アパレル業界にこそCRMが必要!おすすめツール9選と活用事例を紹介
「アパレル業界でCRMが必要な理由は?」
「アパレル事業者におすすめのCRMツールは何があるんだろう?」
アパレル業界の販売経路は多様化しており、オフラインとオンラインの顧客情報を統合管理する必要があります。
顧客管理の重要性は感じていても、CRMツールの選び方や運用に不安がある方も多いでしょう。
この記事では、CRMの概要とアパレル業界でCRMが求められる背景、CRMツールの活用メリットとデメリット、おすすめのツールやアパレルブランドでの活用事例を紹介します。
最後まで読めばCRMを使ってアパレル事業の利益を向上させ、ロイヤリティの高い顧客を育成する方法がわかるでしょう。
1.CRMとは
CRMとは顧客関係管理のことで、自社顧客と良好な関係を築きながら、ロイヤルカスタマーへ育成するための管理方法を意味します。
具体的にCRMで実施する業務とは、購入後のフォローメールや問い合わせへの対応、メールマガジンの配信などです。
また、CRMを実施するためのツール自体をCRMと呼ぶこともあります。
CRMの概念や機能については、以下の記事をご覧ください。
2.アパレル業界でCRMが求められる背景
なぜ顧客関係管理がアパレル業界で重要視されているのか、その背景には以下5つの事情があります。
- 取り扱う商材がウォンツ商品であるため
- 市場規模の縮小
- 購買経路の多様化
- 市場全体の低価格化
- ECサイトやフリマアプリとの競合
アパレル業界のCRMについて考える前に、なぜアパレル企業が顧客関係管理に取り組むべきなのか、その意義を理解しておきましょう。
(1)取り扱う商材がウォンツ商品であるため
アパレル業界でCRMが求められるのは、業界で取り扱う商材がアクセサリーやバッグなどの装飾品であるためです。
装飾品はなくても困らないものであるため、顧客に「欲しい」という欲求を持たせて購入に誘導する必要があります。
顧客の購買意欲を刺激しなければ購買に至らない反面、顧客との信頼度や満足度が向上すれば長期的に自社のファンとなってもらえるでしょう。
わかりやすい例がハイブランドの商品です。
安いバッグはたくさん売られていますが、消費者はそのデザインやブランド力に価値を見出し、欲しいという欲求を刺激されることで高額であっても購入します。
また、ハイブランドは顧客への丁寧なアフターフォローで知られており、実店舗では担当がついて購入履歴からおすすめ品を紹介したり、ロイヤルカスタマーには担当と直接連絡が取れるコンタクト情報を教え、いつでも問い合わせができる環境を整えています。
上記のような努力により、顧客との関係を育成し長期的に自社ブランドを愛するファンを抱えることができるのです。
以上のように生活必需品でない商材を扱うのが特徴のアパレル業界では、顧客とのコミュニケーションを通じて満足度を高める努力が必要です。
顧客とのコミュニケーションを適切に管理するためにも、アパレル業界でCRMは大きな意味を持ちます。
(2)市場規模の縮小
アパレル業界の市場規模は縮小傾向にあり、新規開拓と同時に既存顧客を囲い込む必要性からCRMが重要視されています。
矢野経済研究所の調査「国内アパレル市場に関する調査を実施(2022年) | ニュース・トピックス」によると、アパレル業界の市場規模は2020年のコロナ禍の影響で著しく落ち込み、2022年には回復傾向を見せていますが、その後大きな伸びは期待できないと予測されています。
日本は少子高齢化が加速しており、アパレル業界の購買層の人口が減少しているためです。
また、円安や物価高騰の煽りを受けて、消費者の財布の紐が固くなっている今では、生活必需品でないアパレル商材は家計において節約の対象となってしまいます。
このような現状で市場の拡大は望めないため、アパレル業界では既存顧客を自社のリピーターとして育成して、長期的かつ安定した売り上げを創出する必要があります。
長期的に自社ブランドを利用する顧客の育成はCRMの得意分野であり、各アパレル企業が改めてCRMに取り組んでいるのです。
