BtoB企業にコンテンツマーケティングが必要な理由と成功させるコツ
「BtoBコンテンツマーケティングってなに?」
「コンテンツマーケティングを導入するメリットが知りたい」
企業の経営者やマーケティング・営業担当者の中にはこのような疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
近年、コンテンツマーケティングに取り組む企業は増えています。
コンテンツマーケティングは、様々なメディアを活用することで、チャネルごとに集客を行うことができるというメリットがある一方で、コンテンツ制作の時間やリソースが必要となり、実施することに躊躇っている方も多いはずです。
本記事では、BtoB企業が取り組むべきコンテンツマーケティングについて解説していきます。
コンテンツマーケティングの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.BtoBコンテンツマーケティングについて
まず、BtoBコンテンツマーケティングについて解説していきます。
コンテンツマーケティングとBtoBビジネスとの関係性について理解することで、より効果的な施策を行うことができるでしょう。
- コンテンツマーケティングとは
- BtoBとは
(1)コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、企業の自社サイトやオウンドメディアなどのコンテンツを活用して、顧客との関係を構築し、商品・サービスの認知度向上から成約までを目指すマーケティング手法です。
継続的に顧客が求めている情報を提供することで、顧客からの信頼を得ることができ、顧客のファン化を目指します。
コンテンツの制作にリソースが必要なことや、成果を得るまでに時間がかかってしまうなどのデメリットがありますが、他のマーケティング手法と比べると比較的スモールスタートしやすく、顕在層だけでなく潜在層など幅広いターゲットにアプローチできるというメリットがあります。
コンテンツマーケティングの概要やメリットなどについては、以下の記事もご参照ください。
(2)BtoBとは
BtoBとは、「Business to Business」の略で「企業間取引」と訳されます。
企業が企業に対して商品・サービスを提供するような企業同士のビジネスであることを意味します。
具体的には、商品・サービスを提供する企業と導入を検討している企業間での取引が挙げられます。
導入を検討している企業は、その商品・サービスを導入することで事業課題が解決することができるのか、コストと期待される効果が釣り合っているのかなど、他社製品との比較で導入可否を検討していきます。
そして商品・サービスの導入に直接関わる部門・部署だけでなく、財務・経理部門や経営層に近い部門など、多くの部門・部署にまたがって商品・サービスを導入するかが検討されるため、自ずと導入までの期間が長くなります。
また、企業同士の取引のため購入までに時間はかかる一方で、商品・サービスの取引単価が高いのも特徴です。
一度の取引で大きな額が動くケースも珍しくなく、非常に大きな市場規模を誇ります。
2.BtoBにおいてコンテンツマーケティングが注目されている背景
次に、BtoBにおいてコンテンツマーケティングが注目されている理由を解説していきます。
上述した両者の特徴を踏まえて見ていきましょう。
- 購買プロセスの特徴
- 商品・サービスの専門性が高い
- インターネット広告費の高騰
それぞれについて見ていきましょう。
(1)購買プロセスの特徴
一般消費者との取引とは違い、BtoBの商品・サービスは比較的高価なものが多いです。
さらに、複数の意思決定者が存在するため、価格や機能などさまざまな要素を考慮した上で成約に至るため、検討期間が長くなるという特徴があります。
そのため、検討期間中にも定期的にアプローチを行い、商品・サービスに関する情報を積極的に提供し続け、購入に至る温度感を下げないための工夫が必要となります。
(2)商品・サービスの専門性が高い
BtoBでは、商品・サービスの専門性が高い傾向があり、ユーザーが商品・サービスの導入に至るまで、一貫して商品に関する専門知識などのユーザーにとって有益な情報を発信し続ける必要があります。
そのためには、継続的にユーザーやリード(見込み顧客)とコンタクトを取ることが大前提となるため、関係構築の手段としてコンテンツマーケティングが注目を集めています。
また、検討の段階に応じて、ユーザーが必要とする情報を適切なタイミングで提供することも重要です。
例えば、具体的な商談に至るまでは業界の動向などに関する情報を提供し、商談化した後には導入事例や他社との比較資料などを発信するなど、コンテンツ内容に工夫をこらすことで、成約の確度を高めることも期待できます。
(3)インターネット広告費の高騰
BtoBにおいてコンテンツマーケティングが注目されている理由としては、インターネット広告費の高騰も挙げられます。
以前は広告を配信して効果的に運用することができていれば、継続的な売上を得ることができていました。
