HubSpot CRMとは?導入メリットとデメリット比較・料金プランを紹介
「HubSpot CRMは本当に無料で使えるCRMなの?」
「HubSpot CRMの導入メリットとデメリットを比べてから導入を検討したい」
HubSpot CRMは、無料で顧客関係管理機能を利用できるCRMです。
しかし無料だけに機能面が不足しているのではないか、後から課金が必要なのではないかと不安になっている方もいるでしょう。
この記事では、HubSpot CRMの概要や機能一覧、料金プランや導入メリットとデメリット、実際の導入事例を紹介します。
最後まで読めばHubSpot CRMの有用性を理解できるだけでなく、活用方法もわかるでしょう。
1.HubSpot CRMとは
HubSpot CRMの概要を説明します。
- HubSpotとは
- HubSpot CRMの運営会社
HubSpot CRMとは、Hub Spotを構成する機能の1つです。
まずは構造や利用できるツールの概要を理解しましょう。
(1)HubSpotとは
Hub Spotとは、以下の5つの機能を束ねるCRMプラットフォームです。
- HubSpot CRM
- Marketing Hub
- Sales Hub
- Service Hub
- Operations Hub
1つずつ機能を解説します。
#1:HubSpot CRM
HubSpot CRMとは、顧客管理を効率化するためのツールです。
基本機能は顧客とのコミュニケーションの統合や顧客情報の一覧表示、検索条件により抽出、広告の管理です。
HubSpot CRMの基本機能は無料で利用できるため、CRMを初めて使ってみる企業でも手軽に導入できます。
#2:Marketing Hub
Marketing Hubは、マーケティングオートメーション機能を実装したツールです。
ランディングページやブログの作成、またメールやSNSの開封率の分析などマーケティングに特化した機能を利用できます。
さらに、リードナーチャリングやマーケティングプロセスの自動化も可能です。
#3:Sales Hub
Sales Hubは、営業活動や業務の自動化を支援するツールです。
顧客の反応率に合わせたメール配信機能や、Webページへのリアクションやアクセス数のログやデータ分析機能を完備しています。
また、営業部門の見積書作成の自動化やレポート作成など、営業の業務効率を上げる機能も実装しています。
#4:Service Hub
Service Hubは、顧客対応を向上させるためのツールです。
顧客からの複数経路からの問い合わせを統合管理でき、後追いが必要な案件や課題を追跡する機能も実装しています。
また、チャットボットによる自動応答botの作成やFAQページの作成も可能です。
#5:Operations Hub
Operations Hubとは、会社のオペレーション支援のためのツールです。
定型業務を自動化させたり、データを統合して管理するための機能を実装しています。
例えば、上長承認をワークフロー化して自動的に申請書が回るようにすれば、手作業の業務が減り省人化につながります。
(2)Hub Spot CRMの運営会社
Hub Spot CRMの運営会社情報をまとめます。
本社はアメリカにありますが、日本法人を設立しており、日本での導入については日本語サポートが可能です。
社名 | HubSpot Japan株式会社 |
---|---|
所在地 | 東京オフィス 〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目4番1号 丸の内永楽ビル26F本社 HubSpot, Inc.(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ) |
設立 | 2016年2月 |
事業内容 | CRMプラットフォームの開発、販売、および関連サービスの提供 |
HP | https://www.hubspot.jp/company-information |
2.HubSpot CRMの特徴
HubSpot CRMの特徴を3つ紹介します。
- 基本機能は完全無料で利用可能
- 世界17.7万社以上の導入実績
- 直感的な操作
HubSpot CRMが特に優れている点を紹介するので、導入前の参考にしてください。
(1)基本機能は完全無料で利用可能
HubSpot CRMの基本的な機能は、完全無料で利用できます。
一般的なCRMは無料プランがあっても機能制限があり、トライアルプランのような扱いのものばかりです。
しかし、HubSpot CRMは以下のような本格的な顧客関係管理機能を利用できます。