(3)購買経路の多様化
アパレル業界の購買経路は店舗が主でしたが、インターネットの発達やコロナ禍の影響により購買経路がさらに多様化しています。
実店舗以外でもECサイトから商材を購入できるようになった今、企業はオフラインの顧客とオンラインの顧客双方の情報を一元管理しなければなりません。
2つの情報を別で管理していると正確な顧客の傾向や統計が取れず、マーケティングに必要なデータを正しく分析できないためです。
そこでアパレル企業各社はCRMツールを導入し、オフラインとオンラインの顧客情報を統合して属性を分析したり、適正なマーケティング実施に活かしています。
(4)市場全体の低価格化
ファストブランドの台頭によりアパレル市場全体が低価格化しています。
「gu」や「SHEIN」など安価にアパレル商材を購入できる経路がスタンダードとなり、消費者はあえて高いものを購入する必要性を感じなくなっています。
この状況に対応するには自社ブランドの商材の価格を下げる必要がありますが、値下げにより自社の利益が目減りするリスクがあります。
そこで各アパレル業界は、自社商品の価格を変動させず利益を確保するために、既存顧客からのリピート購入を促す方向へシフトを切り替えました。
その結果CRMの重要性に改めて注目され、各社がCRMを用いて顧客との良好な関係維持に努めています。
(5)ECサイトやフリマアプリとの競合
アパレル業界ではECサイトやフリマアプリが台頭しており、アパレルブランドはこれらの競合と渡り合っていく必要があります。
実店舗を持たずECサイトのみで衣類を販売している企業は、コストカットで商材の値引きに成功しており、多くの消費者から支持を集めています。
また、フリマアプリの台頭により消費者はアパレル企業を経由せず、安く衣類やアクセサリー類を購入できるようになりました。
消費者が購入する経路の選択肢が増えたことで、アパレル企業はユーザーに自社を選んでもらう工夫が必要となっています。
顧客に「この企業から買いたい」と思ってもらうには、企業イメージ向上が欠かせません。
そのためにCRMにより顧客との良質なコミュニケーションで、顧客の好感度を獲得する必要が強まっています。
3.アパレル業界でCRMツールを取り入れるメリット
アパレル業界でCRMを取り入れることで、5つのメリットが得られます。
- OMOの実現
- 顧客情報の一元管理と分析
- コスト削減
- リピーターの創出
- 効果の高いマーケティング戦略
メリットへの理解はCRMへの取り組みの意欲を上げることにつながるので、しっかり読んで理解しておきましょう。
(1)OMOの実現
アパレル業界でCRMを取り入れれば、OMOの実現につながります。
OMOとはオンラインとオフラインの統合という意味で、実店舗とECサイトを区別せず良質な購買体験を顧客に提供することです。
例えば、ユニクロが提供しているモバイル注文、店頭受け取りの仕組みもOMOの1つです。
送料を無料にすることで顧客にもメリットがあり、なおかつ事業者側は顧客を実店舗へ来店させることで実際に商品を手に取ってもらい、注文された商品以外を販売するチャンスを得られます。
また、ECサイトでの購買情報を店舗に送信し、購入者に対して適切な商品をレコメンドする手法もOMOと言えます。
以上のようにオンラインとオフラインの情報を活用するには、CRMが欠かせません。
CRMを取り入れることで多様な顧客の購買経路に対応し、情報を活用できます。
(2)顧客情報の一元管理と分析
CRMの導入により、顧客情報を一元管理し、詳細な分析が可能となります。
アパレル業界は販売経路が多様化しており、CRMなしではオフラインとオンラインの情報が分断されてしまいます。
CRMに顧客情報を統合しておけば、自社を利用している顧客の情報や購買履歴、属性情報から適切なマーケティング施策を打てるようになるでしょう。
販売経路の多様化による情報分散のリスクを回避できる点も、CRM導入のメリットです。
(3)コスト削減
CRMの導入によりコストを削減できる点もメリットです。
