CRMツールのカオスマップとは?導入を検討する際の活用方法と注意点
「カオスマップってなに?」
「CRMツールの導入を検討する際にカオスマップが有益なのは本当?」
「CRMツールを導入する際の注意点が知りたい」
企業の経営者やマーケティング・販促部門の担当者の中には、このようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
CRMツール・システムの導入にあたっては、複数の製品やサービスが提供されているため、どの製品やサービスを導入すべきか迷う場合もあるでしょう。
そのような場合にカオスマップを活用することで、検討の際の手間を省くことができます。
本記事では、カオスマップの意義やCRMツールの導入を検討する際のカオスマップの活用方法などについて解説します。
また、CRMツール・システムを導入する際に着目すべきポイントについても詳しく解説しますので、導入を検討されている方の参考になれば幸いです。
1.CRMツールのカオスマップと導入のポイント
カオスマップとは、業界地図とも呼ばれることがあります。
特定の業界にフォーカスをあてて、その業界に属する商品やサービスをカテゴリーごとに分類したものです。
カオスマップは、自社が属する業界の動向や他社との差別化を考える上で有益であり、自社のマーケティング戦略を立案する際に参考とされる場合が多いです。
もっとも、商品やサービスがカテゴリーごとに分類されていることから、その商品・サービスを導入することを検討する際の比較検討資料として活用することもできます。
特に顧客管理の重要性が増しているビジネスの世界では、自社の抱える課題や解決策としてCRMツール・システムの導入が検討される場面が増えてきました。
以下では、カオスマップの意義とCRMツール・システムの導入を検討する際のカオスマップの活用方法について解説します。
(1)カオスマップとは
カオスマップは、業界地図とも呼ばれ、特定の業界に属する企業や商品・サービスをカテゴリーごとに分類し、1枚の資料にまとめたものを言います。
企業のロゴやその企業が開発・提供している商品・サービスを一覧で把握することができる点に大きな特徴があります。
主にデジタルマーケティング業界で作成される場合が多いですが、現在では様々な業界ごとにカオスマップが作成され、活用されています。
特定の業界に属する企業や企業が開発・提供する商品・サービスを一覧として把握できることから、同じ業界に属する企業が自社のマーケティング戦略立案に活用する場面が多く見られます。
複雑な業界の構造を1枚の資料で視覚的に把握できるため、自社の置かれている状況を客観的に理解する際に有益です。
また、商品・サービスごとの特徴や関係性をつかむこともできるため、競争が激化している部分と空白部分が一目で分かり、商品開発や新規参入を行う際の戦略立案・実行に役立てることができます。
このように、カオスマップは自社のマーケティング戦略や商品開発に関する計画の立案・策定に活用される場面が多いです。
また、営業資料やホワイトペーパーとして活用することで、リード(見込み顧客)の獲得や育成などの営業施策に活用される場面も見られます。
(2)CRMとは
CRMとは、顧客関係管理と呼ばれる概念です。
主に既存顧客との良好な関係性を維持し、顧客満足度を高めた上で、自社商品・サービスの継続購入や利用を図ることで、安定的な売上や収益を目指す施策やツール・システムを指します。
市場動向や消費者行動の流動化によって、商品・サービスが売れにくくなっていることから、新規顧客の獲得よりも既存顧客との関係性を良好なまま維持・継続することで、リピート購入を促進する施策の重要性が増しています。
顧客満足度を高めるためには、顧客のことを深く理解することが必要不可欠です。
具体的には、顧客の属性だけでなく、商品などの購入といった行動履歴を分析し、顧客のニーズを的確に把握することが求められます。
そのため、CRMツールやシステムには、顧客情報を管理・分析するための機能があります。
例えば、以下のような機能が挙げられます。
- 顧客情報管理機能
- 商談管理機能
- 問い合わせ管理機能
- メール配信機能
- 分析・レポーティング機能
これらの機能を用いて顧客情報を管理・分析することで、顧客を起点としたマーケティング戦略や販売・営業の施策を立案・実行することが可能です。
なお、CRMツール・システムの具体的な機能については、以下の記事で詳しく取り上げていますので、合わせてご確認ください。
