SEMとは?SEOとの関係性や成果を上げるコツを解説


「SEMって何?」
「SEOとの違いを知りたい」
企業の経営者やマーケティング担当者の中にはこのような疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
SEMとは、検索エンジン経由でWebサイトへの訪問者を増やすWebマーケティング手法の総称です。
インターネットでの検索が当たり前となった現代において、Webマーケティングは欠かせない施策の1つと言えるでしょう。
事業の成果を上げるためには、Webマーケティングの基本となるSEMをしっかりと理解する必要があります。
この記事では、SEMの定義やSEOとの関係性、成果を挙げるコツなどを解説します。
SEMをしっかりと理解して、コンバージョン数の向上に活用しましょう。
1.SEMとは
SEMに取り組むことは、自社の競争力を高め、商品・サービスの認知度を向上させて顧客を獲得するために必須の施策と言えます。
もっとも、効果的に集客や見込み顧客(リード)の育成を行うためには、SEMの概念や目的などを正確に把握することが必須です。
以下では、SEMの定義や目的、SEOなどとの関係性について解説します。
- SEMの定義と目的
- SEOやリスティング広告との関係性
順に見ていきましょう。
(1)SEMの定義と目的
SEMとは「Search Engine Marketing(検索エンジンマーケティング)」の略で、検索エンジンからWebサイトやLPへの訪問者を増やすための手法を意味しています。
ユーザーの検索行動を通じて適切なタイミングでユーザーが求める情報を届け、自社サイトへの流入や顧客獲得を促進することがSEMの目的です。
適切なSEM戦略を活用することで、ターゲット層に効率的にリーチし、コンバージョン率を向上させることができます。
また、すでに商品やサービスに対するニーズが顕在化している層だけでなく、商品やサービスに対する興味・関心が薄い潜在層にもアプローチすることができます。
このような層に対しては、適切なコンテンツを提供して興味・関心を醸成することで、コンバージョンに至らせることも可能です。
そのため、SEMに取り組むことは、見込み顧客(リード)の育成から商品・サービスに対する購買意欲の醸成を経て、購入などのコンバージョンに至るまでの一連の流れをWeb上で完結させることができます。
(2)SEOやリスティング広告との関係性
SEMは、検索エンジンを活用したマーケティング手法であり、主にSEOとリスティング広告の2つの施策に大別できます。
検索エンジンでのマーケティングと聞くと、SEO対策を思い浮かべる方が多いですが、SEOはあくまでSEMの1つの施策にすぎません。
SEOとリスティング広告の概要については後述しますが、SEOとリスティング広告はそれぞれ異なる特徴を持ち、SEMの中で互いに補完し合う関係にあります。
SEMの戦略では、SEOによる継続的な流入を確保しつつ、リスティング広告で必要なタイミングでの集客を強化することで、より効果的なWebマーケティングが可能となります。
SEMとSEOの関係性についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
2.SEMの種類
先ほども触れたように、SEMにはSEOとリスティング広告の2つの施策が含まれます。
これらは独立した施策であり、必ずしも双方に取り組むべきものではありません。
もっとも、これらの施策を併用することで、より効果的なサイト運営を行うことができるケースもあります。
以下では、SEOとリスティング広告の概要について解説します。
(1)SEO
SEOとは検索結果で表示される順位を上げ、自然検索からの流入数・コンバージョン数を増やすための施策のことです。
SEOは、内部施策と外部施策の2種類に大別されます。
内部施策とは、Webサイト内を改善することを指します。
具体的には、サイトマップの作成やレイアウトの変更、パンくずリストの作成といった施策によって内部を最適化していきます。
一方で外部施策とは、Webサイトの外部で行う施策のことで、主にWebサイトの被リンク数とその質を向上させることです。
