コラム

CRMを自社で開発することはできる?開発手順や注意点を解説

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TMS編集部

「CRMツールやシステムを自社で開発したい」
「開発はどのような手順で行うべき?」
「自社開発を行う際の注意点や導入する際のポイントは?」

企業の経営者やマーケティング・販促部門の担当者の中には、このようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

企業の活動におけるCRM(顧客関係管理)の重要性が増してきており、予算の関係などから自社開発という導入方法を検討する場合もあるでしょう。

CRMツールやシステムを自社で開発する場合には、いくつか押さえておくべきポイントがあります。

本記事では、CRMツールやシステムの開発手順や自社開発を行う際の注意点などについて解説します。

また、CRMツールやシステムを導入する際のポイントについても合わせて取り上げていますので、これからCRMツールやシステムの導入を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

1.CRMの導入方法と重要性

結論から言いますと、CRMツールやシステムを自社内で開発を行うことは可能です。

企業が安定的・継続的に収益を見込むためには、既存顧客との良好な関係性を維持することが重要であり、そのような目的のもとに行われるCRM施策やツールの重要度が増しています。

もっとも、自社で開発する以外にも、ツールやシステムを導入する方法はあります。

以下では、CRMツールやシステムを導入する方法と企業活動におけるCRMの重要性について解説します。

(1)CRMの導入方法

CRMツールやシステムを導入する場合、主に以下の3つの方法が考えられます。

CRMの主な導入方法

  • 自社で開発する
  • 製品を購入する
  • サービスを導入する

それぞれの方法にどのような特徴があるのか具体的に見ていきましょう。

#1:自社で開発する

自社開発とは、自社サーバーを設置して開発技術を有するエンジニアがシステム開発を行う方法です。

自社内にエンジニアが在籍している場合において検討される方法で、自社独自の機能で開発・実装が行えるのが大きな特徴です。

また、自社内に専門のエンジニアが在籍している場合には、初期コストとしてはサーバー費用のみとなり、導入コストを削減できることも大きなメリットです。

導入から運用までも比較的スムーズに進むことから、業務遂行という観点からもメリットがあります。

もっとも、自社内にエンジニアが在籍していても、人件費などの一定のコストはかかります。

さらに、自社開発では開発後のメンテナンスやアップデートの頻度が低い傾向にあり、セキュリティ面ではリスクを抱えることになることにも注意が必要です。

#2:製品を購入する

自社のサーバーやPCにソフトウェアをインストールすることで利用できるCRMツールやシステムもあり、そのようなタイプの製品を購入することも考えられます。

PCにインストールすることで、ネット環境が整っていない場合にも利用することができ、オフライン接続で使用することで回線の混雑による影響を受けないこともメリットです。

そのため、セキュリティ面でも安心して利用できることも特徴の1つでしょう。

また、プランに応じて利用できる機能をカスタマイズできることもメリットとして挙げられます。

もっとも、導入する際には初期費用がかかります。

さらに利用できる機能の内容や数に応じて費用が変動することも多いです。

なお、システムの更新については基本的に手動で行うことになるため、自社内で更新作業ができない場合には別途専門の業者に依頼することになります。

その際にも、更新作業を業者に依頼するごとに費用がかかることも押さえておきましょう。

#3:サービスを導入する

クラウド型のCRMツールやシステムを利用する方法もあります。

インターネット上でベンダーが提供するサーバーにアクセスしてソフトウェアを利用することで、導入費用や運用コストを削減できることが大きなメリットです。

また、サーバーに接続するだけですぐに利用することができ、自動的にアップデートも行われるので、自社内で更新作業を行う手間も省けることも魅力の1つです。

インターネット上での操作となるため、複数のデバイスや遠隔地でも簡単に利用することができます。

もっとも、ベンダーが提供するサービスや機能にはカスタマイズができず、提供されているサービスや機能の範囲でしか業務を行うことができません。

さらに、初期費用がかからない反面、月額利用料などのランニングコストが発生することもデメリットとして挙げられるでしょう。

そのため、導入の際には提供されているサービス内容を吟味した上で、十分な費用対効果が得られるかどうかを基準にして選択するのがおすすめです。

(2)CRMの重要性

CRMは、顧客関係管理とも呼ばれ、企業と顧客の良好な関係性を維持することを目的とする施策やツール・システムを言います。

CRMツールやシステムは種類によっても変動しますが、一般的に以下のような機能を備えていることが多いです。

CRMツールの基本機能

  • 顧客情報管理・分析機能
  • 商談管理機能
  • 問い合わせ管理機能
  • プロモーション機能

このような施策やツール・システムが重要視されている背景には、以下のような事情が挙げられます。

CRMが重要視される背景

  1. 市場動向や消費者ニーズの変化
  2. 業務効率化とコストの削減
  3. LTVの向上

具体的にご説明します。

#1:市場動向や消費者ニーズの変化

インターネット環境の普及によって、短時間で誰もが必要な情報を手に入れることができるようになり、単なる情報にとどまらない価値が重視されるようになってきました。

そのため、消費者のニーズは従来のものから変化し、これに対して市場の動向も目まぐるしく変化するようになりました。

このような市場動向や消費者のニーズの変化に対応できなければ、よい商品・サービスであっても売れにくい時代となっているため、消費者や顧客のニーズを正確に把握することが必要です。

