顧客が多いほど長く取引が続き、安定した利益を出し続けられます。
CRMの活用で顧客が欲しがっている情報を提供し、問い合わせの精度を上げることで顧客の金融機関への信頼が上がります。
例えば、顧客から資産運用について相談があった際に、その顧客が資金面の余裕があまりないことを聞き取ったとしましょう。
その場合は応対履歴にその旨を残し、営業から低額から始められる投資を案内すれば、顧客の状況に寄り添った商品の提案ができます。
CRMを使いこなせば、金融機関への顧客の信頼や満足度を上げて、自社利益へ繋げられるでしょう。
3.金融機関でCRMを活用する4つのデメリット
金融機関でCRMを活用すれば大きなメリットがある一方で、デメリットがある点も把握しておいてください。
- CRM開発や運用費用
- セキュリティ面での懸念
- 既存フローの切り替えで混乱が生じる可能性
- 人的ミスやデータ重複のリスク
1つずつ金融機関がCRMを導入する際に生じるデメリットを紹介するので、先述したメリットと比較してデメリットを補えるツールを選びましょう。
(1)CRM開発や運用費用
金融機関で利用するCRMはセキュリティが堅固であることはもちろん、それぞれの金融機関の業務に合わせてカスタマイズが必要です。
さらに膨大なデータを管理する必要があることから、独自サーバーの設置やシステム開発にかなりの費用がかかります。
金融機関のITガバナンス等に関する 調査結果レポートによると、メガバンクがシステム開発にかける費用は業務粗利益の10〜15%程度、金額にして1,000億円程度だそうです。
あくまでメガバンクの基準ではありますが、金融機関で使用するCRMはそれなりの金額をかけて開発しなければ、実用に耐えない場合も多いです。
また、運用においてもこまめなセキュリティアップデートなどが必要とされ、維持費用もかなり高額になります。
(2)セキュリティ面での懸念
金融機関は顧客の資産情報を管理しているため、流出や漏洩は許されません。
今まで金融機関でDXが浸透しなかった理由も、不正アクセスなどのセキュリティ対策に懸念があったためです。
もちろんITツールの導入により金融機関の業務は効率化できますが、セキュリティ面も兼ね備えていなければデータの漏洩や不正アクセスなどの大事故に繋がります。
例えば、営業担当がオンラインで自社システムへいつでもアクセスできる場合に、うっかりフリーWi-Fiでシステムに接続すればデータ漏洩の危険は高まるでしょう。
もちろんCRMにはセキュリティ機能も搭載されていますし、外部アクセスもVPNの使用やIP制限で安全性を高めることはできます。
金融機関で使うにはセキュリティ面に不安があり、それを補うためにはさまざまな施策が必要となる点もCRMのデメリットです。
(3)既存フローの切り替えで混乱が生じる可能性
金融機関はセキュリティの問題もあり、アナログな運用体制を継続している企業も多いです。
アナログな運用体制の方が不正アクセスを制限しやすく、安全性は高いためです。
従来の紙文化が染みついた企業で、急にCRMを導入してDXを推進した場合に、ITリテラシーの低い社員が操作に戸惑って業務効率が落ちるなどの混乱が生じるかもしれません。
また、ITツールに抵抗がない世代でも従来のフローが変わること自体を嫌う社員もいるため、社内で反発が起きることもあります。
フローの変更による混乱を防ぐためのマニュアル整備や、社員への理解を促す研修などが実施すれば混乱は防げますが、最初のうちはミスが発生するリスクなども考えておきましょう。
(4)人的ミスやデータ重複のリスク
金融機関にCRMを導入する際に、人的ミスが起きる可能性やデータ重複リスクがある点に注意しましょう。
CRMへの情報入力は手作業となるため、どうしてもミスが起こり得ます。
入力規則の設定などである程度ミスは防止できますが、完璧に防げるわけではありません。
また、CRMへ取り込む顧客情報が重複するケースもあるため、事前の精査が必要です。