顧客属性の分析により詳細なターゲティングができるようになるため、効果の高い広告を打てるようになります。
今までのように広範囲をターゲットとしてメディア広告やWeb広告を出稿しなくて良くなり、安価な費用で今まで以上の広告効果を得られるでしょう。
また、ロイヤリティの高い顧客にのみ郵送でカタログや冊子を送り、まだ購買履歴の少ない顧客にはメールマーケティングのみに絞るなどの施策が可能となり、費用を抑えて顧客とコミュニケーションを取れるようになります。
(4)リピーターの創出
CRMによりロイヤリティの高い顧客の創出も期待できます。
従来のように一斉にDMを送る方法でも一定の効果がありましたが、販売経路や選択肢が複雑化したいま、より顧客に寄り添ったコミュニケーションが必要です。
顧客の購買履歴から好みに合った商品をレコメンドしたり、一度でも閲覧した商品のセール情報を送るなど、顧客のニーズや行動分析により再購入を促せます。
CRMの導入によりリピーターを生み出し、自社の長期的な顧客に繋げられるでしょう。
(5)効果の高いマーケティング戦略
CRMツールを導入すれば、自社アパレル製品を購入した顧客の属性や行動履歴を分析できます。
顧客が好む傾向や商品、行動から適切なマーケティング戦略を練れば、マーケティング施策の効果も上がるでしょう。
例えば、CRMで分析した顧客の属性や行動履歴からよく見るSNSに広告を出稿すれば、自社の新規顧客を獲得できる可能性も上がります。
CRMにより、既存顧客とのコミュニケーションはもちろん、自社の顧客になり得る対象へのアプローチ戦略を生み出すヒントを得られます。
4.アパレル系企業が選ぶべきCRMシステムの特徴
アパレル系企業が顧客関係管理を実施するには、CRMシステムが必要です。
アパレル業界は購買経路が複雑化しているため、複数のチャネルの情報を統合管理する必要があります。
アパレル企業が選ぶべきCRMシステムの特徴は以下の5つです。
- アパレルに特化した顧客情報を管理できるか
- オフライン・オンライン間の連携が可能か
- 顧客とのコミュニケーションを一元管理できるか
- 操作が直感的で使いやすいか
- 自社導入目的を叶えられるか
どのようなCRMシステムがアパレル業界に向いているのか、その特徴を紹介します。
(1)アパレルに特化した顧客情報を管理できるか
アパレル企業が選ぶべきCRMツールは、業界に特化した顧客情報の管理機能を備えているものがおすすめです。
顧客の氏名や性別、住所だけでなく衣類の好みや身体のサイズなど細かな情報入力ができるシステムを選びましょう。
例えば、衣類を主に扱う企業なら服のサイズや色の好み、購入される傾向の高い服の形状、購買経路などが管理できると顧客の好みを分析しやすくなります。
アパレルに特化したCRMなら、カスタマイズ不要で衣類や靴などのサイズを入力する項目があるため、管理が簡単です。
(2)オフライン・オンライン間の連携が可能か
実店舗とECサイト双方を運営しているアパレル企業の場合は、オフラインとオンライン間の連携ができるかどうかを確認しましょう。
実店舗とECサイトの両方を利用する顧客がいた場合、連携ができなければ情報が2つに分かれてしまい、正確な分析ができません。
正確な分析と顧客情報の収集のためにも、オフラインの顧客とオンラインの顧客の情報を連携させる仕組みがあるCRMを選びましょう。
(3)顧客とのコミュニケーションを一元管理できるか
顧客とのコミュニケーションツールを一括管理できるCRMを選びましょう。
アパレル業界に限らず、企業と顧客のコミュニケーションが多様化しているためです。
住所へのダイレクトメール、メールマガジンやLINE、SNSなど複数のツールを一元管理できなければ、顧客とのコミュニケーションコストが増大します。
コミュニケーションツールを一元管理できるCRMツールを選ぶことで、効率的に複数のチャネルを使って顧客と交流を持つことができるでしょう。
(4)操作が直感的で使いやすいか
CRMツールの操作性の良さも、選定時の重要な基準となります。