(3)CRMツールを導入する際のカオスマップの活用方法
カオスマップは、特定の業界に属する企業と企業が開発・提供している商品・サービスが一覧で把握できるところに大きな特徴があります。
そのため、業界や市場動向を視覚的に把握することができ、マーケティング戦略や経営方針を策定する場合に活用される場合が多いです。
もっとも、自社が属する業界以外でカオスマップが作成されている場合には、自社のマーケティング戦略策定ではなく、ツールやシステムの導入を検討する際に活用することもできます。
特にセールステックと呼ばれるツール・システム領域では、様々なカオスマップが作成されており、ツール・システムを導入する際の検討資料にもなります。
セールステックのツール・システムに関するカオスマップでは、セールスの段階に応じて、以下のような分類で企業や製品・ツールが紹介される場合が多いです。
セールスの段階 | 内容 | 具体的施策 |
リードジェネレーション | 企業や商品・サービスの認知度を高め、リード(見込み顧客)との接点創出を図る施策 | Web広告、Webサイト運用、セミナーなどを通じた顧客情報の収集 |
リードナーチャリング | 獲得したリードを育成し、情報提供やコミュニケーションを通じて商品・サービスへの興味関心を醸成して購買意欲を高める施策 | メールマガジンやDMの発信、ウェビナーの開催 |
セールス | 顧客と商談を行い、購入や成約につなげる施策・活動 | 商談の準備、商談進捗の管理、受失注事例の収集・分析 |
カスタマーサポート | 顧客からの問合せに対応し、顧客満足度の向上や製品・サービスの改善に役立て、リピート率などを高めて売上を拡大する施策 | 顧客の問合せ内容・履歴の管理、コールセンター対応の質向上、メール・チャットツールを用いた迅速な対応 |
このうち、CRMツール・システムは、備えている機能からリードナーチャリングあるいはカスタマーサポートに分類されて掲載される傾向にあります。
もっとも、CRMツール・システムの活用方法は多岐にわたり、商談管理機能や顧客情報の収集機能も備えているため、製品・サービスによってはリードジェネレーションやセールスに分類されることもあります。
このように、カオスマップを通じて、製品・サービスがどの段階に分類されているかによって、自社の導入目的や課題解決に最適な製品・サービスはどれであるかを簡単に絞り込むことができます。
また、セールス段階による分類だけでなく、製品・サービスの提供形態やユーザーの事業規模に着目したカオスマップもある場合には、複数のカオスマップと照らし合わせて検討を進めることも可能です。
このように、様々な視点から製品・サービスを比較検討することで、自社に最適なツール・システムを導入することに活かせます。
2.カオスマップの特徴とメリット
カオスマップにはいくつかの特徴があり、そこから以下のようなメリットを得ることができます。
- 業界の動向が把握できる
- 商品・サービスを網羅的に把握できる
- 商品・サービスを比較検討できる
それぞれの特徴とメリットについて、順に見ていきましょう。
(1)業界の動向が把握できる
カオスマップには、企業や商品・サービスが網羅的に掲載されているため、その業界にどのような企業が参入していて、どのような商品・サービスが存在しているかの動向を一目で把握することができます。
また、商品・サービスどうしの関係性も把握することができるため、サービスや機能ごとに詳細に比較検討を行うことも可能です。
そのため、市場への新規参入を行う場合には、どの領域が競争が激化していているのか、反対に競合性が高くないのかが視覚的に把握することができます。
業界全体の動向を踏まえながら、適切な商品開発や戦略立案を効率的に行えることが大きなメリットと言えます。
(2)商品・サービスを網羅的に把握できる
業界に属する商品やサービスの種類を網羅的に把握できることもメリットの1つです。
また、様々な企業が独自のカテゴリー分類に依拠したカオスマップを作成・公開しているため、複数のカオスマップを比較することで商品・サービスの特徴を幅広い観点から把握することにもつながります。
そのため、商品開発や新規参入を検討している場合には、効率的に競合調査が行えるだけでなく、自社の強みや他社との差別化ポイントが浮き彫りになるという効果も期待できます。
(3)商品・サービスを比較検討できる
カオスマップは一定の基準に基づいて商品・サービスを掲載しているため、一覧でそれらの比較検討ができる点にもメリットがあります。