- 顧客とのやり取りの管理
- 交渉履歴の記録
- ヘルプデスク機能
- Webチャット
- 顧客の待ち時間レポート
- チケット管理
- Eメールテンプレート作成
- 顧客アンケート
(2)世界17.7万社以上の導入実績
HubSpot CRMは世界17.7万社以上の導入実績を誇るCRMです。
これだけの導入実績があるということは、HubSpot CRMの使いやすさや機能面に魅力が多いことに他なりません。
また、日本でも導入実績が豊富なため、先行利用者が操作についてのマニュアルなどをブログ等で公開しているのも利点です。
万が一使い方や設定方法について不明点があっても、インターネット検索で容易に問題を解決できます。
(3)直感的な操作
HubSpot CRMは直感的な操作が可能で、導入後の運用が定着しやすい点もメリットです。
CRMが社員に浸透しないいちばんの理由は操作性の悪さです。
操作性が悪いとツールを使うこと自体に時間を要するため、社員は生産性や効率を求めて既存ツールを使う傾向にあります。
その点HubSpot CRMは操作性が良いため、社員に抵抗なく受け入れられやすく定着率も高いです。
3.HubSpot CRMの機能一覧
HubSpot CRMの機能を紹介します。
- 顧客情報やマーケティングの一元管理
- 顧客情報を収集するフォーム作成と管理
- 顧客データの分析
- 顧客とのコミュニケーション
- Web広告管理
顧客関係管理においてどのような機能を利用できるツールか把握し、導入によって自社課題を解決できるかどうか判断しましょう。
(1)顧客情報やマーケティングの一元管理
HubSpot CRMでは、顧客情報やマーケティング情報の一元管理ができます。
リード(見込み顧客)から商談中の取引先、顧客の情報を1つのツールで管理でき、リストとして表示することが可能です。
また、顧客情報だけでなく運用しているマーケティング施策を一覧化でき、自社でどのような取り組みをしているかも一目瞭然です。
分断しやすい営業とマーケティング部門との境目もなくなり、シームレスな情報共有が可能となります。
(2)顧客情報を収集するフォーム作成と管理
HubSpot CRMが優れているのは、顧客情報の収集セクションから統合管理できる点です。
別でWebフォームを作成管理する必要はなく、HubSpot CRMを使ってWebフォームを作成し、顧客情報を収集できます。
顧客がフォームに入力した情報はHubSpot CRMへ自動的に取り込まれるため、従来のように紙媒体やエクセル媒体の情報をCRMに入れ直す必要はありません。
(3)顧客データの分析
HubSpot CRMには顧客データの分析機能も実装されています。
顧客の傾向を分析してセグメント化すれば、自社を利用している顧客の属性や行動パターンが見えてくるため、より詳細なマーケティング・営業プランを立てられます。
送信したメールの開封率や反応率をもとにした分析も可能なので、優先的に営業をかけるべき顧客を営業部門へエスカレーションするなど、複数部門で活用できる情報分析が可能です。
(4)顧客とのコミュニケーション
HubSpot CRMは顧客とのコミュニケーションの管理にも長けています。
メールやSNS、LINEなど複数チャネルでの顧客との連絡を統合させ、社員で顧客対応や問い合わせ内容、クレームなどを共有できます。
また、優先的に対応すべき顧客にチケットを付与でき、コールセンターで抱えている未解決の案件を見逃す心配がありません。
(5)Web広告管理
HubSpot CRMでWeb広告の管理も一元化できます。
Web広告管理を別のツールで実施していると、データが分散してしまい広告効果の検証や分析がうまくいきません。
HubSpot CRMはWeb広告も管理できるため、マーケティング部門や営業部門で広告効果を元にして新たな戦略を立てるのに役立ちます。
4.HubSpot CRMを導入するメリット
HubSpot CRMを導入するメリットは以下の5つです。
- 安価な費用でCRMを運用できる
- 1つのプラットフォームで様々な機能を一元管理できる
- 効率的なマーケティングや営業施策を実施できる
- 顧客とのコミュニケーションの質を上げられる
- 複数チャネルを1つのプラットフォームで管理できる
導入によってどのようなメリットが得られるか理解しておくことで、他のツールとの比較が容易になります。
1つずつHubSpot CRMを導入するメリットを説明します。
(1)安価な費用でCRMを運用できる
HubSpot CRMは基本的なCRMツールの機能を無料で利用できます。