しかし、リスティング広告をはじめとするインターネット広告の掲載枠の争いが激化し、その結果として広告費が高騰しているのが現状です。
そのため、広告の費用対効果を高めた運用が必要となり、商品・サービスの購入につながるような確度の高いターゲット層へのアプローチが重要となりました。
ユーザーも多種多様な情報に触れるプロセスを経て商品・サービスの購入へ至るため、良質なコンテンツに触れること自体には抵抗感がなく、情報収集の一環としてそのようなコンテンツを求める傾向があります。
特に商品・サービスの導入に至るまで他社の製品やサービスを比較しながら導入を検討するBtoBの商品・サービスにおいては、このような傾向が顕著に見られます。
したがって、従来のインターネット広告よりも継続的にコンテンツを発信できるコンテンツマーケティングの方がユーザーの興味を得ることにつながるのです。
3.BtoBビジネスでコンテンツマーケティングがおすすめな理由
以下では、BtoBビジネスでコンテンツマーケティングがおすすめな理由を解説していきます。
- 購買意思決定が長いBtoB商材に適している
- 専門性の高い商品・サービスの認知度向上を狙える
- 顧客との長期的な関係構築が可能
それぞれ見ていきましょう。
(1)購買意思決定が長いBtoB商材に適している
上述したように、BtoBビジネスでは商品・サービスの単価が高く、購買プロセスが複雑なため、ユーザーとの関係構築が重要になります。
コンテンツマーケティングを通じて、商品・サービスの特徴や機能などを発信し続けることで、信頼性を獲得することができます。
そのためには、ユーザーが求めている情報を適切な頻度で提供する必要があります。
継続的に良質なコンテンツを発信し続けることで、ユーザーとの関係を築き、コンバージョンにつなげることができます。
(2)専門性の高い商品・サービスの認知度向上を狙える
コンテンツマーケティングを実施することで、専門性の高い商品・サービスの認知度向上を狙うことができます。
コンテンツを通じて、自社商品・サービスの魅力を伝えることで、ユーザーのファン化につなげることができます。
また、コンテンツマーケティングの媒体のひとつでもあるSNSと併用することで、さらなる情報の拡散を図ることができます。
SNSを使用しているユーザーは数多く、制作したコンテンツをSNSで発信することによって二次拡散が望めます。
SNS媒体ごとに狙いたいターゲット層が異なるため、特徴を理解してからSNSを活用してみましょう。
以下の記事で、SNSを活用して効果的にコンテンツマーケティングを実施する方法について解説していますので、ぜひご参照ください。
(3)顧客との長期的な関係構築が可能
コンテンツマーケティングを通じて顧客との長期的な関係の構築が可能です。
顧客との関係構築・維持するためのマーケティング手法をCRMと言います。
CRMとは、「Customer Relationship Management」の略で、顧客情報や行動データを管理し、顧客との良好な関係の構築や促進を狙うマーケティング手法です。
コンテンツ媒体であるメールマガジンやLINEメッセージを活用することで、、顧客情報を手に入れることができます。
その後、手に入れた顧客情報を分析することで、顧客ニーズを的確に捉えることができ、最適なタイミングでコンテンツの配信をすることが可能になります。
また、CRMマーケティングを活用することで、顧客との関係構築だけでなく、リピーターやファンの育成もすることが可能です。
以下の記事でCRMマーケティングについて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
4.BtoBにおけるコンテンツマーケティング導入メリット
BtoBビジネスでコンテンツマーケティングを導入することで多くのメリットを享受することができます。
以下では、コンテンツマーケティング導入メリットについて解説していきます。
- リードの創出と育成
- ブランド認知度と信頼の向上
- コンテンツが資産になる
(1)リードの創出と育成
コンテンツマーケティングは、リード(見込み客)の創出・育成をするために効果的な手法です。
価値ある情報を提供することで、興味を持った潜在顧客にアプローチすることができます。
さらに継続的な情報提供を通じて、購買意欲を醸成し、成約への準備を整えていくことが可能です。
例えば、ホワイトペーパーや業界レポートを提供し、それがダウンロードされた時にメールアドレスを取得することで、興味を持った見込み客の情報を収集できます。
その後、メールマガジンなどを通じて段階的に情報を提供していくことで、最終的な購買や成約につなげられます。
(2)ブランド認知度と信頼の向上
質の高いコンテンツを定期的に配信することで、ブランド認知度と信頼の向上が望めます。
特に教育コンテンツや事例研究を配信することは効果的です。
具体的には、実際の顧客の導入事例などをコンテンツを通して共有することにより、リードはもちろん、潜在的な顧客に対して自社商品・サービスの価値や魅力を具体的に示すことができます。
