リスティング広告の運用代行で成果が出ない3つの原因と切り分け方
リスティング広告の運用代行を頼んでいるのに成果が出ない原因は、「代理店側の運用」「自社側のLP・商材・計測」「キーワードと予算の設計」の3つのどこかにあります。代理店を替えれば解決するのは1つ目だけです。残りの2つが原因なら、依頼先を替えても同じ結果になります。
この記事では、広告代理店に運用を任せている事業者の方に向けて、数字から原因を切り分ける手順、原因ごとの対策、「予算を消化できない」ときの確認点、代理店にそのまま聞ける質問を整理します。
TMS Partnersは、京都市のWebコンサルティング会社です。Web広告運用を戦略立案から制作・運用まで一気通貫で支援しており、「いまの運用のどこに原因があるのか分からない」という段階のご相談も無料でお受けしています。
リスティング広告の運用代行で成果が出ないときは数字で切り分ける
リスティング広告(検索結果に表示される検索連動型広告)の成果は、次の掛け算で決まります。
- コンバージョン数(問い合わせや購入などの成果件数)=表示回数×クリック率×コンバージョン率
- CPA(成果1件あたりの広告費)=クリック単価÷コンバージョン率
まず、この式のどこが止まっているかを見ます。代理店のレポートか管理画面で、直近1〜3か月の表示回数、クリック数、平均クリック単価、コンバージョン数を並べてください。
仮に、月の広告費が30万円、クリック数が1,500回、コンバージョンが6件だったとします。平均クリック単価は30万円÷1,500回=200円、コンバージョン率は6件÷1,500回=0.4%、CPAは200円÷0.4%=5万円です。
数字の良し悪しは業種や商材で変わるため、他社の平均とは比べません。比べる相手は、自社の過去と目標の2つです。1つは成果が出ていた月(なければ運用開始時の見込み)の同じ数字で、いちばん大きく落ちた項目が止まっている場所です。もう1つは、後述の原因3で計算する「目標CPAの上限」「必要なクリック数」「必要な広告費」で、実績との差が大きい項目から手を付けます。上の例のCPA5万円は、上限が6万円なら範囲内、3万円なら超過です。自社の数字に置き換えて比べたら、次の4つのどれに当たるかを見ます。
表示回数が少ない
広告がそもそも出ていない状態です。キーワードの数や検索量が足りない、入札や目標値が厳しすぎる、予算が小さい、といった設計の問題が疑われます。「予算を消化できない」もここに入ります。
表示はされるがクリックされない
検索した人の意図と、キーワードや広告文が合っていません。広告文の検証と差し替えは運用の仕事なので、代理店側の作業量を確認する場面です。
クリックはされるが成果にならない
原因は2通りあります。1つは、成果につながらない検索語句でクリックされている場合で、運用側の問題です。もう1つは、見込みのある人が来ているのにLP(ランディングページ。広告をクリックした人が最初に見るページ)で離脱している場合で、自社側の問題です。どちらなのかは、検索語句レポート(実際にどんな言葉で検索されて広告が出たかの一覧)を見れば判断できます。
成果件数は出ているが売上につながらない
問い合わせの数はあるのに商談や受注にならない状態です。広告の管理画面の中だけでは原因が見つかりません。コンバージョンの定義は原因2の計測、どの検索から来た問い合わせが受注になったかは原因3のキーワード設計で見直します。
受注の情報を渡さない限り、代理店は問い合わせのあとに商談や受注になったかどうかを管理画面からは知ることができません。問い合わせごとに受注の有無を記録し、月に1回でも代理店に伝えると、成約に近いキーワードへ予算を寄せる判断ができるようになります。
広告運用代行で成果が出ない3つの原因と対策
原因1:代理店側の運用が止まっている
設定したまま調整されていない状態です。次の3点で確かめられます。
1つ目は検索語句の確認です。Google広告のキーワードには、マッチタイプ(キーワードと実際の検索語句をどこまで広く対応させるかの設定)があります。対象範囲がもっとも広い「インテント マッチ」は、指定したキーワードに関連する内容の検索にも広告を出します(キーワードのマッチタイプについて)。範囲が広いぶん、自社の商材と関係のない検索でクリックされることがあります。このヘルプには「部分一致」という表記も残っています。レポートに「部分一致」とあれば、どのマッチタイプを指すのかを代理店に確かめてください。検索語句レポートを定期的に見て、不要な語を除外キーワード(広告を出さない語)に登録する作業が続いているかを聞いてください。
2つ目は広告文と変更の履歴です。Google広告の管理画面には、いつ誰が何を変更したかを確認できる変更履歴があります。数か月にわたって変更がほとんどなければ、運用は実質的に止まっています。