企業が新しいツールを導入してもなかなか定着しない原因は、操作性の悪さにより社員がツールを活用しないためです。
アパレル業界は管理する情報がオンラインとオフラインに分かれており、管理する項目が他業界よりも多いため、操作が簡単なツールでないと使いこなすのが難しいでしょう。
実際にCRMを使ってみて操作が簡単か確かめたうえで、現場の社員にもデモツールを操作させ、使い勝手が良いツールを選んでください。
(5)自社導入目的を叶えられるか
CRMツール導入の前に、なんの目的でツールを取り入れるかを改めて確認しておきましょう。
目的を決めておかないとツールの効果が測定できず、導入効果が正しく把握できません。
また、CRMツールも製品によって特化した機能が分かれているため、目的を明確にしておかないと使い勝手の悪いツールを導入してしまうリスクがあります。
例えば、複数のチャネルに分かれたコミュニケーションの統合により業務効率化とコミュニケーションの質の向上を目指すなど、明確な目的を決めてください。
そして、その目的に沿った機能を有するCRMツールを選ぶようにしましょう。
5.アパレル業界におすすめのCRMツール9選
アパレル業界におすすめのCRMツールを9個選定しました。
- Synergy!
- STORES
- GENIEE SFA/CRM
- Customer Rings
- Flipdesk
- アパレル管理自動くん
- Loyal Customer Vision
- GMOおみせアプリ
- うちでのこづち
アパレル業界向けの機能が搭載されている使いやすいCRMツールのみを選定しています。
1つずつ特徴を紹介するので、自社の顧客管理フローに合うツールを見つける参考にしてください。
(1)Synergy!
「Synergy!」は、さまざまなチャネルからの情報収集や分析に長けたCRMツールです。
LINEやメール、ECサイトやブランドアプリなど幅広いチャネルと連携させて、顧客情報を統合管理可能です。
多様化した販売経路やコミュニケーションツールの統合がしやすく、実際にアパレル業界でも多くの導入事例があります。
Synergy!は業種や会社に合わせてアプリケーションを組み合わせ、最適化したCRMとして導入する支援を実施しています。
そのため、どのような業種でも使いやすく業態に合わせて、トゥーマッチになりすぎない使いやすいCRMとして利用できる点が特徴です。
(2)STORES
「STORES」はアパレルブランドのために開発された、実店舗とECサイトの顧客情報を統合管理できるツールです。
オフラインとオンラインの情報を統合管理できるだけでなく、メール配信やアプリへのステップ通知などのマーケティング施策にも対応しています。
中小規模のアパレルショップを運営している方など、自社専用アプリを作って顧客管理に役立てたい方におすすめのツールです。
(3) GENIEE SFA/CRM
「GENIEE SFA/CRM」は、純国産CRMでアパレル業界や美容業界でも活用されています。
顧客管理機能だけでなく、営業活動の管理や予実管理もできることから、売り上げ予測などにも活用可能です。
また、メール配信などの機能も完備しており、1つのツールで顧客とのコミュニケーションも完結します。
純国産ツールであるため日本語完全対応であり、また画面も日本人が使いやすいように作られているため、操作性が良い点も特徴です。
(4)Customer Rings
「Customer Rings」は、顧客管理システムとBI、マーケティングオートメーション機能を搭載したCRMです。
One to Oneマーケティングに強みを持っており、顧客情報を分析してニーズに沿った情報発信ができるなど、パーソナライズされた顧客対応に定評があります。
またECサイトのカゴ落ち対策や在庫トリガーのアラートを発するなど、店舗運営を効率化する機能も搭載されています。
アパレル業界でも導入実績が豊富なCRMなので、まずは問い合わせでデモシステムを利用してみましょう。
(5)Flipdesk
「Flipdesk」は、ECサイト運営に特化したCRMです。