特に消費者がどのような点に着目し、商品・サービスを選んでいるかを把握するためには、消費者や顧客の心理・行動を深く理解することが必須となっています。

そのため、顧客との関係性を良好なものにし、それを維持していく施策やツール・システムは、商品・サービスを販売するだけでなく、商品開発といったマーケティングの側面でも重要な意味を持ちます。

#2:業務効率化とコストの削減

これまでは顧客情報の収集や入力については、営業担当者の手作業によって担われてきました。

また、それを社内で共有するためには、メールなどのビジネスツールを通して行われ、データの分析も専用のツールで行うためにデータの加工などが必要とされていました。

ビジネスモデルの改定などによって、営業業務はオンライン商談やSNSを用いた営業・提案活動なども含まれ、業務効率化の必要性や機会損失などが課題として挙げられます。

CRMツールやシステムでは、顧客情報を一元管理できる機能があり、部署や部門をまたいで情報共有を行うことが可能であり、このような課題を解決できます。

CRMツールやシステムを導入することで、今まで要していた手間や時間を削減することができ、業務の効率化とコストの削減という効果が期待できます。

#3:LTVの向上

LTVとは、顧客生涯価値とも呼ばれ、1人の顧客が企業との取引開始から終了までの間に企業にもたらす利益のことを言います。

一般的に、以下の算定式で算出されます。

LTVの算定式

LTV(顧客生涯価値)=購買単価×購買頻度×継続購買期間

つまり、ある顧客の購買頻度が高ければ高いほど、また購買期間が長ければ長いほどLTVの値が高くなり、企業が得られる利益が大きくなります。

また、新規顧客を獲得するためのコストは、既存顧客を維持することに比べて5倍のコストがかかると言われています。

そのため、既存顧客との関係性の維持を図り、LTVを向上させていくことが安定的・継続的な収益を見込むために重要な要素と言えます。

既存顧客との良好な関係性を維持するというCRMの目的には、LTVの向上による企業の収益増加という効果があることを押さえておきましょう。

2.CRMの開発手順

自社でCRMツールやシステムを開発する場合は、以下の手順で進めていきます。

自社でCRMシステムを開発する手順

  1. システム要件定義の決定
  2. 方針の決定
  3. システムの詳細設計
  4. システム構築
  5. 機能テストとデバッグ
  6. 運用テスト
  7. 本公開・保守運用

それぞれの作業内容やポイントについても合わせて解説していますので、しっかりと確認しておきましょう。

(1)システム要件定義の決定

CRMに関わらず、ツールやシステムを開発する際には、まず機能や要件を決定する必要があります。

具体的には、自社で開発するCRMツールやシステムにどのような機能を持たせるかについて検討していきます。

その際には、どのような目標を達成するためにCRMツールやシステムを導入するかについてのゴール地点を事前に検討・共有しておくことが重要です。

例えば、顧客満足度の向上を図ることが導入目的ならば、顧客からの問い合わせ内容を集積して分析できる問い合わせ管理機能が必要であるなど、目的に応じた機能を具体的に検討するようにしましょう。