また、コンテンツを通じてユーザーとのコミュニケーションを深めることは、ユーザーとの信頼関係を構築するうえで重要な役割を果たします。
(3)コンテンツが資産になる
コンテンツマーケティングで制作・発信したコンテンツは半永久的に残り続けるため、良質なコンテンツを増やしていくほど、効果的なマーケティングを行うことができます。
また、情報の網羅性を高めることによって、より顧客のニーズに応えることも可能です。
一般的な広告の場合、掲載期間が終われば売上につながることはないため、短期的な効果しか見込めません。
しかし、ユーザーのニーズを満たすコンテンツを作成することができれば、継続的に集客し続けることができるため、コストパフォーマンスを高めた運用を行うことができるのも特徴です。
もっとも、制作したコンテンツを資産とするためには、質の高いコンテンツを定期的に制作・配信し蓄積していくことが大前提となります。
そのため、質の低いコンテンツを作り続けても逆効果になってしまうため注意が必要です。
また、コンテンツ内の情報更新やリライトなど、情報の最新性を担保するための定期的なメンテナンスを行うことで、より効果的なマーケティングを行うことができます。
5.BtoB向けコンテンツの種類
各コンテンツ媒体の特徴を理解することで、より効果的なコンテンツマーケティングを行うことができます。
以下では、BtoB企業向けのコンテンツをご紹介します。
- テキスト記事
- ホワイトペーパー
- メールマガジン
- ウェビナー
それぞれ解説していきます。
(1)テキスト記事
テキスト記事を活用することで、ターゲットとするユーザーが求める情報と一緒に自社商品・サービスについて配信することが可能です。
テキスト記事は、定期的な情報更新と良質なコンテンツを作成するためのリソースが必要というデメリットがありますが、テキストがメインのため比較的取り組みやすいことや、検索エンジンからの流入が見込めるなどのメリットがあります。
さらに、ユーザーが欲する情報を配信するため、ユーザーの満足度を高めることができ、同時に自社のことを認知してもらえるというメリットがあります。
もっとも、ユーザーが欲する情報に偏るだけではなく、自社商品・サービスの情報とのバランスが大切です。
また、導入事例を紹介することで、、他社のサービスと自社サービスを比較しながら紹介することができるため、ユーザーも違和感なく読み進めてくれることが期待できます。
そのため、自社サービス単体を訴求するときよりも信頼感が増し、ユーザーもテキスト記事を読み進める中で商品・サービスの比較ができるため、有益な情報と捉えてもらえる可能性が高まります。
(2)ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、企業の専門性を深く伝えるための資料で、特定の問題解決策や商品・サービスの詳細をユーザーに伝えることが可能です。
ホワイトペーパーには、課題の解決策や企業が独自に有するノウハウがまとめられているため、ユーザーの問題解決に役立ちます。
自社サイトからのダウンロードやメールマガジンなどでの配布が一般的であり、ユーザーがその情報を入手する際に会社名やメールアドレスを入力してもらうことで、リードの情報を獲得することもできます。
リード獲得から育成、さらに関心調査というようにマーケティングプロセスで幅広く活用されており、自社の営業資料としても利用することもできるため、コンテンツマーケティングに取り組み始める第一歩として最適です。
(3)メールマガジン
メールマガジンは、既存顧客やリードとの関係構築・維持のために役立つコンテンツを定期的に配信する施策です。
定期的にキャンペーン情報や新商品・サービスの情報、業界のトレンドなど幅広い情報をWebサイトを介さず直接届けることができます。
メールマガジンは一般公開されないコンテンツのため、オウンドメディアに載せられないような情報も届けやすいという特徴があります。
またメールマガジンを購読している時点で、自社のことを認知しているため、商品・サービスを購入検討しているユーザーに向けてある程度の理解がある前提でコンテンツを発信することができます。
高頻度での配信は、迷惑メールとして認識される恐れがあるため、最適なタイミングで配信することを意識しましょう。
(4)ウェビナー
会場を設営して対面式で行うセミナーもありますが、近年はインターネットを通じたWebセミナー(ウェビナー)配信がメインとなりつつあります。
ウェビナーは、対面式のセミナーと比較すると、時間と場所を選ばず開催・配信することができるため、一度に多数へ向けて情報を発信できます。
専門家がノウハウや事例を紹介することで、商品・サービスを導入した際の活用法などが具体的にイメージすることができます。
自社のサービスに興味を持っている潜在顧客を獲得し、商談化につなげたい場合に有効な手段です。
6.BtoB企業がコンテンツマーケティングを成功させるコツ
以下では、BtoB企業がコンテンツマーケティングを成功させるコツを紹介していきます。
