Googleタグマネージャーとは?初心者でもできるタグ管理の基本と導入メリット


「Googleタグマネージャーとは?」
「いろいろなタグを埋め込んでいるけど、管理が煩雑。効率的に管理するには?」
Webサイトの運営において、様々な計測ツールやマーケティングツールを活用するには「タグ」の設置が欠かせません。
しかし、タグの管理は想像以上に複雑で、サイトの表示速度の低下や管理工数の増加といった課題に直面している方も多いのではないでしょうか。
そこで注目されているのが、Googleが提供する無料のタグ管理ツール「Googleタグマネージャー」です。
この記事では、Googleタグマネージャーの基本概念から具体的な設定方法、実際の活用事例まで、初心者の方でも理解できるよう詳しく解説していきます。
記事を読み終える頃には、タグ管理の効率化を実現し、Webサイトのパフォーマンス向上につなげる知識が身につくでしょう。
1.Googleタグマネージャーとは?
Googleタグマネージャーは、Webサイトに設置する各種タグを一元管理することができる無料のツールです。
従来のようにHTMLコードを直接編集することなく、管理画面から簡単にタグの追加・削除・編集を行うことができます。
以下のようなトピックについて解説します。
- タグとは
- タグマネージャーの役割
順に見ていきましょう。
(1)タグとは
タグとは、Webサイトのデータを収集・分析するために設置するJavaScriptコードのことを指します。
Google AnalyticsやGoogle広告、Facebook広告など、様々なサービスで提供されるタグをWebサイトに組み込むことで、アクセス解析やコンバージョン測定が可能になります。
例えば、Google Analyticsのタグを設置すれば、サイトへの訪問者数やページビュー数を測定可能です。
タグは非常に便利なのですが、増えるにつれて管理が煩雑になり、またサイトの読み込み速度にも影響を与える可能性がある点に注意しましょう。
なお、適切なタグの使用は、WebサイトのSEO効果を高めるためにも有益です。
タグとSEOとの関係性や主なタグの種類については、以下の記事でも解説しています。
(2)タグマネージャーの役割
タグマネージャーは、複数のタグを統合管理する「司令塔」のような役割を果たしています。
Webサイトに1つのタグマネージャーコードを埋め込むだけで、その後の各種タグの管理はすべて管理画面から行えるのが特徴です。
これにより新しいタグを追加したい場合も、HTMLファイルを都度編集する必要がなくなります。
また、タグの発動条件を細かく設定できるため、必要な時だけタグを実行させることで、サイトパフォーマンスの最適化も実現することが可能です。
2.Googleタグマネージャーを使うメリット
Googleタグマネージャーを導入することで、タグ管理の効率化とWebサイトのパフォーマンス向上という2つの大きなメリットが得られます。
より具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- タグの追加や削除がスピーディにできる
- タグの管理が効率化する
- ページの表示速度が上がる
- タグの発動が簡単になる
特に複数のマーケティングツールを使用している企業にとって、その効果は絶大です。
(1)タグの追加や削除がスピーディにできる
従来のタグ管理では、新しいタグを追加するたびにHTMLファイルを編集し、サーバーにアップロードする作業が必要でした。
Googleタグマネージャーなら、管理画面からの操作だけで、リアルタイムにタグの追加・削除を行うことができます。
例えば、新しい広告キャンペーンを開始する際のコンバージョンタグ設置も、数分で完了します。
緊急性の高いタグ設置にも迅速に対応でき、ビジネス機会を逃すリスクを大幅に軽減できるでしょう。
(2)タグの管理が効率化する
複数のタグを設置していると、どのタグがどのページで動作しているかを把握するのが難しくなります。
しかし、Googleタグマネージャーでは、すべてのタグが1つの管理画面に集約されるため、タグの状況を一目で確認することができます。
また、タグの実行履歴やエラー情報も確認できるため、問題が発生した際の原因特定も素早く行えるでしょう。
これによりチーム内でのタグ管理も透明性が高まり、作業の重複や設定ミスを防ぐ効果も期待できます。
(3)ページの表示速度が上がる