要件定義は、システム開発の基盤となる重要な工程であり、その後の運用面でも大きな影響を与えます。

そのため、安易に開発を急ぐのではなく、じっくりと時間をかけながら検討し、CRMツールやシステムで実現したい機能を考慮した上で選択することが重要です。

(2)方針の決定

システムの要件定義が決定すれば、次に方針の決定を行います。

具体的には、開発方針やデータベース構造、開発言語などの開発環境に関する事柄について検討し、決定します。

特に開発言語に関しては、実現できる動作や機能に大きな差が生じる可能性もあります。

そのため、適宜システムの要件定義や導入目的を参照しながら、慎重に検討・選択を行いましょう。

また、開発コストやセキュリティ、操作性などの観点も踏まえながら総合的に考慮して進めていくことが大切です。

(3)システムの詳細設計

次にシステムの詳細設計を行いましょう。

具体的には、次の段階であるシステム構築に向けて、プログラムを組むために必要となる処理の洗い出しや内容、使用する関数などについて決めていきます。

また、データの受け渡し方法だけでなく、画面のレイアウトや見た目などのデザインの詳細についても、この工程で決めておく必要があることに注意しましょう。

(4)システム構築

詳細設計が完了すれば、具体的なシステム構築の作業に入ります。

基本的には、プログラミングを用いて設計書の内容に基づきながら構築作業を進めていきます。

自社内にプログラマーが在籍している場合には作業を内製化できますが、在籍していない場合にはシステム構築を外注する必要があります。

その際には、別途システム構築に関する外注費がかかってくることに注意が必要です。

なお、システム構築の作業を進める中で、仕様変更や修正などが適宜起こる可能性があります。

修正や変更の内容によっては、システムの要件定義にさかのぼって再検討を加えなければならないリスクもあります。

そのため、この段階ではなるべく修正や変更が生じないように作業を進めることが大切です。

(5)機能テストとデバッグ

プログラミングによる構築作業が完了すれば、機能ごとにシステムを動かして不具合などがないかを確認します。

動作テストの方法としては2種類あり、具体的には以下の通りです。

主な動作テストの方法

  • 単体テスト
  • 結合テスト

単体テストは、プログラム単位でテストを実施し、機能の正常性を確認します。

一方、結合テストは個々のプログラムどうしを連携させた上で、正しくデータの受け渡しがなされるかなどの確認を行う手法です。

機能テストを行い、不具合などのエラーやトラブルが発生した場合には、エラー箇所の修正を行った上で再度テストを行います。

このようなサイクルを繰り返して、エラーやトラブルがなくなるまでテストと修正を行っていく必要があります。

(6)運用テスト

できあがったCRMツールやシステムを公開する前に、運用を想定したテストを行いましょう。

具体的には、実装されているすべての機能が正常に作動するかどうかを確認していきます。

できあがったツールやシステムが実際の運用や活用に耐えるものであるかを判定する上で、非常に重要なステップです。

エラーやトラブルが生じた場合には、適宜修正を加えていきましょう。

また、修正の内容によっては、前の工程に戻って手直しを行わなければならない場合もあるため、慎重に作業を進めることが大切です。

運用テストで問題なくすべての機能が正常に作動する場合には、本公開の作業に移ります。

(7)本公開・保守運用

最終確認で問題が確認されなかった場合には、できあがったシステムを社内で公開して運用を進めていきましょう。

ただし、本公開して運用をしていく中で、テストのときには想定していなかったエラーやトラブルが生じる可能性もあります。

保守運用作業についても、社内で担当できる人員がいない場合には、外注することになるため、その分だけ費用がかかることも注意が必要です。

また、機能の微修正だけでなく、セキュリティのアップデートも重要です。

CRMツールやシステムでは、顧客情報を一元管理しているため、セキュリティが脆弱であると、データが外部に流出して甚大な被害を受けるリスクがあります。

そのため、定期的な保守運用作業が必須となることも押さえておきましょう。

3.CRM開発を進める前に押さえておきたい注意点

CRMツールやシステムを自社で開発する手順とポイントを説明しましたが、開発に入る前に押さえておくべき注意点があります。

具体的には、以下の4つです。

自社でCRMシステムの開発を行う際の注意点

  1. 開発目的を明確化し社内で共有する必要がある
  2. 開発コストが高い
  3. 開発期間が長くなる傾向にある
  4. システム管理者と運用責任者を選任する必要がある