具体的には、どのような機能や特徴があるのかといった商品・サービスの性能はもちろん、中小規模向けや大規模向けといった導入企業の属性に焦点を絞った分類なども参照することができます。
なお、カオスマップは複数社が作成・公開している場合がほとんどで、そのカテゴリー分類も様々です。
そのため、自社で比較検討したい基準を設けて、その基準や基準に近いカテゴリー分類がされているカオスマップを活用するなど、利用方法の自由度が高いことも特徴の1つと言えるでしょう。
3.カオスマップを有効に活用する際の着目点
カオスマップを活用してCRMツール・システムの導入検討を行う場合には、いくつかの着目点があります。
具体的には、以下の3つです。
- 網羅的・多角的に情報が掲載されているか
- 情報の信頼性が高いか
- 最新の情報が反映されているか
順にご説明します。
(1)網羅的・多角的に情報が掲載されているか
カオスマップを活用する際には、製品・サービスの情報が網羅的・多角的に掲載されているかを確認しましょう。
CRMツールやシステムは提供形態や実装されている機能などの要素によって価格が変動します。
また、CRMツール・システムを導入する目的や解決したい自社の課題によって、必要な機能も異なります。
そのため、導入を検討する際には、複数の製品やサービスを比較検討しながら導入するものを絞り込んで選定することが重要です。
製品・サービスの情報が網羅的に掲載されているカオスマップを活用することで、比較検討が容易になります。
カオスマップによっては、事業規模や業界の特性(BtoBかBtoCか)などの導入側の事情に基づいたカテゴリー分類で製品・サービスを掲載しているものもあるため、ツール・システムのミスマッチを防止することにも有益です。
(2)情報の信頼性が高いか
掲載されている情報の信頼性が高いかどうかもあらかじめ確認しておくことがおすすめです。
カオスマップは、各企業が作成しているため、様々なカテゴリーや情報量に基づいたものが多数あります。
市場動向や製品・サービスの詳細な分析に基づくカオスマップがある一方で、分析が不十分であったり網羅性が損なわれていたりすると、ツール・システムの導入を検討する際の参考資料として十分な効果を発揮しないリスクもあります。
そのため、掲載されている情報の分析力の高さや信頼性の高さにも注意しましょう。
また、必要に応じて自社でも市場動向や製品・サービスの種類や性能など、カオスマップに掲載されている情報に追加で情報収集を行うことも大切です。
(3)最新の情報が反映されているか
カオスマップに掲載されている情報が最新のものであるかも注意しましょう。
セールステック業界の動向は変化が激しいため、新規参入や新製品・サービスの提供や停止などの動きが盛んです。
そのため、同じ年に作成されたカオスマップであっても、掲載されている企業や製品・サービスに差があることに注意が必要です。
また、カオスマップには、すべての製品・サービスが必ずしも掲載されているとは限りません。
可能な限り、どのような観点で作成されたものなのか、いつ作成されたものであるのかは確認しておくことが重要です。
4.CRMツール・システムを導入する際のポイント
CRMツール・システムを導入する際には、各社のツール・システムを比較検討するためにカオスマップを活用するのが有益です。
もっとも、CRMツール・システムに関するカオスマップは各社が作成・提供しているため、どの資料を活用すべきか判断に迷うこともあります。
そのような場合には、以下の点について着目して導入を検討しましょう。
- 提供形態
- 無料トライアルの有無
- サポート体制の有無や内容
- カスタマイズ性
それぞれについて、順に見ていきましょう。
(1)提供形態
CRMツール・システムを導入する際には、提供形態に着目して製品・サービスを選ぶようにしましょう。
CRMツール・システムには、クラウド(SaaS)型とオンプレミス型の2つの提供形態があります。
クラウド型はSaaS型とも呼ばれ、ベンダーが提供するサービスにインターネット上で接続して利用する形態です。
インターネット環境さえ整っていれば、いつでもどこでも接続でき、サービスの利用にあたって特別な環境整備を行う必要がないため、初期費用を大幅に削減できることが特徴です。
もっとも、サービスの利用に関しては月額の利用料がかかり、一定のランニングコストがかかる点がデメリットとして挙げられます。
