グローバルナビゲーションとは?SEO効果とUX向上を同時に目指せるデザイン例・設置方法


「グローバルナビゲーションってどんなメニューなの?」
「グローバルナビゲーションを実装する方法がわからない」
グローバルナビゲーションとは、Webサイト全体で表示されるメニューで、ユーザーが迷わず目的の情報へアクセスするために設置します。
うまく設計されていない場合は、ユーザーが情報を見つけることができずに離脱し、サイトの回遊性が低くなるためSEO評価にも悪影響です。
本記事では、グローバルナビゲーションの基本概念から具体的な設置方法まで、Webサイト運営者が知っておくべき知識を網羅的に解説していきます。
読み終えることで、ユーザビリティとSEO効果を両立したグローバルナビゲーションを設計できるようになるでしょう。
1.グローバルナビゲーションとは
グローバルナビゲーションは、Webサイト全体で共通して表示されるナビゲーションメニューのことを指します。
通常、サイトのヘッダー部分に配置され、どのページからでもアクセス可能な主要コンテンツへのリンクを提供するものです。
なお、グローバルナビゲーションは、以下の概念とは区別されます。
- ローカルナビゲーションとの違い
- パンくずリストとの違い
これらについて、まずは正確に押さえることが大切です。
(1)ローカルナビゲーションとの違い
グローバルナビゲーションは全ページ共通で表示され、サイト全体の主要なカテゴリへのアクセスを提供します。
一方でローカルナビゲーションは、上図のように特定のページや特定のセクション内でのみ表示されるナビゲーションメニューです。
コラムサイトなどでのカテゴリーの表示などが、ローカルナビゲーションに該当します。
(2)パンくずリストとの違い
パンくずリストは、現在閲覧しているページの階層位置を示すナビゲーション要素です。
グローバルナビゲーションが「どこに行けるか」を示すのに対し、パンくずリストは「今どこにいるか」を示します。
また、パンくずリストは階層構造を辿る形で表示されるため、上位階層へのリンクが中心となります。
一方、グローバルナビゲーションは同階層の主要コンテンツへの横移動を可能にする機能が主体です。
パンくずリストの役割や設置するメリットなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。
2.グローバルナビゲーションの活用例
実際のWebサイトでは、業種や目的に応じてグローバルナビゲーションの構成が大きく異なります。
具体的には、以下のようなジャンルによって、活用の方法に違いが見られます。
- ブログやメディアサイト
- コーポレートサイト
- ECサイト
それぞれの特徴を理解することで、自社サイトに最適なナビゲーション設計のヒントを得ることができます。
(1)ブログやメディアサイト
ブログやメディアサイトのグローバルナビゲーションは、コンテンツカテゴリを中心とした構成が一般的です。
例えば、「テクノロジー」や「ビジネス」、「ライフスタイル」といったトピック別の分類のほか、「新着記事」や「人気記事」などの記事の属性による分類が多く見られます。
また、「運営者情報」や「お問い合わせ」などのサイト情報へのリンクも必須要素となっています。
加えて、検索機能やカテゴリ一覧へのアクセスも、グローバルナビゲーションに含まれることが多い傾向です。
(2)コーポレートサイト
コーポレートサイトでは、企業の基本情報と事業内容を整理したグローバルナビゲーションが特徴的です。
具体的には、「会社概要」や「事業内容」、「採用情報」、「IR情報」といった構成が標準となっています。
さらに、BtoB企業では「導入事例」「技術情報」などの専門性の高いコンテンツへのリンクも重要です。
そして、コーポレートサイトのグローバルナビゲーションでは、信頼性を重視した堅実な表現が求められる傾向があります。
コーポレートサイトの目的や掲載事項などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
(3)ECサイト
ECサイトのグローバルナビゲーションは、商品カテゴリと購買関連機能を中心とした設計であることが多いです。
具体的には、「レディース」、「メンズ」、「キッズ」といった対象者別の分類、「アウター」や「トップス」などのアイテム別分類が主流といえます。
また、「セール」や「新着商品」、「ランキング」などの商品の属性による分類も重要な要素です。
楽天市場のように「マイページ」や「カート」、「お気に入り」といった会員機能へのアクセスも、グローバルナビゲーションに含まれるケースもあります。
3.グローバルナビゲーションの役割
