コラム

広告予算の決め方とWeb広告の予算を逆算する計算式

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TMS編集部

広告予算は、「目標とする成果の件数×1件あたりに払える上限額(許容獲得単価)」で決めます。月に問い合わせを15件取りたくて、1件あたり2万円までなら利益が残るのであれば、月の広告費は30万円です。「売上の何%」という決め方は計算が簡単ですが、その金額で何件の成果を見込めるのかが分かりません。

この記事は、Web広告の予算をこれから決める方と、代理店から提案された金額が妥当かを確かめたい方に向けたものです。目標から逆算する4つの手順、売上に対する割合で決める方法との使い分け、媒体への予算配分、運用開始後の見直し方を、計算例つきで説明します。

TMS Partnersは京都のWebコンサルティング会社です。目標数値(KPI)の設計を含む戦略立案から、制作、Web広告の運用まで一気通貫で支援しています。「この目標にはいくら必要か」「いまの予算で何件を見込めるか」といった、予算を決める段階のご相談も無料でお受けしています。

目次

広告予算の決め方は目標から逆算する4つの手順

基本の式は次の1つです。

  • 月の広告予算=目標件数×許容獲得単価

獲得単価(CPA)は、成果1件を得るのにかかった広告費のことです。許容獲得単価は、その上限として自社が払ってよい金額を指します。この式で決めると、予算と成果の件数が最初から結びつきます。配信を始めたあとも、「件数は足りているか」「単価は上限に収まっているか」の2点で良し悪しを判断できます。

手順1 成果の定義と目標件数を決める

最初に、広告で増やしたい成果を1つに決めます。購入、問い合わせ、資料請求、来店予約などです。次に、その成果を月に何件ほしいかを、売上計画から決めます。問い合わせが成果の場合は、「ほしい受注件数÷問い合わせから受注に至る割合」で必要な問い合わせ件数を出します。

仮に、月に3件の受注を増やしたく、問い合わせ5件につき1件が受注になる(受注率20%)とします。必要な問い合わせは3件÷20%=15件です。

手順2 許容獲得単価を粗利から出す

許容獲得単価は、売上ではなく粗利(売上から原価を引いた額)から出します。

  • 受注1件に払える広告費=受注1件の粗利−1件あたりに残したい利益
  • 問い合わせ1件の許容獲得単価=受注1件に払える広告費×受注率

仮に、受注1件の売上が50万円、粗利率が40%なら、粗利は20万円です。このうち10万円を利益として残すと決めれば、受注1件に払える広告費は10万円になります。受注率が20%なら、問い合わせ1件の許容獲得単価は10万円×20%=2万円です。

通販のように購入そのものが成果の場合は、1つ目の式だけで足ります。獲得単価が粗利を上回ると、売れるほど赤字が増えます。上限を先に決めておくのは、この状態を避けるためです。

手順3 目標件数と許容獲得単価を掛ける

手順1と手順2の数字を掛けます。15件×2万円=30万円が、月の広告予算です。検算すると、受注3件の粗利は60万円、広告費を引いた残りは30万円で、1件あたり10万円の利益という前提と合います。

手順4 クリック単価とコンバージョン率で現実的かを確かめる

手順3の金額は「払ってよい額」であり、その金額で目標件数を取れる保証ではありません。そこで、市場の側から見た獲得単価を見積もります。

  • 見込みの獲得単価=クリック単価÷コンバージョン率

クリック単価は広告が1回クリックされるごとにかかる費用です。コンバージョン率(CVR)は、広告をクリックした人のうち成果に至った人の割合です。仮にクリック単価が200円、コンバージョン率が1%なら、見込みの獲得単価は200円÷1%=2万円で、許容獲得単価と一致します。コンバージョン率が0.5%なら4万円になり、30万円の予算で取れるのは7〜8件です。この場合は、目標件数を下げる、許容獲得単価を見直す、ページを改善してコンバージョン率を上げる、のいずれかを選ぶことになります。

検索広告のクリック単価は、Google広告のキーワード プランナーで見積もれます。キーワードごとに予測される検索数と、そのキーワードに広告を出す場合の費用の見積もりを確認できるツールです(Google 広告ヘルプ「キーワード プランナーを使う」)。コンバージョン率は、自社サイトの過去の訪問数と問い合わせ数から出します。実績がなければ仮の数字を置き、配信を始めてから実測値に置き換えます。どちらも見積もりであり、実際の数字は配信後に変わります。