また、利用できる機能はベンダーが提供しているものに限定され、機能の追加やカスタマイズ性が低いことにも注意が必要です。
一方、オンプレミス型は自社のサーバーに製品をインストールすることで利用ができます。
自社サーバー内で利用するため、セキュリティ性が高く、安心して顧客情報を収集・管理することができます。
また、自社オリジナルの機能の追加やカスタマイズが行えるところに大きなメリットがあります。
もっとも、製品を購入してインストールする必要があるため、初期費用がかかります。
製品によっても変動しますが、数十万円から数百万円がかかることに注意が必要です。
さらに、自社サーバー内で運用を行うため、定期的なセキュリティ対策が欠かせません。
そのため、保守費用やメンテナンス費用なども別途かかることを押さえておきましょう。
このように、CRMツール・システムには、提供形態によって利用方法や様々なメリット・デメリットがあります。
提供形態にも着目して、導入する製品・サービスの絞り込みを行うことが大切です。
(2)無料トライアルの有無
無料トライアル版を提供しているか否かも事前に確認しておきましょう。
製品・サービスの性能に関する情報を得ていても、実際に利用してみるまでは操作性などは分からないことも多く、導入後に操作性の悪さなどから運用が定着しない可能性もあります。
そのため、無料トライアルを通じて、操作性や画面の見やすさなどは確認しておくことがおすすめです。
また、導入した後でツール・システムを実際に利用する部署・部門のメンバーに操作性を確かめさせることが重要です。
この時点で導入・運用する際の疑問点や懸念点について意見を聴収し、スムーズな導入・運用を行うためにボトルネックとなっている点を洗い出す作業が必要です。
(3)サポート体制の有無や内容
サポート体制についても確認しておくことがおすすめです。
ツール・システムに関する専門知識を持つ人員が自社内にいない場合には、導入後の不具合やトラブルの対応を製品・サービスの提供元が行うか否かが重要になります。
具体的には、サポートの頻度や方法などについて確認しておきましょう。
サポート方法については、電話やメールでの対応のほか、チャットボットを活用した方法を採用している場合もあります。
チャットボットでは、24時間いつでも対応を受けることができる点がメリットと言えますが、緊急性を要する細かな対応については電話によるサポートが適しています。
このように、サポート方法や体制について、自社で起こりうる不具合やトラブルを想定しながら、自社に最適なサポート体制が構築されている製品・サービスを選びましょう。
(4)カスタマイズ性
機能を追加で利用できるなどのカスタマイズ性の高さにも着目しましょう。
当初のプランにはなかった機能を追加する場合には、費用負担が発生することが多いため、機能を追加したことによる費用の増加とそれに見合った効果が期待できるかという観点からも検討することが必要です。
また、CRMツール・システムは、外部のツール・システムと連携させることで、業務のさらなる効率化や利便性の向上が期待できます。
そのため、導入する製品・サービスに連携機能が実装されているかだけでなく、どのようなツール・システムと連携できるかを確認することもおすすめです。
連携させるツール・システムによっては、マーケティング活動から営業・販売活動の効率化や最適化を行うことができます。
なお、CRMとほかのツール・システムの連携方法や代表的な連携については、以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。
まとめ
本記事では、カオスマップの特徴やCRMツール・システムを導入する際にカオスマップを活用する方法などについて解説しました。
カオスマップは業界の動向や商品・サービスの種類や特徴などを1枚の資料で網羅的に把握できるところに特徴とメリットがあります。
CRMツール・システムの導入を検討している場合には、セールステックのカオスマップやCRMツール・システムに特化したものを活用するのがおすすめです。
もっとも、ツールやシステムは導入して終わりではなく、実際に運用していくことで効果が得られます。
そのため、導入・運用コストや操作性など、カオスマップを参照するだけでは分からない情報にも着目しながら製品・サービスを比較検討していきましょう。
自社の導入目的や課題に合わせて、本記事で紹介した観点も留意しながら最適な製品・サービスを選ぶようにしましょう。