有料版であってもSalesforceなどのCRMと比べると安価なため、費用を抑えて導入できるのは大きなメリットです。
またHubSpot CRMはクラウド型システムのため、セキュリティソフトのアップデートなどのメンテナンスにかかるコストが不要となります。
安価な費用でCRMを運用できるのは、HubSpotならではの大きな強みでしょう。
なお、CRMの提供形態による違いは以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。
(2)1つのプラットフォームで様々な機能を一元管理できる
HubSpot CRMは1つのプラットフォームで幅広い機能を一元管理できます。
冒頭でも説明したとおり、HubSpotは以下5つの機能を統合管理するプラットフォームです。
CRMはもちろんMA、SFAや顧客対応に特化した機能を1つのプラットフォームで管理できるため、自社にシステムが乱立する心配がありません。
全社で同じプラットフォームを利用することで、部門間の分断や情報共有漏れを防げます。
(3)効率的なマーケティングや営業施策を実施できる
HubSpot CRMのデータ分析機能を使えば、効率的なマーケティングや営業施策を実施できます。
メールマガジンの開封率から自社に関心度の高い顧客をスコアリングし、優先的に営業をかけるなどの施策が可能です。
また、顧客の属性を分析すれば自社商品を愛用する顧客のペルソナが見えてきます。
顧客のペルソナの解像度が上がれば、より詳細なマーケティングが可能になるでしょう。
(4)顧客とのコミュニケーションの質を上げられる
HubSpot CRMは顧客からの問い合わせ管理を一元化し、全社で情報共有できます。
顧客の対応のたびに情報を聞き取る必要がないため、顧客を待たせず素早く必要な情報を提供できます。
また、クレームや問題発生など優先度の高い顧客にチケットを付与すれば、対応漏れもなく、適切なタイミングでフォローを行うことが可能です。
(5)複数チャネルを1つのプラットフォームで管理できる
HubSpot CRMでは、複数チャネルの情報を1つのプラットフォームで管理できます。
Webサイトや広告、LINEやSNSなどの情報を1つのプラットフォームで管理できるため、情報がバラついて対応漏れが生じる心配がありません。
また、別のプラットフォームを開いて情報を確認して処理する手間もなくなるため、業務効率も上がるでしょう。
5.HubSpot CRMのデメリット
HubSpot CRMのデメリットについても把握しておきましょう。
- 無料版で利用できる機能に制限がある
- 英語がベースのツールのため純国産ツールよりも使いにくい
- 機能が多すぎて使いこなせない可能性がある
1つずつ詳細を解説します。
(1)無料版で利用できる機能に制限がある
HubSpot CRMは無料版で利用できる機能に制限があります。
たとえば、無料版ではHubSpotのロゴがメールに自動的に入ってしまったり、メール配信数が2,000件までの制限があるため、配信数が多い企業は有料版を利用した方が良いでしょう。
また、デザインのカスタマイズやA/Bテストも有料版からの機能です。
基本的なCRMの機能は無料でも利用できますが、より細かな設定や上限の開放をしたい場合は有料版の契約が必要となります。
(2)英語がベースのツールのため純国産ツールよりも使いにくい
HubSpot CRMは英語がベースになっているため、純国産ツールよりも使いにくい可能性があります。
もちろん日本語対応はしていますが、細かな部分で操作性の悪さを感じるかもしれません。
国産ツールと比較したい方はHubSpotの無料プランを契約して使い勝手を試し、国産ツールと比べてみると良いでしょう。
(3)機能が多すぎて使いこなせない可能性がある
HubSpot CRMは1つのプラットフォームで5つの機能を利用できます。
機能が充実しており1つのツールで複数の部門の業務を効率化できるのはメリットですが、かえって使いづらいと感じるかもしれません。
HubSpot CRMは元々ITツールを導入していなかった企業などには、オーバースペックになる可能性があります。
もちろんHubSpot CRMの機能を使いこなせれば、今よりも効率の良い営業やマーケティング施策ができます。
一度無料ツールを使ってみて、自社に不要な機能が多い場合は別のツールを検討すると良いでしょう。
6.HubSpot CRMの料金プラン
HubSpot CRMの料金プランを紹介します。
- 無料ツール
- Marketing Hub Starterプラン
