LP最適化(LPO)の手順と、LP改善の優先順位の付け方
LP最適化(LPO)は、LP(ランディングページ。広告や検索から訪れた人が最初に見るページ)を直して、問い合わせや購入に至る割合を高める取り組みです。手順は「現状把握→仮説→ABテストなどによる検証→反映と記録」の4段階です。直す場所は、広告とLPの内容のずれ、ファーストビュー(開いて最初に見える範囲)、申し込みボタン、申し込む根拠、入力フォームの順に疑うと、遠回りを減らせます。ABテストは1か所だけ変え、必要な訪問数を先に計算してから判定します。スマートフォンのフォームは、項目を減らすところから点検します。
LPを公開したものの成果が伸びずに悩む担当者の方に向けた記事です。必要な訪問数(サンプル数)の計算式と、スマートフォンのフォーム最適化(モバイルEFO)の6項目は本文で示します。
TMS Partnersは京都のWebコンサルティング会社で、LP制作とWeb広告運用を戦略立案から一気通貫で支援しています。「どこから直せばよいか分からない」という段階のご相談も、無料でお受けしています。
LP最適化(LPO)とは
LPOは Landing Page Optimization の略です。「LP改善」「LPO対策」と呼ばれることもありますが、指している内容は同じです。
仕組みは単純です。LPに来た人のうち成果(コンバージョン。問い合わせ、資料請求、購入など)に至った割合をCVR(コンバージョン率)と呼び、次の式で計算します。
- CVR=コンバージョン数÷LPの訪問数
- CPA(成果1件あたりの広告費)=クリック単価÷CVR
仮にクリック単価が200円でCVRが1%なら、CPAは200円÷0.01=2万円です。CVRが2%になれば、同じ広告費のままCPAは1万円になります。広告の設定を変えなくても、LPを直すだけで獲得単価が下がるのはこのためです。自社の数字を当てはめれば、目標のCPAに必要なCVRを逆算できます。CPAが高くなる原因を広告側も含めて切り分けたい場合は、CPAが高い原因と下げ方もあわせてご覧ください。
SEO・EFOとの違い
SEO(検索エンジン最適化)や広告は、LPに来る人を増やす施策です。LPOは、来た人のうち成果に至る割合を上げる施策です。EFO(Entry Form Optimization、入力フォーム最適化)は、LPOのうち入力フォームだけを対象にしたものです。フォームがLPの中にある場合、EFOはLPOの一部と考えて差し支えありません。
LP改善(LPO)の手順は4段階
LPOは、いきなりデザインを変えるところから始めると、何が効いたのかが分からなくなります。先に「どこで人が離れているか」を数字で確かめ、原因の見当を付けてから手を入れます。
手順1 現状把握:離脱している場所を数字で分ける
訪問から成果までを3つの区間に分けて見ます。「LPを開く→読み進める」「読む→申し込みボタンを押す」「フォームに入力し始める→送信する」の3つです。どの区間で人が減っているかが分かれば、直す場所は絞れます。
計測にはGoogle アナリティクス 4(GA4)が使えます。GA4の拡張計測機能には「フォームの操作」があり、ユーザーがセッション(1回の訪問)で初めてフォームを操作したときに form_start、フォームを送信したときに form_submit というイベント(GA4が記録する操作の単位)が記録されます(アナリティクス ヘルプの拡張計測機能の説明)。2つの件数の差から、入力し始めたのに送信しなかった件数のおおよその規模が分かります。使う前に自分でテスト送信をして、form_submit が記録されることを確かめてください。
LPのどこまで読まれたか、どこが押されたかは、ヒートマップ(ページ上の閲覧や操作を色の濃淡で示す分析ツール)で確認します。Microsoft Clarity は、ヒートマップとセッションの録画を無料で使えるとMicrosoftが案内しています(Microsoft Clarity よくある質問)。
数字は必ずスマートフォンとPCに分けて見ます。合計の数字では、片方だけにある問題が埋もれるからです。
| 数字に出る症状 | 疑う場所 | 最初に確かめること |
|---|---|---|
| 開いてすぐ離れる人が多く、下まで読まれない | 広告とLPの内容のずれ、ファーストビュー、表示の遅さ | 広告文とLP冒頭の見出しを並べて読む。表示速度を測る |
| 下まで読まれているのに、申し込みボタンが押されない | ボタンの文言と位置、申し込む理由の不足 | ボタンを押すと何が起きるかが文言で分かるか。料金や流れの説明があるか |