3つ目はレポートの中身です。数値の一覧だけで、原因の分析と次に行う打ち手が書かれていないなら、改善の作業が行われているかを尋ねる理由になります。
対策は、後述の質問を代理店にそのまま投げることです。答えが具体的で、翌月の作業に反映されるなら、替える必要はありません。
原因2:自社側のLP・商材・計測に問題がある
運用に問題がなくても、次の3つが整っていなければ成果は出ません。ここは代理店を替えても変わらない部分です。
まずLPです。検索語句が自社の商材と合っているのにコンバージョン率が低いなら、LPを疑います。広告文で約束した内容がページの冒頭にあるか、料金や対応範囲など判断に必要な情報が載っているか、フォームの入力項目が多すぎないかを確認してください。改善の手順はLP改善(LPO)の進め方にまとめています。
次に商材と条件です。同じ検索結果に並ぶ競合と比べて、価格、納期、対応エリア、実績の見せ方で選ばれる理由がページに書かれているか。広告の役割は見込み客を連れてくるところまでです。
最後に計測です。コンバージョンの計測がずれていると、代理店も自動入札(目標に合わせて入札額をシステムが自動で調整する機能)も誤った数字をもとに調整することになります。フォームの送信完了が正しく数えられているか。電話での問い合わせが成果に含まれているか。資料請求と見積もり依頼のように価値の違う成果が、同じ1件として数えられていないか。実際に自分でフォームを送信し、管理画面に1件として記録されるかを確かめるのが確実です。
原因3:キーワードと予算の設計が合っていない
運用もLPも問題ないのに目標に届かない場合は、目標の数字そのものが成り立っていないことがあります。次の順に、自社の数字を当てはめてください。
- 目標CPAの上限=成果1件から得られる粗利×成約率。仮に、受注1件の粗利が30万円、問い合わせからの成約率が20%なら、問い合わせ1件に払える上限は6万円です。
- 必要なクリック数=目標の成果件数÷コンバージョン率。月10件の問い合わせがほしく、コンバージョン率が1%なら、1,000回のクリックが必要です。
- 必要な広告費=必要なクリック数×平均クリック単価。平均クリック単価が300円なら、月30万円です。
この計算で出た広告費が実際の予算を大きく上回るなら、運用の工夫で埋められる差ではありません。目標件数を下げる、キーワードを成約に近い語に絞る、LPの改善でコンバージョン率を上げる、のいずれかを代理店と決め直します。
キーワードの選び方も設計の一部です。「リスティング広告とは」のような情報収集の検索と、「リスティング広告 代行 見積もり」のような発注に近い検索では、同じ1クリックでも成果になる確率が違います。予算が限られているなら、後者に寄せるのが基本です。CPAが目標を上回っているときの下げ方はCPAが高い原因と下げ方で扱っています。
リスティング広告の予算を消化できないときの確認点
「月30万円の予算を預けているのに20万円しか使われていない」という相談は、成果が出ない悩みと原因が重なります。Google広告の公式ヘルプで確認できる範囲で、見るべき点は4つです。Yahoo!広告を併用している場合も確認する観点は同じですが、以下の名称や数値はGoogle広告のものなので、Yahoo!広告の分は公式ヘルプか代理店に確かめてください。
1. 1日の平均予算の設定
Google広告の予算は、月額ではなく1日の平均予算で設定します。月の予算から逆算する場合は、月額を30.4(1か月の平均日数)で割ります(キャンペーンの1日の平均予算を設定、変更する)。月30万円なら1日あたり約9,870円です。公式ヘルプによると、ある日の費用が1日の平均予算の2倍になることはありますが、月末の時点で1日の平均予算の30.4倍を超える費用は発生しません(超過配信と1日の平均予算について)。月の途中で予算を下げたままになっていないか、キャンペーンごとの配分が実際の需要とずれていないかを確認します。
2. キーワードの検索量
登録したキーワードがほとんど検索されていなければ、予算があっても広告は出ません。Google広告では、検索履歴がほとんどないキーワードに「検索ボリュームが少ない」というステータスが付き、検索が増えるまで無効になります。公式ヘルプは対処として、別のキーワード候補を探す、マッチタイプをより広い範囲に変える、より汎用的な表現に書き換える、などを挙げています(検索ボリュームが少ない: 定義)。
3. 入札と目標値