- ペルソナを設定しカスタマージャーニーを作る
- ターゲットに適したコンテンツを作成する
- KGIとKPIの指標を設定する
- 導入事例をコンテンツ化する
順に解説していきます。
また、以下の記事ではBtoB企業が導入しているコンテンツマーケティングの事例を紹介しています。
(1)ペルソナを設定しカスタマージャーニーを作る
コンテンツマーケティングを行う上で重要なのは、ペルソナの設定とカスタマージャーニーの作成です。
マーケティングを始める前に、どのような課題を解決したいのかを明確にすることで、マーケティングの方向性を固めることができます。
目標を決定する際にペルソナも並行して設定しておきましょう。
ペルソナとは、理想的な顧客像を具体的な人物像として詳細に描いたものです。
具体的には、「30代前半」、「男性」、「一人暮らし」などの属性を組み合わせて設定します。
ただし、BtoB商材の場合は、最初に自社サイトにアクセスする担当者だけでなく、意思決定を行う決裁者の存在が重要になります。
そこで、担当者のペルソナだけでなく、検討プロセスに関わる決裁者のペルソナも作成しておくことがおすすめです。
担当者と決裁者の両者に訴求できるコンテンツを発信し、顧客の認知から意思決定まで幅広く対応しましょう。
ペルソナを設定し終えたら、次にカスタマージャーニーを作成します。
カスタマージャーニーとは、見込み顧客が商材を認知してから購買に至るまでの行動を可視化したものです。
商品・サービスの購買に至るまでにどのようなステップがあるのかを可視化できるのはもちろん、ステップごとの顧客心理を分析・把握することもできます。
そのため、カスタマージャーニーを作成することで、より深く顧客の購買行動を把握できるとともに、顧客目線でのマーケティングPDCAを回しやすいといったメリットがあります。
また、各段階ごとで顧客が求める情報を明確化することで、どのタイミングでどのようなコンテンツを配信すれば良いのかを、具体的に決めることができます。
(2)ターゲットに適したコンテンツを作成する
コンテンツを作成する際は、ペルソナで設定したターゲット像が抱きそうな疑問や課題を解決できるように意識しましょう。
ターゲットとなるユーザー層の幅が広くても、コンテンツ作成の際は絞ることが大切です。
幅広いターゲット層に向けて作られたコンテンツは、伝えたいことやターゲットが明確にならずに軸がぶれてしまうため、漠然とした内容になってしまいます。
ペルソナやカスタマージャーニーを参考に、ターゲットが求める情報を提供することが大切です。
またBtoB企業では、コンテンツ媒体のひとつであるホワイトペーパーを作るのもおすすめです。
ダウンロード型のホワイトペーパーにすることで、リードの情報を取得することができ、メールマガジンやLINEメッセージで配信に活用することができます。
(3)KGIとKPIの指標を設定する
中長期的な継続のために、KGIとKPIの設定をしておくことが大切です。
KPIとは、「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指標」とも呼ばれます。
これは、KGIを達成するために設定されたプロセスが適切に実施されているかを、定量的に評価するための指標であり、中間目標を指します。
KGIとは、「Key Goal Indicator」の略で、「重要目標達成指標」です。
売上高や成約数など、ビジネス上の最終目標を達成するために定量的に設定されるのが特徴であり、KGIは長期的な目標を指します。
成果が出るまでに時間がかかる初期段階のオウンドメディアの場合は、記事の公開本数や制作本数など、コントロールしやすい指標に設定しておくことがおすすめです。
KPI・KGIを設定することで、ブログの方向性を明確にし、ペルソナや検索キーワード、配信コンテンツを選定しやすくなります。
KGIから逆算し、達成しやすい具体的なKPIを掲げることで、効率的にコンテンツマーケティングを行うことができます。
(4)導入事例をコンテンツ化する
自社の商品・サービスの導入事例をコンテンツ化し、公開するのも効果的です。
導入事例は、現在抱えている課題と同様のケースを解決してくれる商品やサービスを探しているユーザーに対して訴求することができます。
また、導入事例を掲載することで商材の具体的な内容を伝えることができ、自社の信頼度や安心感の向上に役立ちます。
さらに、実際に商品・サービスを導入した際の具体的なイメージを醸成できるため、コンバージョンにつながることが期待できます。
まとめ
BtoB企業でコンテンツマーケティングを活用するためには、コンテンツ媒体の特徴を理解し、ターゲットユーザーに合ったコンテンツを活用することで、効果的なマーケティングを行うことができます。
また、BtoBはBtoCとは違い、購買プロセスや商品単価が比較的高いなどの特徴があり、顧客との関係性構築が重要になります。
本記事で紹介したポイントを参考に、ターゲットに刺さるコンテンツを継続的に配信することで、効果的なマーケティングを行いましょう。