自社の数字を当てはめる計算表

項目 計算式 仮の例
必要な問い合わせ件数 ほしい受注件数÷受注率 3件÷20%=15件
受注1件に払える広告費 受注1件の粗利−残したい利益 20万円−10万円=10万円
許容獲得単価 受注1件に払える広告費×受注率 10万円×20%=2万円
月の広告予算 必要な問い合わせ件数×許容獲得単価 15件×2万円=30万円
見込みの獲得単価 クリック単価÷コンバージョン率 200円÷1%=2万円

表の数字はすべて計算の流れを示すための仮の値で、相場ではありません。自社の受注率、粗利、残したい利益に置き換えて計算してください。

代理店に任せるなら手数料を含めて計算する

運用を代理店に任せる場合は、30万円が広告費だけの金額なのか、手数料を含む総額なのかを先に決めます。代理店の手数料は、一般的な目安として広告費の20%前後です。総額30万円で手数料が広告費の20%なら、広告費は30万円÷1.2=25万円、手数料は5万円になります。獲得単価が2万円のままなら、取れる件数は15件ではなく12〜13件です。

採算は「(広告費+手数料)÷件数」で見てください。手数料の計算方法と見積もりの見方は、広告代理店の手数料・費用相場の記事で説明しています。

売上に対する広告費の割合で予算を決める方法と使い分け

逆算のほかにも、広告予算の決め方はいくつかあります。それぞれ使いどころが違います。

売上比率で決める方法

売上の一定割合を広告費にあてる方法です。計算が簡単で、社内で説明しやすい利点があります。弱点は2つです。1つは、その金額で何件取れるかが式に入っていないこと。もう1つは、売上が落ちると広告費も減り、立て直しに必要な投資ができなくなることです。

「広告費の割合は何%が適正か」という問いに、業種で一律の答えはありません。粗利率が会社ごとに違うからです。自社の上限は次の式で出せます。

  • 広告費の割合の上限=粗利率−売上に対して残したい利益の割合

先ほどの例では、粗利率40%、残したい利益は50万円のうち10万円で20%なので、上限は20%です。受注1件に払える広告費10万円÷売上50万円=20%と一致します。粗利率が20%の商材で同じ割合を広告に使えば、利益は残りません。ECや通販で広告費の割合を考えるときも、他社の数字ではなく自社の粗利率から出してください。

前年の実績・競合・使える金額に合わせる方法

前年と同じ額にする方法は、社内の調整が要らない反面、クリック単価や競合の変化を反映できません。競合の出稿量に合わせる方法は、相手の広告費を外から正確に知る手段がなく、相手の予算が適切とも限りません。

使える金額が先に決まっている場合は、式を逆向きに使います。見込みの件数=使える金額÷見込みの獲得単価(手順4)です。仮に月10万円で見込みの獲得単価が2万円なら、見込みは5件です。この獲得単価が許容獲得単価に収まるか、5件で目標に足りるかを確かめてから始めます。

前年実績と競合は、逆算で出した金額を点検する材料として使うのが現実的です。

LTV(顧客生涯価値)から決める方法

LTVは、1人の顧客が取引を続ける期間全体でもたらす利益のことです。定期購入や継続契約など、リピートがある商材で使います。初回の粗利だけで許容獲得単価を出すと、上限が低くなりすぎて配信できないことがあるためです。

仮に、1回の購入の粗利が3,000円で、平均して年に4回購入されるなら、1年間の粗利は3,000円×4回=1万2,000円です。初回だけを見れば3,000円が上限ですが、1年で回収すると決めれば、1万2,000円から残したい利益を引いた額が上限になります。残したい利益を4,000円と置けば、許容獲得単価は8,000円です。ただし、回収までの間は広告費が先に出ていきます。継続回数の見込みが外れれば、そのまま赤字です。継続の実績データが少ないうちは、回収期間を短く置いて計算してください。

実務では、逆算で金額を出し、売上に対する割合で「会社として払える範囲か」を点検するという組み合わせが使いやすい方法です。

Web広告の予算配分は成果に近い順に決める

総額が決まったら、どの媒体にいくら配るかを決めます。考え方は、成果に近い人に届く広告から順に予算をあてることです。

媒体への予算配分の方法

検索広告は、商品やサービスをすでに探している人に表示されます。問い合わせや購入を増やしたいなら、最初に予算をあてる候補になります。SNS広告やディスプレイ広告(Webサイトやアプリの広告枠に画像で表示する広告)は、まだ探していない人にも届きます。検索される数が少ない商材や、見た目で魅力が伝わる商材に向いています。

予算が小さいうちは、媒体を分けすぎないことが大切です。仮に月30万円を3つの媒体に10万円ずつ配り、獲得単価が2万円だとすると、1媒体あたりの成果は月5件です。この件数では、どの媒体が良いのかを判断できません。1つの媒体に絞って件数を集め、許容獲得単価に収まることを確かめてから次の媒体に広げます。少額で始めるときの進め方は、少額予算の広告運用の記事にまとめています。