目標コンバージョン単価(1件あたりいくらで獲得したいかを指定する自動入札)を使っている場合、目標値が低すぎると配信が絞られます。公式ヘルプも、クリック数やコンバージョン数が減ったときの確認点として、目標コンバージョン単価が低すぎる可能性と、コンバージョントラッキングが有効になっているかを挙げています(目標コンバージョン単価制のトラフィック量やコンバージョン率の低下に対処する)。目標値は「こうなってほしい金額」で決めるのではなく、過去の実際のコンバージョン単価と比べて低すぎないかを確認します。低すぎる場合は、公式ヘルプも引き上げの検討を案内しています。
上限クリック単価を手動で決めている場合も、単価が低いとオークション(検索のたびに行われる、掲載する広告と順位を決める仕組み)で広告が表示されにくくなります。ただし、広告ランク(広告を掲載するかどうかと掲載順位を決めるスコア)は、入札単価だけでなく広告とLPの品質などでも決まります。公式ヘルプによると、品質の評価によっては広告に掲載資格が与えられない場合もあります(広告ランクについて)。その場合は、単価を上げる前に広告文とLPの関連性を見直します。管理画面の表示項目に「検索広告のインプレッション シェア損失率(予算)」と「検索広告のインプレッション シェア損失率(ランク)」を加えると、予算不足と広告ランクの低さのどちらで表示機会を失っているかを分けて確認できます(インプレッション シェアのデータを取得する)。
4. 学習期間と配信の対象
入札戦略(入札額の決め方の設定)を変えた直後は、調整に時間がかかります。公式ヘルプは、新しい目標に合わせて入札戦略が調整されるまでに、コンバージョンが50回程度発生するか、コンバージョンサイクル(クリックから成果発生までにかかる期間)が3回程度発生することがあると説明しています。データの量によっては短くなる場合もあります(キャンペーンの学習期間の長さと、それに影響を与える要因)。あわせて、配信地域、曜日と時間帯、デバイスの絞り込みが必要以上に狭くないか、不承認や一時停止のままの広告とキーワードがないかも見てください。
予算管理は「使い切ること」を目的にしない
キーワードを広げれば消化は進みますが、成約から遠い検索に広告費が流れれば、成果は増えずCPAだけが上がります。代理店に予算管理を任せるなら、消化率ではなく、成果件数とCPAで報告してもらってください。使い切れない分は検索量が足りないという情報でもあり、予算をほかの施策に回す判断も選択肢に入ります。
成果が出ないときに広告代理店へ確認する質問
原因の見当がついたら、代理店に質問します。次の表は定例の打ち合わせで使えます。
| 切り分ける原因 | 代理店にそのまま聞く質問 | 注意が必要な答え |
|---|---|---|
| 代理店側(運用) | 先月、検索語句を見て除外した語と、追加・変更した広告文を教えてください。配信地域は、商圏に合わせてどこまでに絞っていますか | 具体的な語や変更内容が出てこない。「自動で最適化されています」だけで終わる。配信地域の設定を即答できない |
| 代理店側(報告) | 目標に届いていない原因を1つ挙げるなら何で、来月は何を変えますか | 「様子を見ます」が2か月以上続いている |
| 代理店側(開示) | 管理画面の閲覧権限をもらえますか。アカウントのお客様IDを教えてもらえますか。広告費と手数料の内訳を分けて出せますか | 理由の説明がないまま断られる |
| 自社側(LP) | コンバージョン率が低い原因は、検索語句とLPのどちらにあると見ていますか | 根拠となる検索語句やデータを示さずに「LPが悪い」とだけ言う |
| 自社側(計測) | いま何をコンバージョンとして数えていますか。最後に計測の動作を確認したのはいつですか。受注につながった問い合わせの情報は、どの形でお渡しすれば運用に使えますか | 定義を即答できない。確認した記録がない |
| 設計(キーワード・予算) | いまの予算とクリック単価で、目標の件数は計算上届きますか | 計算を示さずに「予算を増やせば届きます」と答える |
| 設計(予算消化) | 予算を使い切れていない理由は、検索量、目標値、広告ランク、配信の絞り込みのどれですか | 理由の説明がないままキーワードの拡大だけを提案する |
開示についての質問のうち、費用の内訳とレポートの項目、お客様IDには根拠があります。Googleのサードパーティ ポリシーは、代理店などの第三者に、広告費以外に管理費用を請求する場合はその旨を知らせること、月別のレポートを提供する場合はアカウントごとの費用・クリック数・インプレッション数(表示回数)を含めること、アカウントのお客様IDを広告主に提供することを求めています(Google サードパーティ ポリシー)。管理画面の閲覧権限については、同じポリシーが、レポートの開示方法の1つとして、広告主が自分のアカウントに直接ログインして費用と成果のデータを確認できるようにすることも可能だとしています。必須とは書かれていないため、閲覧権限は契約時の取り決めとして確認します。