従来の方法で複数のタグを設置すると、それぞれのタグが個別に読み込まれるため、ページの表示速度が低下する傾向にありました。
Googleタグマネージャーではタグの読み込みが最適化され、必要な時だけタグが実行されるため、サイトパフォーマンスが向上します。
また、非同期読み込みによって、タグの処理がページ表示をブロックするようなこともありません。
ユーザー体験の向上はもちろん、SEOの観点からも大きなメリットといえるでしょう。
なお、ページの表示速度がSEOに与える影響については、以下の記事も参考になります。
(4)タグの発動が簡単になる
特定の条件でタグを発動させたい場合、従来は複雑なJavaScriptの記述が必要でした。
Googleタグマネージャーでは、視覚的なインターフェースを使って簡単に発動条件を設定できます。
例えば、「商品購入完了ページでのみタグを発動」、「特定のボタンをクリックした時だけタグを実行」といった条件設定を直感的に行うことができるのが特徴です。
プログラミング知識がない担当者でも、柔軟なタグ運用が可能になります。
3.Googleタグマネージャー導入前にしておくべき注意点
Googleタグマネージャーは非常に便利なツールですが、導入前に理解しておくべき注意点もあります。
具体的には、以下の通りです。
- 非対応のタグがある
- 導入作業が複雑
事前に課題を把握し、適切な準備を行うことで、スムーズな導入と効果的な運用を実現しましょう。
(1)非対応のタグがある
Googleタグマネージャーは、すべてのタグを管理できるわけではない点に注意しましょう。
一部の特殊なタグや、セキュリティ上の理由から直接HTMLに記述する必要があるタグも存在します。
例えば、一部のサードパーティツールのタグやカスタムHTMLが大量に含まれるタグは正常に動作しない場合があります。
導入前に現在使用しているタグの対応状況を確認し、非対応のタグについては別途対応策を検討するなどして対策が必要です。
(2)導入作業が複雑
Googleタグマネージャーの設定は、初心者には複雑に感じられる場合があります。
まずトリガーや変数の概念を理解し、適切に設定するには一定の学習時間が必要でしょう。
また、既存のタグをGoogleタグマネージャーに移行する際は、動作確認を十分に行うなど工数もかかります。
設定ミスによってデータ取得が停止してしまうリスクもあるため、段階的な導入とテスト環境での検証が重要です。
4.Googleタグマネージャーに必須の用語7つ
Googleタグマネージャーを効果的に活用するためには、基本的な用語の理解が不可欠です。
効果的な運用を行うためには、さしあたって以下のような概念について押さえておきましょう。
- アカウント
- ワークスペース
- コンテナ
- タグ
- トリガー
- 変数
- バージョン
これらの用語を理解することで、設定作業がスムーズに行えるようになり、トラブル時の対応も迅速に行うことができます。
(1)アカウント
アカウントはGoogleタグマネージャーの利用のために作成する単位で、会社に1つずつアカウントを作成するのが一般的です。
アカウントの下に複数のコンテナ(Webサイトやアプリの管理の単位)を配置して管理します。
Googleタグマネージャーではアカウントレベルでユーザー権限を管理できるため、チーム全体でのタグ管理が効率的に行うことができます。
なお、1つのGoogleアカウントで複数のタグマネージャーアカウントを統合管理することも可能です。
(2)ワークスペース
ワークスペースは、タグやトリガーの編集作業を行う作業領域のことを指します。
複数の担当者が同時に作業を行う場合、それぞれ別のワークスペースで作業することで設定の競合を避けられます。
編集内容は自動的に保存されるので、作業途中でも安心して中断が可能です。
なお、完成したワークスペースはあくまで下書き状態ですが、これを公開すればWebサイトにタグが反映される仕組みになっています。
(3)コンテナ
コンテナは、1つのWebサイトまたはアプリに対応する管理単位です。
コンテナIDは「GTM-XXXXXXX」の形式で表示され、HTMLコードに埋め込む際に使用します。
Webサイトには1つのコンテナコードを埋め込み、そのコンテナ内で複数のタグを管理します。
異なるドメインのサイトを管理する場合は、それぞれ別々のコンテナを作成する必要がある点に注意しましょう。
(4)タグ
タグは、実際にWebサイトで実行されるコードの設定です。