しっかりと把握した上で、自社での開発が望ましいか否かを判断するようにしましょう。

(1)開発目的を明確化し社内で共有する必要がある

ツールやシステムを有効活用するためにも、開発目的を明確化しておくことが何よりも重要です。

目的を設定することなく開発を行うと、実装すべき機能や公開時期が定まらず、いたずらに時間とコストを費やしてしまうリスクがあります。

また、開発目的を明確に定めることで、開発工程であるシステムの要件定義もスムーズに進めることができるメリットがあります。

なお、開発目的が明確化した時点で、その方針を社内で共有しておくことも必要です。

社内で目的を共有することで、各部署や部門へ導入の必要性を伝え、導入後のトラブルを回避することにもつながります。

さらに社内全体で課題や目的を共通認識として持つことで、効果的な取り組みを実現することにもなるでしょう。

(2)開発コストが高い

CRMツールやシステムを開発する場合には、システムの要件定義から始めなければならず、開発に関するコストが高くなります。

特に開発をベンダーなどに外注する際には、別途外注費もかかることに注意が必要です。

また、独自の機能やシステムで開発を行う場合には、途中で外注先を変更することも難しいため、外注する際は費用だけでなく外注先の選定も慎重に進めましょう。

もっとも、一度開発してしまえば、月額利用料などはかからないため、運用コストなどは削減することが可能です。

そのため、中長期的な運用を見越した場合には、総合的なコストを抑えられる場合もあります。

(3)開発期間が長くなる傾向にある

ゼロからCRMツールやシステムを開発するため、実際に公開・運用を始めるまでに長い期間がかかる傾向にあります。

そのため、それぞれの工程で具体的にどの程度の時間や期間がかかるのかをあらかじめ予測しながら進めていく必要があります。

もっとも、途中で予期せぬ仕様変更や追加機能の実装といった作業が必要となれば、当初計画していたスケジュールの引き直しも行う可能性が出てきます。

そのため、すぐにCRM施策に着手したい場合などには、自社開発はあまりおすすめできません。

(4)システム管理者と運用責任者を選任する必要がある

システムの保守管理やセキュリティ対策という観点から、適切なシステム管理者と運用責任者を任命することが重要です。

特に自社開発のCRMツールやシステムは、自社サーバーで運用を行うことになるため、適切な指示を出せる人員の確保が必要不可欠です。

自社内で適切な人員が確保できない場合には、保守運用作業を外注する方法も考えられますが、外注費が定期的に発生することも合わせて押さえておきましょう。

4.CRMを導入する際のポイント

これまで述べてきたように、CRMツールやシステムを自社で開発する場合には、様々な注意点やデメリットがあります。

そのため、すぐにCRM施策に着手したい場合などには、製品やサービスを導入することがおすすめです。

自社の業務課題や内容に応じて、CRMの製品やサービスを導入する場合には、以下のポイントを押さえておきましょう。

CRMを導入する際のポイント

  1. 操作性が優れているか
  2. 導入目的や自社戦略に合わせた機能を備えているか
  3. 費用対効果が見込めるか
  4. ほかのシステムとの連携は可能か

順にご説明します

(1)操作性が優れているか

実装されている機能の内容も重要ですが、操作性が優れているかも大きなポイントです。

機能の内容ばかりを意識し、直感的に使いにくい操作性能では、社内で利用できる人員が限定されてしまいます。

起動方法や操作方法だけでなく、画面のレイアウトや文字の大きさといったデザイン面でもストレスなく使えるものであるかを確認しておきましょう。

その際には、「どんな社員でも使えるものか」を判断基準にしながら、複数のツールやシステムの比較を行うことがおすすめです。

(2)導入目的や自社戦略に合わせた機能を備えているか

CRMの製品やサービスを導入する目的や自社戦略に合った機能をしっかり備えているかも重要です。

実装されている機能の細部については、ツールごとに異なることも多いです。

そのため、機能面でどの製品やサービスを導入するかを検討する際には、適宜運用担当者も交えながら、どのような機能を備えていることが必須なのかを話し合って決めることが望ましいでしょう。

(3)費用対効果が見込めるか

導入する際の費用や運用コストなど、かかるコストについてはあらかじめ把握した上で、高い費用対効果を発揮するかどうかにも注目しましょう。

ツールやシステムを導入することによって、業務の効率化を図ることができても、それに見合わないコストがかかってしまっては本末転倒です。

実装されている機能が豊富な製品やサービスは、その分だけ費用が高くなります。

そのため、将来的に利用する可能性がない機能が含まれている製品やサービスは避けて、導入後の費用対効果が見込めるかどうかという観点から検討することが大切です。

(4)ほかのシステムとの連携は可能か

CRMツールやシステムは、ほかのシステムと連携させることでさらなる業務効率化が期待できます。

具体的な連携の予定がない場合にも、連携できるかどうかも製品・サービスを選ぶ際の判断基準に含めておくことで、選択肢を広げることにもつながります。

まとめ

本記事では、CRMツールやシステムを自社開発する際の手順や注意点、CRMを導入する際に押さえておくべきポイントなどについて解説しました。

CRMツールやシステムを自社開発することで、ランニングコストを削減することができたり、自社に必要な機能を取捨選択できるといったメリットもありますが、開発工程が多いことや開発期間が長くなるなどのデメリットもあります。

また、運用面においても、定期的なアップデートやセキュリティ対策も欠かせません。

これらの点を意識しながら、自社開発を行うことが望ましいのか否かを総合的に判断していくことが重要でしょう。

本記事で紹介したCRM製品・サービスを選ぶポイントも参考にしながら、最適な方法でCRMツールやシステムを導入して業務効率化を図りましょう。

この記事の投稿者
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京都のWebコンサルティング・制作会社TMS Partners株式会社のコラム編集部です。中小企業/個人事業主が取り組みやすいWebマーケティングや、SEO、Web広告、マーケティングオートメーションのknow-howをお届けします。