4.金融機関にCRMを導入する際の5つの選定ポイント
金融機関にCRMを導入する際の選定ポイントを5つ紹介します。
- 自社が抱える課題を解決する機能が搭載されているか
- セキュリティ面の安全性が担保できるか
- 混乱なく導入・運用を始められるか
- 金融機関の顧客管理に特化しているか
- 自由なカスタマイズが可能か
いざCRMツールを選ぼうと思っても、選定のポイントを知らないとなかなか絞り込めません。
1つずつツール選びのポイントを紹介します。
(1)自社が抱える課題を解決する機能が搭載されているか
金融機関でCRMツールを導入する際は、自社の課題を解決できる機能を搭載したツールを選びましょう。
導入目的を明確にせずCRMを導入すると、ツールで何をすべきか現場が混乱してしまい、有効にツールを活用できません。
例えば、金融機関の顧客とのコミュニケーションを自動化して優良顧客を育成したい場合は、メールの自動配信やDM送付機能など、属性に合わせたコミュニケーションを統合できるCRMが必要です。
まずは自社の業務効率や売り上げに影響を与えている課題を一覧化し、そこから優先度の高いタスクを解決できるCRMを選びましょう。
(2)セキュリティ面の安全性が担保できるか
CRMを選ぶ際は、セキュリティ面の安全性が担保できるかを重視しましょう。
金融機関が取り扱う個人情報は、資産に関わる非常に重要な情報であるためです。
外部からの不正アクセスへの対策はもちろん、内部不正に対応できる操作ログの記録や閲覧権限の設定などの機能も欠かせません。
CRMの提供元に問い合わせする際にセキュリティ対策を聞いたり、金融機関ですでに導入実績があるCRMツールを主体として選ぶと安心です。
(3)混乱なく導入・運用を始められるか
金融機関でCRMを導入する際は、混乱なく導入や運用を開始できるツールを選びましょう。
万が一CRMの導入によりシステムが停止すれば、顧客に迷惑がかかるうえに、自社の信頼も低下します。
また、業務効率が下がることで社員の生産性が落ちることもあるため、操作性も重視しましょう。
CRMを選ぶ際は操作性が良いことはもちろん、提供元から操作方法についての詳しい説明やサポートが受けられるかを確認するのがおすすめです。
(4)金融機関の顧客管理に特化しているか
CRMは汎用的なツールもありますが、金融機関で導入する場合は資産情報の管理に特化したツールを選びましょう。
金融機関は一般的な業種と違い、顧客の口座情報や現金資産、金融資産など多岐にわたる資産を管理するためです。
汎用的なツールを選ぶと金融機関特有の管理項目がなかったり、実際に操作してみた際に業務フローと合わないこともあります。
後ほど金融機関で導入実績が多いCRMツールを紹介するので、そちらも参考にCRMツールを選びましょう。
(5)自由なカスタマイズが可能か
CRMツールを選ぶ際は、カスタマイズが可能なツールを選ぶようにしましょう。
後から不足している機能に気づいたり、顧客とのコミュニケーション手段が増えることがあるためです。
例えば、最初は顧客情報の管理と情報共有のみを目的としてCRMを導入したものの、後からメールマーケティングやLINEマーケティング、広告運用も管理したいと思うかもしれません。
拡張性の低いCRMを導入すると、システムを別途立ち上げて社内にシステムが乱立したり、システムを新たに切り替えする必要が生じます。
将来的にCRMの機能を追加できるかどうかツール提供元へ相談したうえで、CRMツールを選びましょう。
5.金融機関の導入実績が多いCRMツール7選
金融機関で導入実績が豊富な信頼できるCRMツールを7つ紹介します。
- Salesforce Financial Services Cloud
- BankNeo for CRM/SFA
- fcube(エフキューブ)
- COLLABOS CRM
- Synergy!