| フォームまで進むのに、送信されない | 項目の数、エラー表示、スマートフォンでの入力のしにくさ | form_start と form_submit の差。録画でどの項目で手が止まるかを見る |
| スマートフォンだけCVRが低い | スマートフォンでの表示とフォーム | 自分のスマートフォンで、広告のクリックから送信完了まで操作する |
すぐ離れる人が多い場合の原因の切り分けは、直帰率の改善で詳しく扱っています。
手順2 仮説:LP改善のコツは直す順番を決めること
仮説は「事実→原因の推測→変更→上がるはずの指標」の形で1文にします。たとえば「フォームを操作し始めた人の多くが送信していない。電話番号や住所など、問い合わせの時点では不要な項目が負担になっていると考える。項目を減らせば送信完了の割合が上がるはず」という書き方です。この形にしておくと、検証で何を測ればよいかが決まります。
仮説が複数出たら、多くの人が通る場所から、成果に近い場所への順に並べます。一般的には次の順で疑います。
- 広告・検索語とLPの一致:広告で約束した内容が、LPの最初の見出しにそのまま書かれているか
- ファーストビュー:誰の、どんな悩みを、どう解決するページかが、スクロールせずに分かるか
- CTA(Call To Action。申し込みや問い合わせへ進むボタン):押すと何が起きるかが文言で分かるか。読み終えた位置にボタンがあるか
- 申し込む根拠:料金、進め方、お客様の声、よくある質問など、迷いを解く情報があるか
- 入力フォーム:項目の数と、入力のしやすさ
1が合っていなければ、2以降をどれだけ直しても読まれません。広告とLPを別々の担当者や会社が見ている場合は、最初にここを突き合わせてください。4のお客様の声や実績は、実在するものだけを載せます。
同じ場所に仮説が複数あるときは、直す手間で並べ替えます。見出しやボタンの文言、フォーム項目の削減のように編集だけで済むものを先に、デザインやコーディングを伴うものを後にします。手間が大きく、効果の見込みも小さい仮説は見送ります。
表示速度は、この順番とは別に一度測っておきます。Googleは、ページの主な内容が表示されるまでの時間を示す指標LCP(Largest Contentful Paint)について、優れたユーザー体験のために2.5秒以下に収めることを勧めています(web.dev のLCPに関する解説)。Googleの無料ツール PageSpeed Insights にLPのURLを入れると確認できます。大きく超えている場合は、ファーストビューの画像を軽くするところから始めます。
見出しやボタンの文言の具体的な直し方は、LPのCVRを上げる方法にまとめています。
手順3 検証:ABテストか前後比較で確かめる
仮説どおりに直して成果が増えたかを確かめます。方法は、元のLPと変更したLPを同じ期間に出し分けるABテストと、変更の前後の期間を比べる前後比較の2つです。ABテストのやり方は次の章で説明します。
手順4 反映と記録:分かったことを残す
結果が出たら、良かったほうを本番に反映します。同時に、仮説、変更した内容、期間、パターンごとの訪問数とコンバージョン数、判定、次に試すことを1行ずつ記録します。差が出なかったテストも「この要素は成果に影響しにくい」という情報です。
LPのABテストのやり方と必要なサンプル数
ABテストは、元のLP(A)と1か所だけ変えたLP(B)を、同じ期間に訪問者へ振り分けて表示し、CVRを比べる方法です。次の順で進めます。
- 変更は1回に1か所にする。見出しとボタンを同時に変えると、どちらが効いたのか分かりません
- 何の数字で判定するかを先に決める。基本は最終的なコンバージョン数です
- 必要なサンプル数(パターンごとの訪問数)を計算し、期間を決める
- AとBを同じ期間に均等に配信する。途中で広告の予算やターゲットを大きく変えない
- 予定のサンプル数に達してから判定する
必要なサンプル数の計算式
CVRのように「した/しなかった」の割合を比べるテストでは、必要な訪問数を次の概算式で出せます。統計で広く使われる簡易式で、有意水準5%(差がないのに「ある」と判定してしまう確率)、検出力80%(本当にある差を見つけられる確率)を前提にしています。
- 1パターンあたりの必要訪問数≒16×平均CVR×(1−平均CVR)÷(CVRの差)の2乗
平均CVRは、現状のCVRと、見つけたい改善後のCVRの平均です。現状2%のLPが3%になるかを確かめたい場合、平均CVRは0.025、差は0.01なので、16×0.025×0.975÷0.0001=3,900。AとBにそれぞれ約3,900の訪問が必要です。
| 現状のCVR | 見つけたい改善後のCVR | 1パターンあたりの必要訪問数(概算) |