グローバルナビゲーションは、単なるリンク集ではなく、サイト運営において複数の重要な役割を担っています。
例えば、以下のような役割を担っていることを押さえておきましょう。
- サイト構造をわかりやすく伝える
- ユーザーの回遊性を高める
- 重要な導線へ誘導する
- クローラビリティを向上させる
これらの役割を理解することで、より効果的なナビゲーション設計が可能です。
(1)サイト構造をわかりやすく伝える
グローバルナビゲーションは、サイト全体の構造を一目で理解できるように整理する役割を持ちます。
ユーザーは初回訪問時に、グローバルナビゲーションを見ることでサイトの全体像を把握できるためです。
このことを考えると、グローバルナビゲーションでは、サイトの主要なコンテンツカテゴリがわかりやすく整理されていなければなりません。
また、階層構造が深い場合でも、グローバルナビゲーションによって主要なエントリーポイントを明確に示すことで、ユーザーの迷いを軽減することができます。
その意味で、ユーザビリティに大きく関わる要素ともいえるでしょう。
(2)ユーザーの回遊性を高める
グローバルナビゲーションは、ユーザーがサイト内の複数のページを訪問しやすくする機能を果たします。
どのページからでも他の主要コンテンツにアクセスすることができるため、興味のある情報を効率的に収集することができます。
特に関連性の高いコンテンツ同士を適切にグルーピングすることで、ユーザーの興味を引き続けることが可能です。
結果としてサイト滞在時間が伸びてPV数が向上するなど、サイトパフォーマンスの向上にもつながります。
(3)重要な導線へ誘導する
適切にグローバルナビゲーションを活用することは、ビジネス目標達成のための重要な導線として役立ちます。
コンバージョンに直結するページや、優先的に見てもらいたいコンテンツを適切に配置することで、ユーザーを目的のアクションへ誘導できます。
例えば、ECサイトでは売上の高いカテゴリを目立つ位置に配置し、企業サイトでは問い合わせページへのアクセスを促進します。
これにより、ユーザーに購買や問い合わせなどのアクションを促しやすくなり、サイトの目的に応じて成果を上げることが可能です。
このように、グローバルナビゲーションの設計は、サイトの成果に直接的な影響を与える重要な要素といえるでしょう。
(4)クローラビリティを向上させる
検索エンジンのクローラーにとって、グローバルナビゲーションは効率的なサイト巡回の手がかりとなります。
全ページからリンクされている主要なページは、クローラーが発見しやすく、インデックスされる可能性が高まります。
また、適切なアンカーテキストを使用することで、リンク先ページのテーマを検索エンジンに伝えることが可能です。
さらに、グローバルナビゲーションによる内部リンクの充実は、サイト全体のSEO評価向上に貢献する効果も期待できます。
なお、クローラーの巡回やインデックス処理を促すための着目ポイントについては、以下の記事も合わせてご参照ください。
4.グローバルナビゲーション設置時のポイント
効果的なグローバルナビゲーションを設置するためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
特に重要なポイントは、以下の通りです。
- シンプルかつ視認性を高める
- スマホではハンバーガーメニュー化を行う
- アクティブページをハイライトする
- ドロップダウンやメガメニューを活用する
これらのポイントを実践することで、ユーザビリティとSEO効果を両立したナビゲーションを構築することができます。
(1)シンプルかつ視認性を高める
グローバルナビゲーションを設置する際は、シンプルで視認性の良いデザインを採用しましょう。
一目で内容が理解できなければ、そもそもグローバルナビゲーションの役割を果たせません。
メニューの項目数は7±2の法則に従い、5〜9項目程度に収めるのがおすすめです。
人が一気に保有できる情報の数は7±2までの数、つまり5〜9までであるという法則。
また、文字サイズやコントラスト比を適切に設定し、視認性を確保することも重要な要素となります。
下の例のように、背景色と文字のコントラストが低い場合には、文字が目立たずにグローバルナビゲーションの情報が読み取りにくくなります。
さらに、アイコンを併用する場合は、直感的に理解できるデザインを選択し、テキストとの組み合わせで意味を明確にしましょう。
(2)スマホではハンバーガーメニュー化を行う
モバイルデバイスでは画面幅の制約があるため、グローバルナビゲーションをハンバーガーメニューとして実装することが一般的です。
ハンバーガーアイコンは右上または左上に配置し、タップしやすいサイズ(44px以上)で設計します。