- GENIEE SFA/CRM
- Zoho CRM
金融機関に特化したツール、またはすでに金融機関で導入されているツールのみを選定しています。
(1)Salesforce Financial Services Cloud
「Salesforce Financial Services Cloud」は、世界シェアNo.1のSFA/CRMであるSalesforce社が開発した金融業界向けCRMです。
日本では「東京きらぼしFG」「西日本シティ銀行」などでも導入されており、セキュリティ面の堅固さと操作性が評価されています。
フルクラウド型のCRMでアクセスがよく、また対面・非対面のチャネルを横断した顧客情報の分析、ペーパーワークの自動化機能を搭載しています。
顧客との関係を育成するのはもちろん、業務の自動化などにも有効なCRMなのでぜひ検討してみましょう。
(2)BankNeo for CRM/SFA
「BankNeo for CRM/SFA」は、地域金融機関向けに作られたCRMです。
顧客情報の一元管理と営業支援機能を搭載しており、営業活動と顧客育成を1つのツールでおこなえます。
画面はグラフィカルな表示をテーマにしており、難解な情報も一目でわかるように工夫されています。
また、金融機関の業態に合わせて自由に項目を追加するなどのカスタマイズも可能です。
(3)fcube(エフキューブ)
「fcube(エフキューブ)」は、金融機関の業務に特化して作られたCRMです。
顧客情報の管理と分析に長けており、データドリブンな営業活動を支援します。
顧客情報の管理や渉外業務の管理、営業店舗の業務や計画策定などを1つのツールで管理可能です。
さらに、申込や契約手続き用のポータルサイトやコールセンターとの連携が可能と、顧客との良好な関係維持に役立ちます。
(4)COLLABOS CRM
「COLLABOS CRM」は、1〜2ヶ月の短期間で導入できるCRMです。
コールセンター業務に特化したCRMで、問い合わせ対応業務の多い金融機関の業務効率化や問い合わせ対応の向上に役立ちます。
コールセンターに入る問い合わせ履歴の記録はもちろん、メーラー連携やCTIとの連携も可能で、あらゆる問い合わせに迅速に対応できる機能が満載です。
初期費用は10万円、月額4,800円(1ユーザー)から利用が可能と安価なため、コールセンター業務の対応に力を入れたい金融機関におすすめです。
(5)Synergy!
「Synergy!」は、純国産で金融機関への導入実績が多いCRMツールです。
金融機関の業務パッケージを展開しており、インターネットでの申し込みに対応した本人確認機能付きのWebサイト制作やフォームの最適化機能を搭載しています。
また「Synergy!」本体には、充実した顧客情報の管理機能や営業支援機能を搭載しているため、金融機関の業務効率を上げるのに役立ちます。
外部とのデータ連携性も備えたCRMなので、基幹システムと連携して利用しやすいCRMです。
(6)GENIEE SFA/CRM
「GENIEE SFA/CRM」は、証券会社での導入実績がある国産CRMです。
顧客情報や商談管理機能を有しており、また蓄積した情報を自動でグラフ化したり、レポートを抽出して顧客情報の分析を実施できます。
直感的な操作ができることにこだわって作られているため、現場に混乱を来さずCRMを導入したい企業におすすめです。
導入前に無料トライアルも可能なので、実際に操作性を確認してから導入を検討できます。
(7)Zoho CRM
「Zoho CRM」は、世界25万社に導入されているCRMです。
金融業界の膨大なデータの一元管理と事務作業の自動化、権限設定や不正アクセスの防止に対するセキュリティ機能を有しており、金融機関でも安心して利用できます。
さらにコールセンターとの連携が可能で、顧客からの問い合わせ情報を入力すれば速やかに全社に問い合わせ履歴を共有できます。
またAIによる営業支援機能も搭載しており、適切な連絡タイミングをアドバイスしてくれるなど、営業の経験に頼らず適切なアプローチを可能にしてくれる点も魅力です。
6.金融機関のCRM導入・活用事例5選
実際に金融機関でCRMを導入、活用した事例を5つ紹介します。
- 北日本銀行
- 仙台銀行
- 福井銀行
- イオン銀行
- 岡安商事株式会社