|---|---|---|
| 1% | 1.5% | 約7,900 |
| 2% | 2.4% | 約21,500 |
| 2% | 3% | 約3,900 |
| 2% | 4% | 約1,160 |
表の数字は式に当てはめた計算結果で、業種の相場ではありません。読み取れるのは、見つけたい差が小さいほど、必要な訪問数は急に増えることです。月の訪問数が3,000のLPを2パターンに分けると、1パターンあたり月1,500です。2%から3%への差を確かめるだけでも、3,900÷1,500=2.6か月かかります。テストを始める前にこの計算をして、現実的な期間で終わるかを確かめてください。
有意差の判定方法
テストが終わったら、差が偶然の範囲かどうかを確かめます。偶然とは考えにくい差を有意差と呼びます。2つの割合の差を比べる一般的な検定では、次の値を計算します。
- z=(BのCVR−AのCVR)÷√{全体のCVR×(1−全体のCVR)×(1÷Aの訪問数+1÷Bの訪問数)}
zの絶対値が1.96以上なら、有意水準5%で「差がある」と判断します。仮の数字で計算します。Aが訪問4,000でコンバージョン80件(2.0%)、Bが訪問4,000で112件(2.8%)なら、全体のCVRは192÷8,000=2.4%です。1÷4,000+1÷4,000=0.0005 なので、分母は√(0.024×0.976×0.0005)=約0.00342、zは0.008÷0.00342=約2.3となり、1.96を超えます。
気をつけたいのは、途中で数字をのぞいて、差が出た時点で止めないことです。期間中は偶然の上下が何度も起きるため、良く見えた瞬間に止めると、本当は差がないのに「勝ち」と判定しやすくなります。曜日による偏りをならすために、期間は週単位で区切ります。
ABテストのリスクは、誤った判定をもとに本番へ反映し、かえって成果を落とすことです。
訪問数が少ないLPの進め方
訪問数が少なく、必要なサンプル数に届かないLPでは、次のように進めます。
まず、テストするまでもない不具合を先に直します。ボタンが押しにくい、エラーの理由が表示されない、広告とLPで書いてあることが違う、といった問題です。統計的な検証は要りません。
次に、小さな変更ではなく大きな変更を試します。ファーストビューの訴求そのものを変えるなど、差が大きく出うる仮説を選びます。先ほどの式のとおり、差が大きければ少ない訪問数で判定できます。
それでも足りなければ、前後比較で割り切ります。同じ曜日構成の期間を比べ、その間は広告の設定を変えません。結果は参考として扱い、記録にもそう書いておきます。
ABテストに使うツール
GoogleのABテストツール「Google オプティマイズ」は、2023年9月30日で提供を終了しています(アナリティクス ヘルプ)。現在は、ABテスト専用のツールを導入するか、広告媒体の機能を使います。
Google広告には「テスト」機能があります。カスタムテストはランディングページなどのテストに使え、元のキャンペーンとテスト用のキャンペーンに予算またはトラフィックを配分して、結果を比べられます。利用できるのは検索キャンペーン、ディスプレイ キャンペーン、アプリ キャンペーンです(Google 広告ヘルプの「テスト」ページの解説)。
スマートフォンのフォーム最適化(モバイルEFO)
フォームまで進んだ人は、申し込む意思が固まっている人です。スマートフォンは画面が狭く、指で操作するため、PCでは気にならない作りが入力の妨げになります。次の6項目を、実機で順に点検してください。
- 項目を減らす
- 入力内容に合ったキーボードを出す
- 自動入力を効かせる
- 押しやすい大きさと間隔にする
- エラーはその場で、項目の横に出す
- ラベルを入力欄の外に置く
入力項目を減らし、キーボードと自動入力を整える
Googleの開発者向けサイト web.dev は、フォームの複雑さを減らすもっとも簡単な方法は不要な項目を削除することだと述べています(web.dev のお支払い・住所フォームに関する解説)。問い合わせの時点で本当に必要な項目だけを残し、部署名や住所など、後から聞ける情報は外すか任意にします。残す項目は必須か任意かを項目名の横に示します。減らしても項目が多い場合は画面を分け、全体のどこまで進んだかを表示します。
キーボードは、入力欄のHTMLの指定で切り替わります。同じページでは、電話番号に type=”tel” を、それ以外の数字に inputmode=”numeric” を使うと、スマートフォンで適切なキーボードが表示されると説明されています。電話番号の欄でかな入力のキーボードが出る状態は、この指定が抜けているサインです。