また、メニューが開いた状態では、閉じるボタンも分かりやすく配置することが大切です。
なお、重要度の高い項目については、ハンバーガーメニューに隠さずに常時表示することも検討しましょう。
(3)アクティブページをハイライトする
現在表示しているページに対応するグローバルナビゲーションの項目は、他の項目と区別できるようにハイライト表示します。
↑「ホーム」が背景色と文字色で強調されており、現在地がわかりやすい
背景色の変更、下線の追加、文字色の変更など、視覚的に明確な違いを作ることが重要です。
これにより、ユーザーは自分が今どのセクションにいるかを瞬時に把握することができます。
また、階層の深いページでは、該当する親カテゴリもハイライトすることで、より分かりやすいナビゲーションを実現することができます。
(4)ドロップダウンやメガメニューを活用する
コンテンツ量が多いサイトでは、ドロップダウンメニューやメガメニューを活用して情報を整理します。
ドロップダウンメニューは、マウスオーバーまたはクリック時に子カテゴリを表示する仕組みです。
一方、メガメニューは大きな領域を使って、画像やアイコンと組み合わせた豊富な情報を表示できます。
ただし、これらの機能を使用する際は、スマートフォンでの操作性も十分に考慮した設計が必要です。
5.グローバルナビゲーション設置時の注意点
グローバルナビゲーションを設置する際には、いくつかの注意点が存在します。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 情報を詰め込みすぎない
- 平易な言葉でカテゴリを記述する
- SEOの内部リンクを意識する
- ページ単位で表示/非表示を分ける
これらの注意点を事前に把握することで、ユーザビリティの低下やSEO効果の減少を防ぐことができます。
(1)情報を詰め込みすぎない
グローバルナビゲーションに多くの項目を詰め込みすぎると、かえってユーザーの混乱を招く結果となります。
重要度の低い項目は、フッターナビゲーションやサイドバーに移動させて、本当に重要なもののみをグローバルナビゲーションに表示させましょう。
また、似たような意味の項目は統合し、より大きなカテゴリとして整理することも有効です。
情報設計の観点から、ユーザーが直感的に理解できる分類を心がけましょう。
(2)平易な言葉でカテゴリを記述する
専門用語や業界用語を多用したグローバルナビゲーションは、一般ユーザーにとっては理解しづらいものとなってしまいます。
そのため、できる限り平易で分かりやすい言葉を使用し、誰でも内容を推測できるような表現を選択しましょう。
また、英語表記を使用する場合は、日本語併記やツールチップでの説明を加えるとわかりやすいです。
ユーザーテストを実施して、実際の利用者の反応を確認するなどして検証もすると良いでしょう。
(3)SEOの内部リンクを意識する
グローバルナビゲーションは強力な内部リンクとして機能するため、SEOの観点からも最適化が必要です。
例えば、アンカーテキストには、リンク先ページのターゲットキーワードを含めることを心がけましょう。
また、重要なページほど上位に配置し、検索エンジンにその重要性を伝えることも大切です。
ただし、キーワードの詰め込みすぎは避け、自然で読みやすい表現を維持するようにしましょう。
(4)ページ単位で表示/非表示を分ける
すべてのページで同じグローバルナビゲーションを表示する必要はありません。
例えば、ランディングページや特別なキャンペーンページでは、目的に応じてナビゲーションをカスタマイズするのが効果的です。
また、会員限定ページでは、ログイン状態に応じて表示項目を変更することも重要な機能となります。
コンバージョン率の向上を目指す場合は、意図的にナビゲーションを簡略化することも戦略の1つといえるでしょう。
6.グローバルナビゲーションの設置方法
実際にグローバルナビゲーションを設置する方法について、代表的な手法を解説していきます。
具体的には、以下のような方法がとられることが多いです。
- WordPressでの設置方法
- HTML/CSSで設計する方法
技術的な知識レベルに応じて、最適な方法を選択することが重要です。
(1)WordPressでの設置方法
WordPressでは、管理画面から簡単にグローバルナビゲーションを設定することができます。
「外観」から「メニュー」を選択し、新しいメニューを作成して表示したいページや投稿、カテゴリを追加します。
メニューの並び順や項目などは、メニュー項目の追加・編集画面からドラッグ&ドロップで直感的に変更することが可能です。
また、階層構造も右側にずらすことで簡単に作成でき、ドロップダウンメニューとして表示されます。