- Starter Customer Platformプラン
- Marketing Hub Professionalプラン
利用できる機能を比較して、自社で必要なプランを選びましょう。
(1)無料ツール
HubSpot CRMの無料プランでは、顧客情報の管理やメールの自動送信、Webサイトの管理などの基本機能を利用できます。
CRMについては全ての機能が利用できるので、CRM機能だけを使いたい企業は無料プランで機能面では十分です。
その他メールの一括送信や商談管理、顧客からのサポート質問を管理するチケット機能なども利用できます。
(2)Marketing Hub Starterプラン
Marketing Hub Starterプランは、月額2,160円から利用できる有料プランです。
無料プランにより充実したMAの機能が追加され、マーケティング活動を自動化できます。
具体的にはメールの配信やWebフォームの作成と管理、ランディングページの作成やチャットbotの作成が可能になります。
(3)Starter Customer Platformプラン
Starter Customer Platformプランは、月額1,800円から利用できるプランです。
CRM機能全てに加えて、自社が作成したWebコンテンツの管理や追跡、営業支援ツールが利用できます。
また顧客の問い合わせの統合管理など、コールセンターに必要な機能も利用可能です。
(4)Marketing Hub Professionalプラン
Marketing Hub Professionalプランは、大規模事業者向けのCRMプランです。
費用は問い合わせが必要で、自社の要望や必要な機能に応じて見積もりが必要となります。
Marketing Hub Professionalではオムニチャネルオートメーション機能が利用でき、幅広いチャネルで実施されているキャンペーンを管理できるなど、より高度な管理が必要な企業におすすめです。
さらにワークフローの作成や強力なレポート機能が利用できるので、詳細な分析をマーケティングや営業活動に活かせます。
7.HubSpot CRMの導入事例3選
HubSpot CRMを導入して業務効率化に成功した企業の導入事例を3つ紹介します。
- 株式会社ハーモ
- KARAKURI
- KAIZEN PLATFORM
日本企業がHubSpot CRMをどのように活用しているかを参考にしましょう。
(1)株式会社ハーモ
株式会社ハーモはプラスチックの成形に関連する「成形品取り出しロボット・周辺自動化機器」を生産しているメーカーです。
新規顧客の伸び悩みを解決するためにHubSpor CRMを導入しました。
株式会社ハーモは無料のCRMを用いて顧客の情報を管理し、さらにMarketing Hubを利用してWebサイトの制作にも着手しました。
これにより、Webサイトからの集客を増やすことに成功しています。
(2)KARAKURI
KARAKURI株式会社は、大手企業向けのAIチャットbotを提供する企業です。
これまで説明会やセミナーを2名体制で実施しており、リソース不足を解消するためにHubSpotを導入しました。
HubSpotの導入によりHubSpot経由でのオンライン施策を実施し、結果的に申込数が152%となりました。
さらにさまざまな業務の効率化により空いた時間ができ、その時間を使って自社サイトに必要なコンテンツ制作が可能になるなど、時間を有効活用することが可能になりました。
(3)KAIZEN PLATFORM
株式会社KAIZEN PLATFORMは、セールス・マーケティング領域のDX支援を行う企業です。
株式会社KAIZEN PLATFORMが抱える課題は営業力は強いものの、マーケティングが体系化されていないことでした。
そこで、HubSpotでWebサイトのアクセスやユーザー行動の分析を実施することで、想像ではなくデータに基づいたマーケティング施策を考えられるようになりました。
データ先行型のマーケティング施策を実施することで、マーケティング部門経由のアポイント数や商談数が2倍になりました。
まとめ
HubSpot CRMは、世界的に使われているCRMで、基本的な機能は無料で利用できます。
マーケティングオートメーションや営業支援の機能は有料ですが、顧客関係管理や対応履歴の記録のみを目的とする場合は無料プランだけでも事足ります。
HubSpot CRMは操作性の良さと拡張性の高さから、多くの企業に導入されているCRMです。
まずは無料でCRMを試してみたい方、顧客関係管理から徐々にIT化を発展させていきたい方はぜひHubSpot CRMを検討しましょう。