代理店を替えるか続けるかを判断する目安
代理店を替えたほうがよい場合と、先に自社側を直す場合
依頼先の変更を考えるのは、原因が代理店側にあり、質問しても改善されないときです。表の「代理店側」の3行の質問に具体的な答えが返らず、その状態が翌月も変わらないなら、見直す理由になります。乗り換えるときの比較の観点と手順は、広告代理店の選び方と乗り換え判断で詳しく扱っています。
反対に、原因が自社側か設計にあるなら、代理店を替える前にLP・計測・目標値を直すほうが先です。新しい代理店に移ると、アカウントの引き継ぎや入札の学習で、成果が安定するまでに時間がかかることもあります。
手数料が妥当かどうかも、同じ見方で判断できます。運用代行の手数料は、一般的に広告費の20%前後が目安です。ただし率の高低ではなく、その月に行われた作業(検索語句の除外、広告文の変更、レポートでの原因分析と次の打ち手)が手数料に見合うかで判断してください。管理画面の変更履歴と月次レポートを突き合わせれば確認できます。
替える前に確認する契約期間と解約条件
契約の条件も確かめておきます。最低契約期間、解約を申し出る期限、アカウントと配信データを引き継げるかの3点です。アカウントが代理店の名義だと、解約時に過去のデータを持ち出せないことがあります。
自社運用(インハウス)に切り替える場合
検索語句の確認と広告文の更新を毎週続けられる担当者が社内にいるなら、手数料の分を広告費に回せます。ECサイトのように商品数が多く、在庫や価格に合わせて広告を頻繁に調整したい事業では、社内に運用者がいる利点が大きくなります。一方、ほかの業務と兼任で手が回らなくなると、原因1と同じ「運用が止まった状態」が社内で起きます。Google広告を任せる場合の業務範囲や費用の考え方は、Google広告の運用代行の記事を参考にしてください。
TMS Partnersに相談できること
TMS Partnersは、2019年設立の京都市下京区にあるWebコンサルティング会社で、Google Partner認定を取得しています。Web広告運用では、目標数値(KPI)の設計を含む戦略立案から、ターゲティング、クリエイティブ制作、費用対効果の改善、A/Bテストまでを一気通貫で支援しています。Webサイト制作も社内で対応しているため、原因が運用とLPのどちらにあっても、同じ窓口で切り分けから改善まで進められます。
費用は内容に応じたお見積もりです。「代理店のレポートを見ても原因が分からない」「予算を消化できていない理由を第三者の目で確認したい」「広告運用の成果改善について相談したい」といった段階のご相談も、無料でお受けしています。
まとめ
リスティング広告の運用代行で成果が出ない原因は、代理店側の運用、自社側のLP・商材・計測、キーワードと予算の設計の3つに分かれます。表示回数、クリック率、コンバージョン率のどこで止まっているかを数字で確かめれば、どれに当たるかを絞り込めます。予算を消化できないときは、1日の平均予算、キーワードの検索量、目標値、学習期間と配信対象の4点を確認してください。代理店を替えるのは、質問しても運用が改善されないときです。原因が自社側や設計にあるなら、先にそちらを直します。
よくある質問
Q. リスティング広告の代行を頼んでから、成果の判断までどのくらい待つべきですか?
一律の期間はありません。Google広告の公式ヘルプは、入札戦略の調整にコンバージョン50回程度、またはコンバージョンサイクル3回程度かかることがあるとしています。待つあいだも、検索語句の除外や広告文の変更が行われているかは毎月確認できます。
Q. 少額予算でもリスティング広告の運用代行は依頼できますか?
依頼できる会社はありますが、最低出稿額や最低手数料を設けている会社もあります。広告費が小さいと、手数料の割合が高くなりやすい点に注意してください。予算が限られるほど、キーワードを発注に近い語に絞る設計が成果を左右します。
Q. 広告代理店を変更するタイミングはいつがよいですか?
原因が代理店側の運用にあり、具体的な質問をしても翌月の作業が変わらないときです。契約の最低期間と解約の申し出期限を先に確認し、アカウントと配信データを引き継げるかを確かめてから動いてください。繁忙期の直前は、切り替え後の調整期間と重なるため避けたほうが無難です。
Q. 代理店を替えずに、広告運用の成果改善だけ第三者に相談できますか?
できます。管理画面の閲覧権限と直近数か月のレポートがあれば、契約中の代理店をそのままにして、原因が運用・LP・設計のどこにあるかを確認できます。相談の前に、コンバージョンの定義と目標の件数・CPAを整理しておくと話が早く進みます。