autocomplete 属性を適切に指定すると、ブラウザが保存している氏名やメールアドレス、電話番号を自動で入力できます。
ボタンの押しやすさ、エラー表示、ラベルの位置を直す
ボタンや選択肢の大きさについて、web.dev は、推奨される最小のタッチ ターゲット サイズを約48デバイス非依存ピクセル(機種ごとの画面の細かさに左右されない長さの単位)としています(web.dev のタップ ターゲットに関する解説)。実寸では一辺9ミリ程度です。ターゲット同士の間隔は8ピクセル程度空けるよう勧めています。選択肢が小さく詰まって並んでいないか、送信ボタンが押しやすい大きさかを確かめます。
エラーは、送信ボタンを押した後にまとめて出すのではなく、入力したその場で、該当する項目の横に、直し方が分かる文で出します。スマートフォンでは、画面の上に出たエラーに気づかないまま離れてしまうことがあります。入力済みの内容が消えないことも確認します。
入力欄の中に薄い文字で書く入力例(プレースホルダー)だけで項目名を示すと、入力を始めた時点で何の欄か分からなくなります。項目名のラベルは入力欄の外に置きます。
フォームの周囲に、ほかのページへのリンクやバナーが残っていないかも確かめます(個人情報の取り扱いへのリンクは残します)。
最後に、広告をクリックするところから送信完了まで、自分のスマートフォンで通して操作します。ページを切り替えずに画面が進む作りのフォームでは、送信がGA4に記録されているか、完了の件数が実際の受信件数と合うかも、このときに確かめます。
LPOを自社で進めるか、コンサル・会社に依頼するか
数字の確認、文言の変更、フォーム項目の削減は、LPを編集できる環境があれば自社で進められます。
外部のLPOコンサルティングや制作会社への依頼が向くのは、次のような場合です。デザインやコーディングを伴う変更が必要なとき。広告とLPを別々の会社が担当していて、訴求のすり合わせが進まないとき。ABテストの設計と判定を任せたいとき。
依頼先を検討するときは、次の点を尋ねると対応範囲が分かります。
- 改善案は、どの数字を根拠に出すのか
- LPだけでなく、広告の訴求や配信設定まで見るのか
- 変更の実装は誰が行うのか。修正の回数に上限はあるか
- テストの記録と結果を、こちらにも共有するか
費用は、部分的な修正か作り直しかで大きく変わります。作り直す場合の目安は、LP制作の費用相場で整理しています。
TMS Partnersに相談できること
TMS Partnersは、2019年設立の京都市下京区にあるWebコンサルティング会社で、Google Partner認定を取得しています。Webサイト制作ではLPの制作を、Web広告運用ではターゲティング戦略、クリエイティブ制作、費用対効果の改善、ABテストを行っています。戦略立案(KPI設計)から制作・運用まで一気通貫で対応できるため、広告の訴求とLPの内容を合わせて見直せます。
費用は内容に応じたお見積もりです。「広告のクリックはあるのに問い合わせが増えない」「どの数字を見ればよいか分からない」といった段階のご相談も、無料でお受けしています。
まとめ
LP最適化(LPO)は、現状把握、仮説、検証、反映と記録の4段階で進めます。最初に離脱している区間を数字で分け、広告とLPの一致、ファーストビュー、CTA、申し込む根拠、フォームの順に疑います。ABテストは、始める前に必要なサンプル数を計算し、予定の数に達してから判定してください。訪問数が少ないLPは、不具合の修正と大きな変更を優先します。スマートフォンのフォームは、6項目を実機で点検するところから始められます。
よくある質問
Q. LPOの事例にある「CVRが◯倍」は、自社でも期待できますか?
そのまま当てはめることはできません。改善の幅は、元のLPの状態、流入している人、商材によって変わります。事例は「どこを疑い、どう確かめたか」という手順の参考にとどめ、効果は自社のLPで検証して確かめてください。
Q. ABテストで有意差が出なかったときはどうすればよいですか?
まず、必要なサンプル数に達していたかを確認します。達していて差が出なかったなら、その変更は成果に影響しにくいと分かったことになります。元のパターンを維持し、より大きな変更を伴う別の仮説に移ります。達していなかった場合は、勝ち負けを決めずに「判定できなかった」と記録します。
Q. ABテストの期間はどのくらい必要ですか?
期間は日数ではなく、必要なサンプル数から逆算します。「1パターンあたりの必要訪問数÷1パターンあたりの1日の訪問数」で日数を出し、曜日の偏りをならすために週単位に切り上げます。