作成したメニューは「メニューの位置」で「プライマリメニュー」などに設定することで、グローバルナビゲーションとして機能します。
テーマによっては追加のカスタマイズオプションが用意されており、デザインの調整も可能です。
(2)HTML/CSSで設計する方法
HTML/CSSで直接グローバルナビゲーションを設計する場合、以下のようなコードが基本です。
<nav> <ul class="global-nav"> <li><a href="/">ホーム</a></li> <li><a href="/service">サービス</a></li> <li><a href="/works">実績</a></li> <li><a href="/blog">ブログ</a></li> <li><a href="/contact">お問い合わせ</a></li> </ul> </nav>
対応するCSSは以下のように記述します。
.global-nav { display: flex; gap: 24px; list-style: none; padding: 0; } .global-nav a { text-decoration: none; color: #333; padding: 8px 12px; transition: background-color 0.2s; } .global-nav a:hover { background-color: #f0f0f0; border-radius: 4px; }
これを実装すると以下のようなナビゲーションメニューになります。
細かなデザイン等を調整して、自社オリジナルのメニューを作りましょう。
7.参考になるグローバルナビゲーションのデザイン例
すでに述べたように、グローバルナビゲーションを適切に設置することは、ユーザビリティとSEOという双方の観点から非常に重要です。
もっとも、どのようなデザインを採用すべきかは自社サイトのジャンルや目的によっても異なり、
優れたグローバルナビゲーションのデザイン事例を分析することで、自社サイトの改善につながるアイデアを得ることができます。
業界を問わず参考になる、印象的なナビゲーションデザインを紹介します。
- Apple Store
- 日清食品
- ACTUS
それぞれの特徴やポイントについて見ていきましょう。
(1)Apple Store

引用:Apple Store
Apple Storeのグローバルナビゲーションは、究極のシンプルさを追求したデザインが特徴的です。
「Mac」や「iPad」、「iPhone」、「Watch」といった製品カテゴリが明確に分類されており、一目で全体像を把握することができます。
また、アイコンを使用せず、タイポグラフィの美しさでブランドイメージを演出しています。
ホワイトスペースを効果的に活用し、洗練された印象を与えるデザインは多くのサイトで参考にされているデザインです。
(2)日清食品

引用:日清食品
日清食品のサイトでは、カーソルを合わせるとメニューがドロップダウンされる仕組みを採用しています。
これにより、通常時はスッキリとした見た目を保ちながら、必要に応じて詳細な分類を表示できます。
また、商品カテゴリだけでなく、「CM情報」や「レシピ」といったエンターテイメント要素も含めたグローバルナビゲーションが印象的です。
食品メーカーらしい親しみやすさと、情報の豊富さを両立したデザインとして評価されています。
(3)ACTUS

引用:ACTUS
家具ブランドACTUSのサイトでは、英語表記でおしゃれな印象を演出しつつ、ユーザビリティにも配慮したグローバルナビゲーションを実現しています。
メニュー項目は英語で表記されていますが、マウスオーバー時に日本語の説明が表示される仕組みです。
また、商品カテゴリだけでなく、「JOURNAL」「ABOUT」といったブランディング要素も重視した構成が特徴的です。
これにより、ブランドイメージを損なうことなく、理解しやすさも確保した巧妙なデザインといえるでしょう。
まとめ
グローバルナビゲーションは、Webサイトの成功を左右する重要な要素です。
単なるリンク集ではなく、ユーザーの行動を導き、サイトの価値を最大化するための戦略的なツールとして捉える必要があります。
本記事で解説した基本概念から具体的な設置方法まで、すべての要素を総合的に考慮することで、効果的なグローバルナビゲーションを構築できるでしょう。
また、定期的な分析と改善を繰り返し、ユーザーのニーズの変化に対応していくことも重要になります。
グローバルナビゲーションの最適化により、ユーザー満足度の向上とビジネス目標の達成を同時に実現していきましょう。
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