それぞれのタグには発動条件となるトリガーを設定し、適切なタイミングで実行されるように制御することが可能です。
Google AnalyticsやGoogle広告など、様々なサービス向けのタグテンプレートが用意されています。
例えば、カスタムHTMLタグを使用すれば、独自のJavaScriptコードも実行できます。
(5)トリガー
トリガーは、タグを発動させる条件を定義する設定です。
ページビュー、クリック、フォーム送信など、様々なユーザー行動に基づいてトリガーを作成することができます。
複数の条件を組み合わせることで、細かい発動制御も可能です。
例えば、「特定のページで特定のボタンがクリックされた時」といった複合的な条件設定も行えます。
(6)変数
変数はタグやトリガーで使用する動的な値を格納する機能です。
ページのURLやタイトル、クリックされた要素の情報など、様々な情報を変数として取得することができます。
組み込み変数とユーザー定義変数の2種類があり、必要に応じて使い分けが可能です。
変数を活用することで、より柔軟で効率的なタグ設定が実現できます。
(7)バージョン
バージョンは、公開されたコンテナの設定内容を記録するスナップショットです。
公開するたびに新しいバージョンが作成され、過去のバージョンに戻すことも可能です。
問題が発生した際の迅速な復旧や、設定変更の履歴管理に役立つ機能です。
バージョンには説明文を付けることができ、変更内容の管理もより効率的に行うことができます。
5.Googleタグマネージャーの使い方
実際にGoogleタグマネージャーを導入する手順を、4つのステップに分けて詳しく解説します。
具体的には、以下の流れによって行います。
- Googleタグマネージャーアカウントを発行する
- コードをページに埋め込みする
- タグとトリガーを設定する
- 公開する
初回設定から公開まで、順を追って進めることで確実に導入を完了できるでしょう。
(1)Googleタグマネージャーアカウントを発行する
まず、Googleタグマネージャーの公式サイトにアクセスします。
Googleアカウントでログインし、表示されるダッシュボードに表示されている「アカウントを作成」ボタンをクリックしましょう。
アカウント名には会社名やプロジェクト名を入力し、コンテナ名にはWebサイトのドメイン名を設定します。
ターゲットプラットフォームは「ウェブ」を選択し、利用規約に同意すればアカウント作成が完了です。
(2)コードをページに埋め込みする
アカウント作成後、コンテナコードが表示されます。
このコードは2つの部分から構成されており、1つ目は<head>タグ内、2つ目は<body>タグの直後に配置する必要があります。
コードの横にコピーボタンがあるのでコピーを実施し、その後サイト内のページに貼り付けましょう。
なお、WordPressサイトの場合は、テーマの編集画面またはプラグインを使用してコードを埋め込むことが可能です。
コードの埋め込みが完了したら、ブラウザの開発者ツールでコードが正しく読み込まれていることを確認します。
(3)タグとトリガーを設定する
管理画面上の「タグ」から「新規」をクリックして、新しいタグを作成します。
「タグの設定」の右上の鉛筆マークを押すと、タグの種類一覧が表示されるので、任意のタグの種類を選びましょう。
タグの種類を選択し、必要な設定項目を入力したら、トリガーを設定しましょう。
例えば、Google Analyticsタグを設定する場合は、トラッキングIDを入力し、「All Pages」トリガーを選択します。
設定が完了したら、「プレビュー」機能を使って動作確認を行い、期待通りに動作することを確認してください。
(4)公開する
すべての設定が完了し、動作確認も済んだら、「公開」ボタンをクリックします。
バージョン名と説明文を入力し、何を変更したかを記録しておくと後の管理が楽になるでしょう。
公開後は実際のWebサイトでタグが動作するため、Google Analyticsなどの管理画面でデータが正しく取得されていることを確認します。
初回公開では特に慎重に動作確認を行い、問題があれば前のバージョンに戻すことも可能です。
6.Googleタグマネージャーでよく使うタグと設定例
実際の運用では、サイトの性質やWebマーケティングの目的に応じて、実にさまざまなタグが利用されます。
Webサイトの運営でよく使用されるタグには、以下のようなものがあります。
- Google Analytics 4(GA4)のタグ設定