検索エンジンは、「外部サイトからどれくらいの数のリンクを貼られているか」を判断して検索順位を決定しています。
しかし数が多ければ良いのではなく、ユーザーにとって有益で質の高いコンテンツを含むWebサイトからのリンクでなければなりません。
質の高い被リンク獲得を目指すのが、SEOの外部施策の目的です。
以下の記事ではSEOについてより詳細に解説していますので、ご参照ください。
(2)リスティング広告
SEOと並び、SEMの主要な施策の1つがリスティング広告です。
リスティング広告とは、検索結果の上部に表示されるテキスト主体のWeb広告を指します。
ユーザーが検索したキーワードに応じて、検索結果画面の上部に優先的に表示されるクリック課金型の広告であり、費用はユーザーのクリックごとに発生します。
また、リスティング広告のリンク先としてLP(ランディングページ)がよく利用されます。
LP(ランディングページ)はコンバージョン獲得に特化した縦長のページであり、ユーザーの興味・関心を引きつけ、購買意欲を高めるように設計されています。
リスティング広告を通じて流入したユーザーをLP(ランディングページ)へ誘導し、効果的にコンバージョンへつなげる導線を構築することが一般的です。
このようにリスティング広告は、目的が明確になっている顕在ユーザーに対してマーケティングを行うことができるSEM施策です。
LPについて詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
3.SEOとリスティング広告の違い
代表的なSEMであるSEOとリスティング広告の違いを解説します。
具体的には、以下の点で違いが見られます。
- クリック率
- 費用
- コントロール性
それぞれ見ていきましょう。
(1)クリック率
検索結果におけるクリック率は、一般的に自然検索結果の上位表示の方がリスティング広告よりも高い傾向があります。
これは、多くのユーザーが広告を避け、自然検索結果を優先してクリックする傾向があるためです。
なお、First Page Sage社の2025年の調査によれば、自然検索結果のクリック率は以下の通りです。
検索順位 | クリック率 |
1位 | 39.8% |
2位 | 18.7% |
3位 | 10.2% |
一方、リスティング広告のクリック率は、広告の掲載位置によって異なりますが、同調査によると以下のようになっています。
広告の掲載位置 | クリック率 |
1位 | 2.1% |
2位 | 1.4% |
3位 | 1.3% |
これらのデータから、自然検索結果の1位のクリック率は約40%近くであるのに対し、リスティング広告の1位は約2%と、自然検索結果の方がクリック率が高いことがわかります。
したがって、クリック率を考慮すると、SEOによる検索順位の向上がリスティング広告よりも効果的であると言えるでしょう。
(2)費用
SEOは即効性がある施策ではないものの、長期的に見ればリスティング広告に比べて費用を低く抑えられる可能性があります。
コンテンツ制作や技術的な対策を外注しなければ、ほとんど費用は発生しません。
そのため、長期的には費用対効果の高いマーケティング手法と言えるでしょう。
また一度検索順位が上がれば、継続的に流入を得ることが可能で、ランニングコストが低く抑えられるのが大きなメリットです。
一方、リスティング広告は短期間で結果を出すために有効であり、特にキャンペーンや新商品のプロモーションなど、短期間で集客を狙いたい場合には費用対効果が高くなると言えます。
しかし、商品のジャンルや検索キーワードによって、必要なコストは異なります。
例えば、検索ボリュームが大きい人気のキーワードは入札価格が高く、クリック数も多いため課金額が増大してしまいます。
特に予算が限られている場合には注意が必要です。
(3)コントロール性
リスティング広告は、SEOと比較してコントロール性が高いと言えます。
表示順位は広告費用と広告ランクによって決まるため、予算を増やせば表示順位が上がり、予算を抑えれば順位を下げることができます。
一方、SEOは検索エンジンのアルゴリズムによって順位が決定されるため、直接的に順位をコントロールすることはできません。