サイトの訪問ユーザーの属性や行動履歴を分析し、ユーザーへの販促とオンラインでの接客の質を向上させます。
例えば、初回訪問のお客様に対しての人気商品ランキングページの作成やカゴ落ち対策、キャンペーン訴求やカウントダウンなど、購買率を上げる機能が豊富です。
また、チャットボットを簡単に作成できるので、接客が行き届かないイメージがあるECサイト運営でもお客様に対してきめ細かい対応ができます。
(6)アパレル管理自動くん
「アパレル管理自動くん」は、アパレル業界の販売と在庫管理に特化したCRMツールです。
アパレル業界のために作られたCRMのため、システム設計もアパレル業界で使いやすい仕様となっており、業務に支障をきたしません。
ECサイトとのリアルタイム連携や複数のネットショップの在庫や販売管理はもちろん、顧客情報を集約して一元管理できます。
カスタマイズも豊富で、WMSサービスとの連携やBIツールの最適化など、柔軟に自社のフローに合わせて機能を拡張可能です。
(7)Loyal Customer Vision
「Loyal Customer Vision」は、O2O(Online to Offline)に強みを持つCRMです。
オンライン店舗から実店舗への送客を促す機能が搭載されており、ECサイトと実店舗双方を運営するアパレル企業におすすめです。
顧客の基本情報管理はもちろん、接客内容やポイント管理を1つのツールででき、さらにクーポンやプッシュ通知の配信で購買を促す機能も搭載されています。
また、顧客属性に合わせたクロス分析やデシル分析機能も搭載し、精度の高いデータドリブンなマーケティングを可能にしてくれるCRMです。
(8)GMOおみせアプリ
「GMOおみせアプリ」は、簡単に店舗アプリを作成し、さまざまな顧客情報を統合管理できるツールです。
セミオーダー型のアプリのためカスタマイズが効きやすい点が特徴で、自社オリジナルのアプリを安価に作成できます。
また、ダッシュボードでは顧客情報の分析やマーケティングの効果測定が可能と、CRM機能も搭載しています。
詳細なスコアリング機能や自動配信機能も利用できるので、顧客とのコミュニケーションを自動化して効率的に顧客ロイヤリティを高めることが可能です。
(9)うちでのこづち
「うちでのこづち」は、EC通販を主体としたアパレル企業での導入実績が豊富なCRMです。
ツールに自社顧客情報を集積して詳細な分析を実施、さらに顧客情報を活用してメールやDM、LINEやSNSで販促につながる情報を発信できます。
自社で運用している広告ごとの効果測定をわかりやすくグラフにして表示するなど、広告運用の効率化も可能です。
UIにこだわって作られたシンプルな操作性やさまざまなシステムとの連携性も高く、非常に使いやすいCRMといえるでしょう。
6.アパレル業界におけるCRMの活用事例
アパレル業界においてCRMを活用した事例を3つ紹介します。
- ミズノ株式会社
- 株式会社ナノ・ユニバース
- ユナイテッドアローズ
CRM活用の取り組みを参考に、自社のCRM施策を考えましょう。
(1)ミズノ株式会社
スポーツアパレルブランド「ミズノ株式会社」は、顧客とのコミュニケーションと効果測定に課題を抱えていました。
CRM導入前は特定条件に当てはまる会員を手作業でピックアップし、メール配信をしていたためです。
また、メールマーケティングの成果確認が月に1回の定時会議の機会のみになっており、施策単位での効果測定ができていませんでした。
そこでミズノ株式会社はCRMを導入し、メール配信をほぼ自動化し、できた時間をメールシナリオの作成に配分することでメールマガジン経由の売り上げが導入前よりも最大66%アップしました。
また、CRMを通じて施策の効果測定をタイムリーにできるようになり、成果をもとにした新しいアイデアを生み出せるようになりました。
(2)株式会社ナノ・ユニバース
「株式会社ナノ・ユニバース」は人気のセレクトショップとして、店舗とECサイトを展開しています。