- Google広告のコンバージョンタグ
- クリックイベントのタグ
- YouTube再生率の計測
- スクロール率の計測
それぞれの設定方法についてご説明します。
(1)Google Analytics 4(GA4)のタグ設定
Google Analytics 4のタグ設定は、最も基本的で使う機会が多いタグでしょう。
このタグの設定により、Webサイトやアプリのアクセスを分析してユーザー行動を把握することができます。
まず「タグ」から「新規」を選び、「Googleアナリティクス: GA4設定」を選択します。
測定IDフィールドに、GA4プロパティの測定ID(G-XXXXXXXXXX)を入力しましょう。
トリガーは「All Pages」を選択することで、すべてのページビューが計測されるようになります。
必要に応じて、カスタムパラメータやタグの優先付なども設定することが可能です。
(2)Google広告のコンバージョンタグ
Google広告のコンバージョン測定を行うには、コンバージョンアクションごとにタグを設定する必要があります。
「タグ」から「新規」を選択し、その中の「Google広告のコンバージョントラッキング」を選びます。
コンバージョンIDとコンバージョンラベルは、Google広告の管理画面から取得して入力しましょう。
トリガーは、コンバージョンが発生するページ(購入完了ページなど)に限定して設定します。
コンバージョン値を動的に取得したい場合は、変数を使用して設定することも可能です。
(3)クリックイベントのタグ
特定のボタンやリンクのクリックを計測したい場合は、クリックイベントのタグを設定します。
まず「トリガー」から「新規」を選び、「クリック – すべての要素」を選択し、クリック計測を有効にします。
トリガーの条件で「すべてのクリック」か「一部のクリック」を選択して、保存を押します。
次はタグの設定から「Googleアナリティクス: GA4イベント」を選択し、イベント名とパラメータを設定すれば完了です。
例えば、「お問い合わせボタン」のクリックを「contact_click」というイベント名で計測するなどの場面で使えます。
(4)YouTube再生率の計測
埋め込まれたYouTube動画の再生状況を詳しく分析したい場合は、YouTube再生率の計測タグが有効です。
まず「変数」から「組み込み変数の設定」で、YouTube関連の変数を有効にします。
「トリガー」から「新規」を選び、その中の「YouTube動画」を選択し、計測したいアクションを設定しましょう。

タグは「Googleアナリティクス: GA4イベント」を使用し、動画タイトルや再生率をパラメータとして送信します。
これにより、どの動画がどの程度視聴されているかを詳細に把握できるようになるでしょう。
(5)スクロール率の計測
ページのどの部分まで読まれているかを把握するには、スクロール率の計測が重要です。
「トリガー」から「新規」を選び、「スクロール距離」を選択し、計測したいスクロール率を設定します。
スクロールは縦と横の計測が可能なので、画面や計測したい箇所に合わせて設定してください。
なお、この作業が終わったらタグの作成から「Googleアナリティクス: GA4イベント」を使用し、スクロール率をパラメータとして送信します。
この計測により、コンテンツの品質向上やページ構成の最適化に役立つデータが取得できます。
まとめ
Googleタグマネージャーは、Webサイトのタグ管理を革新的に効率化する強力なツールです。
複数のマーケティングツールを使用する現代のWebサイト運営において、その重要性はますます高まっています。
導入初期は用語の理解や設定の複雑さに戸惑うかもしれませんが、一度マスターすれば大幅な作業効率化とサイトパフォーマンスの向上が実現できるでしょう。
特に、タグの追加・削除の迅速性、管理の一元化、ページ表示速度の改善といったメリットは、ビジネス成果に直接的な影響をもたらします。
まずは基本的なGoogle AnalyticsタグやGoogle広告のコンバージョンタグから始めて、徐々に高度な機能を活用していきましょう。
ただし、Googleタグマネージャーは仕組みがやや複雑で、初めて使う場合は戸惑う場面も多いです。
そのような場合には、TMS Partners株式会社へご相談ください。
貴社サイトのGoogleタグの管理や計測結果のレポーティングなど、SEO対策を包括的にサポートします。