検索エンジンにWebサイトを認知させて検索結果に反映される、もしくは上位表示されるまでに一定の時間がかかります。
場合によっては、検索結果に表示されなかったり、順位がついても上位にならなかったりする可能性もあります。
そのため、SEOは長期的な視点で評価される施策であり、短期的に順位をコントロールしたい場合にはリスティング広告の方が適していると言えるでしょう。
4.SEMを使い分けるポイント
上記のように、SEOとリスティング広告には、いくつかの要素において違いが見られます。
そのため、SEOとリスティング広告は、目的に応じて使い分けることで、効果的な運用を行うことが可能です。
具体的には、以下のパターンが考えられます。
- 中長期的に集客したい場合
- 短期的に集客したい場合
SEOとリスティング広告、それぞれに適しているケースについて見ていきましょう。
(1)中長期的に集客したい場合
中長期的に安定した集客を目指すのであれば、SEOの方が適しています。
上述したように、SEOは効果が出るまでに時間がかかるものの、検索結果の上位に表示されるようになれば安定した検索流入が期待できます。
また高額な商材は、ユーザーが時間をかけて商品を比較・検討する傾向があるため、自然検索で上位に表示されていれば、商品の認知度向上や検討の機会を多く生むきっかけとなるでしょう。
もっとも、コンテンツを追加するなどの施策を行ったとしても、すぐに上位表示を獲得できるわけではないため、時間をかけてコンテンツを制作する必要があります。
また、コンテンツを一度制作すれば終わりではなく、安定して検索上位に表示されるためには、継続的な運用とリライトが欠かせません。
そのため、運用リソースの確保が継続的な効果を期待できるかどうかのカギとなることを押さえておきましょう。
(2)短期的に集客したい場合
短期的または限定的な成果を目指すのであれば、SEOよりもリスティング広告の方が適しています。
リスティング広告は、キーワードやユーザーの属性に合わせて広告費の入札を行うため、市場規模が狭くターゲットが限られている場合にも効果的です。
また、過去の検索履歴やサイトの訪問履歴から広告内容が導き出されるため、ユーザーの興味を引きやすく、高い集客効果が見込めます。
リスティング広告にはコストがかかってしまうというデメリットがあるものの、より多くの費用を支払うことで、即時的な効果も期待できます。
新しくWebサイトの運営を始めたばかりのときやキャンペーンなど限られた期間のみ宣伝を行いたい場合に適していると言えるでしょう。
5.SEMを行うべき理由
以上のように、SEMにはSEOとリスティング広告が含まれ、これらに取り組むことで様々なメリットがあります。
そのため、以下のような理由から、SEMに取り組むことは必須と言えるでしょう。
- ユーザー行動にあったマーケティング施策を行うため
- 認知度拡大を狙うため
順にご説明します。
(1)ユーザー行動にあったマーケティング施策を行うため
インターネットが普及した今、ユーザーは検索エンジンを通じて情報を収集することが当たり前となっています。
また、ユーザーの購買行動は、新しいデバイスや技術の普及によって日々変化しており、企業のマーケティング戦略もそれに応じて進化する必要があります。
SEOによる自然検索からの流入強化と、リスティング広告による即時的な集客を組み合わせたSEM施策を実施することで、継続的な顧客獲得と長期的な利益向上につながるのです。
ユーザーの検索行動に適したSEM戦略を展開することで、競争の激しい市場においても優位性を確立することができます。
(2)認知度拡大を狙うため
SEM施策を行うことで、企業やサービスの認知度を拡大することが可能です。
検索エンジンを活用したマーケティングは、ユーザーが自ら情報を求めているタイミングで接触できるため、自然な形でブランドの露出を増やせます。
特にSEOによる検索結果の上位表示は、継続的な露出を実現し、企業やサービスの信頼性向上につながります。
また、リスティング広告を活用することで、ターゲット層に対して短期間で認知度を高めることも可能です。
SEM施策を通じてユーザーが何度も企業の名前や商品を目にすることで根強いブランドイメージを定着させることができるでしょう。