CRM導入のきっかけとなったのは、ECサイトと店舗POSシステムそれぞれで会員情報やポイントサービスを管理しており、情報が二分化していたことです。
オムニチャネル戦略やO2O戦略の実施を目的としてCRMを導入し、顧客情報をCRMに一元管理し、オフラインとオンラインの情報を連携させることに成功しました。
CRM導入によりユーザーの買い物の際の利便性が上がったことで、顧客満足度やポイントの活用につながりました。
また、顧客情報を一元管理できるようになったことで、ユーザーの行動履歴を追えるようになり、顧客との関係を強化するためのポイント施策やクーポン施策を実施できるようになりました。
(3)ユナイテッドアローズ
「ユナイテッドアローズ」は顧客ロイヤリティの育成を目的として、CRMの活用を始めました。
顧客とのコミュニケーションの多様化に合わせて公式アプリをリニューアルし、オンラインとオフライン双方で使える会員証機能を搭載させ、OMO戦略に挑戦しました。
さらに公式LINEアカウントの情報と公式サイトの会員情報を連携させ、双方のIDを連携させているユーザーに特別なシナリオメッセージを配信するなど、属性ごとのコミュニケーションも活用しています。
CRM活用により顧客にオンラインとオフラインの垣根なく買い物をできる動線を作り、また情報統合により多彩なコミュニケーションが取れるようになりました。
7.アパレル業界でCRMを導入する際の注意点
アパレル業界でCRMを導入する際の注意点は3つあります。
- 課題をもとに導入目的を明確にする
- 顧客とのコミュニケーション手段を洗い出す
- CRM運用選任のチーム体制を整える
CRMの導入自体が目的にすり替わらないよう、自社でCRMを運用して何を叶えたいのかを明確にすることが大事です。
1つずつ内容を説明します。
(1)課題をもとに導入目的を明確にする
アパレル業界でCRMを導入する際には、課題をもとに導入目的を明確に決めておきましょう。
売り上げアップはもちろん、顧客のロイヤリティ向上や販促など幅広い目的が思い浮かぶはずです。
しかし、雑多な目的でCRMを導入すると優先順位が決められず、どれも中途半端な施策に終わってしまいます。
CRMを導入する際はまず、自社で最優先の課題を洗い出してその問題を解決できるCRMを選ぶと良いでしょう。
(2)顧客とのコミュニケーション手段を洗い出す
顧客とのコミュニケーションツールが多様化している場合は、まず顧客とのコミュニケーション手段を全て洗い出しましょう。
メールやSMSはもちろん、LINEやSNSのDM機能などを活用している場合は、それに対応したCRMツールが必要です。
複数のツールで顧客とのコミュニケーションの対応をすると手間がかかり、情報共有漏れの原因となります。
複数のコミュニケーションツールを統合管理できるCRMを選び、効率よく自社顧客とコミュニケーションを取りましょう。
(3)CRM運用専任のチーム体制を整える
アパレル業界でCRMを運用する際は、可能であればCRM運用専任チームを立ち上げるのが好ましいです。
CRMは膨大なデータを管理、分析する性質上、運用に手間がかかります。
CRM施策を実施した際に効果測定を行い、成果に応じた改善案が出せなければ、CRM活用の意味はありません。
そのためには、CRM対応を専門的に実施するチームを立ち上げることをおすすめします。
中小規模のアパレル事業者の場合は、ITチームの運用が難しいかもしれません。
その場合は自社で導入したCRMの効果測定を日次のルーティンに組み込むなどして、タイムリーに成果を確認するフローを作るのがおすすめです。
まとめ
販路が多様化し、顧客の選択肢が増えた現在のアパレル市場では、顧客との関係づくりが非常に大切です。
CRMを活用した顧客との適切なコミュニケーションや接客で、ロイヤリティの高い顧客を創出できます。
記事で紹介したCRMツールはアパレル業界向けに作られたツールや導入実績の多いもので、販促やECサイト運営に強みを持つものを選んでいます。
記事の内容を参考にして、CRMを活用した顧客との関係維持やマーケティング施策を考案しましょう。