金融機関でCRM施策を実施する必要性はわかっていても、具体的なアイデアが思いつかず悩んでいる方も多いでしょう。
実際に金融機関がCRMを導入して課題を解決した経緯と導入後の変化を説明します。
(1)北日本銀行
「北日本銀行」はインテックのCRMである「fcube」を導入し、営業部門の業務改革に役立てました。
導入前は交渉履歴に冗長な表現や無駄な情報が多く、営業活動に役立たない履歴が多く残ってしまうことが課題でした。
また、引き継ぎについても引き継ぎ書の作成に手間がかかることや、引き継ぎ漏れが生じる点が解決したい課題でした。
CRM導入後は交渉履歴のテンプレート機能を利用し、行員に対して顧客に聞き取るべき情報や残すべき履歴を示すことで、冗長なデータを削除しました。
営業活動に役立つ価値のある情報を交渉履歴に残せるようになりました。
また、引き継ぎにおいてもCRMに蓄積した情報を見れば引き継ぎが完了するため書類作成が不要となり、引き継ぎの効率も向上しました。
(2)仙台銀行
仙台銀行はCRMの導入により、個人向け融資の売り上げが10倍に到達するという成果を得ています。
宮城県内に72の支店を持つ仙台銀行は、個人ローン利用の売り上げ低迷を課題とし、その解決のためにCRMを利用し始めました。
まず仙台銀行は個人ローンの売り上げ低迷の原因を「複数の保証会社での審査ができないこと」とし、この問題を解決するには顧客管理をより徹底することが必要であると判断したからです。
仙台銀行は上記の問題を踏まえて、CRMに複数の保証会社が保持する顧客情報を集積するシステムを導入しました。
銀行側が複数の保証会社の審査情報を利用して審査を実施できる体制を構築し、効率的に審査を進められる体制を整えるためです。
結果として、申込時に複数の保証会社の審査を通せるようになったため顧客の審査通過率も上がり、個人融資の売り上げが10倍になりました。
(3)福井銀行
福井銀行は社内に複数のシステムが乱立しており、情報が点在していることに課題を抱えていました。
そのため顧客情報の全体像を把握できず、イメージが社内で統合できないなど営業やマーケティングの面でも重大な問題を抱えていました。
そこで情報を統合管理するためにCRMを導入し、1つのシステムに複数部門で管理していた情報を統合するように管理体制を変更しました。
情報の統合管理により営業活動における顧客像のイメージも統一できるようになり、効率的な営業に役立ちました。
また、CRMにて案件や営業活動管理を統合できただけでなく、マネージャーからの営業アドバイスも入れやすくなり、営業活動の成果も上がっています。
(4)イオン銀行
イオン銀行は店舗によってはアナログな方法で情報管理を実施しており、営業活動にも支障が出ていることが課題でした。
そこで2021年にCRMを再構築し、より効率的な営業活動ができる体制を整えました。
従来は口頭や紙で連携していた情報をCRMに統合することで、全国に広がる支店の情報を1つのシステムで管理しました。
顧客への確認や問い合わせ時の説明漏れもなくなり、ガバナンス強化にも成功しています。
(5)岡安商事株式会社
岡安商事株式会社は資産運用に関する総合的なサービスを提供している証券会社です。
元々SFAを導入していたものの、多機能すぎて使いこなせないことで費用対効果が悪化、さらにペーパーレス化が進まないことや担当の引き継ぎがうまくいかないことが課題でした。
そこで岡安商事株式会社は、よりシンプルな機能を有したCRMを導入して、管理すべき情報のみを統合管理する体制に切り替えました。
CRMツールの導入により引き継ぎ書や顧客情報の連携時に使っていたメモなどがなくなり、ペーパーレス化にも成功しました。
さらに、CRMに顧客の情報を蓄積する体制により引き継ぎ時の情報漏れもなくなりました。
まとめ
金融業界でCRMを導入する際は、大切な顧客の機密情報をしっかり保護できる堅固なセキュリティが必須です。
セキュリティや自社フローとの兼ね合いを考えながら、効率よく業務をサポートしてくれるCRMを見つけましょう。
記事内で紹介した金融機関の事例でも分かるとおり、CRMの導入により業務効率の向上や顧客ニーズに沿った運用体制を構築できます。
金融業界のCRM導入についてお悩みの方は記事の内容を参考に、CRMツール導入や施策を考えてみてください。