検索エンジン経由での流入が増えることで、潜在顧客の興味・関心を引き付け、購買や問い合わせといったコンバージョンへとつなげやすくなります。
6.SEMの成果を上げるコツ
SEMで成果を上げるには、押さえておくべきポイントがあります。
具体的には、以下の点を意識しましょう。
- 短期と長期のバランスをとる
- 対策キーワードを選定する
- PDCAを細かく回す
ひとつずつ解説します。
(1)短期と長期のバランスをとる
リスティング広告は、短期間での集客や売上向上に効果的ですが、クリックごとに費用が発生するため、広告予算が尽きると効果が止まるというデメリットがあります。
そのため、継続的に費用を投じなければ成果を維持することが難しく、長期的な集客戦略としては限界がある場合があります。
一方、SEOは即効性が低く、効果が出るまでに時間がかかるものの、適切な施策を継続することで検索エンジンの評価が向上し、長期的な上位表示が期待できます。
一度SEOの成果が出れば、広告費をかけずに安定した流入を確保できるのが大きなメリットです。
そのため、短期的な施策として即効性のあるリスティング広告を活用しながら、並行してSEO対策を進めることで、長期的な成果につながります。
両者の特性を理解し、予算や目標に応じてバランスよく施策を実施することが、安定したWeb集客と売上向上につながります。
(2)対策キーワードを選定する
SEMでは対策キーワードの選定が重要であり、適切なキーワードを設定することでコンテンツ戦略やリスティング広告の効果が大きく変わります。
対策キーワードは、一般的に「ビッグキーワード」と「スモールキーワード」に分類され、それぞれ異なる特性を持っています。
ビッグキーワードは検索回数が多い分、競合も多くなり入札単価も高くなる傾向があるので、ビッグキーワードだけでSEMに取り組むと費用対効果が悪くなる可能性があります。
一方で、スモールキーワードだけを対策しても検索回数が少なく表示機会が減少してしまい、流入は増えません。
そのため、ビッグキーワードとスモールキーワードをバランスよく組み合わせたキーワード戦略を構築することが重要です。
ツールを活用して検索ボリュームや競合性を分析しながら、適切なキーワードを選定することで、SEMの成果を最大化することができます。
(3)PDCAを細かく回す
PDCAサイクルとは、計画を立て(Plan)、実行し(Do)、結果を評価し(Check)、改善を行う(Action)ことで、継続的に成果を向上させるフレームワークです。
SEMに限らず、あらゆるマーケティング施策において有効ですが、特にリスティング広告やSEO施策の運用において重要な役割を果たします。
例えば、リスティング広告を実施することで、検索結果の上位表示が可能となり、流入数の増加が期待できます。
流入が増えると、ユーザーの検索意図や行動データを詳細に分析できるようになり、より費用対効果の高い運用が可能になります。
また、SEO施策においても検索順位やクリック率、滞在時間などのデータを分析し、コンテンツの改善や内部リンクの最適化を行うことで、より効果的なSEO対策を実現することができます。
まとめ
Web集客戦略においてSEMは短期的にも長期的にも非常に重要です。
リスティング広告は即効性が高く、予算を調整することで短期間で集客や売上向上を図ることが可能です。
もっとも広告費用が発生し続けるため、長期的に継続する場合はコストが増大する可能性があります。
これに対して、SEOは即効性は低いものの、一度検索順位が上がれば、継続的に流入を得られるため、長期的な費用対効果が高い施策と言えます。
それぞれの特性を理解し、バランスよく組み合わせることで、より安定した成果を得ることができるでしょう。
もっとも、SEM施策を通じて効果的なサイト運用を行うためには、専門知識や実績が不可欠であるため、自社内でリソースを確保することができない場合には、専門の業者へ相談・依頼するのがおすすめです。
Web集客について相談したい方は、TMS Partners株式会社へ問い合わせください。
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