運用型広告(配信しながら入札(1クリックに払う上限額の設定)や広告文を調整できる広告)の配分を見直すときは、媒体ごとの獲得単価を比べます。許容獲得単価に収まっている媒体へ予算を移し、超えている媒体は減らします。比べる前に、成果の定義と計測方法が媒体間でそろっているかを確認してください。同じ1件の問い合わせを複数の媒体がそれぞれ自分の成果として数えることがあり、管理画面の件数を足すと実際の件数より多くなる場合があります。合計は自社の受付件数と照らし合わせます。

新規とリピートの予算配分

既存顧客には、メールやLINEなど、広告より安く届けられる手段があります。そのため、広告費は新規顧客の獲得を中心に配るのが基本です。既存顧客やサイト訪問者に向けた広告は獲得単価が低く見えやすいものの、広告がなくても購入した人が含まれている可能性があります。新規向けとリピート向けは予算も獲得単価の上限も分けて管理し、合算した数字で判断しないようにします。

検証用の枠を分けておく

新しい媒体や広告の切り口を試す費用は、成果を取るための予算と分けて持ちます。たとえば全体の1割を検証用と決めておけば、試した結果が悪くても、月の目標件数への影響を一定の範囲に抑えられます。

BtoBの広告予算とマーケティング予算全体の決め方

BtoBは受注までの段階ごとに逆算する

BtoB(企業向けの取引)は、問い合わせから受注までに時間がかかります。当月の広告費と当月の受注を比べても、採算は判断できません。そこで、問い合わせ、商談、受注の各段階の件数と移行する割合を記録し、手順2と同じ方法で、広告で成果として数える地点(問い合わせや資料ダウンロード)の許容獲得単価に直します。

資料ダウンロードを成果にする場合は、問い合わせとは別の上限を置きます。仮に、商談1件に5万円まで払え、資料をダウンロードした人の10%が商談に進むなら、資料ダウンロード1件の許容獲得単価は5万円×10%=5,000円です。件数だけを追うと、商談にならない資料請求が増えても気づけません。月に一度は、広告経由の問い合わせが何件商談になったかを営業側の記録と突き合わせてください。

中小企業のマーケティング予算は固定費と変動費に分ける

マーケティング予算は広告費より広く、次のような費用を含みます。

  • 広告費(媒体に支払う費用)
  • 広告運用を外部に任せる場合の手数料
  • ランディングページ(広告をクリックした人が最初に見るページ)やバナー、動画の制作費
  • 計測や顧客管理のツール費
  • SEO(検索結果で自社サイトを上位に表示させる取り組み)や記事制作など、広告以外の集客費

決め方は、制作費やツール費のように件数にかかわらず発生する固定費と、広告費のように件数に応じて増減する変動費に分けることです。変動費は「目標件数×許容獲得単価」で出し、固定費は契約期間の総額を月数で割って月額に直します。採算は、両方を足した金額を成果件数で割って確かめます。

中小企業で予算が限られる場合は、広告費だけを確保して、受け皿のページや計測の費用を見込んでいない、という形になりがちです。ページで離脱されればコンバージョン率が下がり、手順4の見込みの獲得単価が上がります。最初の予算には、ページの整備と計測の設定にかかる費用を入れておいてください。

広告費を最適化する運用開始後の見直し方

予算は決めて終わりではありません。配信を始めると、クリック単価とコンバージョン率の実測値が手に入ります。手順4の仮の数字を実測値に置き換え、月に一度は計算し直します。

月ごとの予算の割り振りと媒体の設定

需要に季節の波がある商材は、月の予算を毎月同額にせず、年間の総額を先に決めて、検索や受注が増える月に多く割り振ります。目標件数も月ごとに置き直し、各月の予算が「その月の目標件数×許容獲得単価」に合うかを確かめます。

Google広告では、キャンペーンごとに1日の平均予算を設定します。月の予算から直すには、30.4(1か月の平均日数)で割ります。月30万円なら、30万円÷30.4=約9,870円です。日によって費用は増減しますが、ほとんどのキャンペーンでは、1日の費用は1日の平均予算の2倍、1か月の費用は1日の平均予算の30.4倍が上限とされています(Google 広告ヘルプ「1 日の平均予算について」)。ある日の費用が設定額を超えていても、それだけで異常とは言えません。月の合計で確認します。

増やすか減らすかの判断基準

判断の基準は、実際の獲得単価が許容獲得単価に収まっているかです。

  • 収まっていて、件数が目標に届いていない:増額を検討します。増やした分は成果から遠い人にも配信が広がり、獲得単価が上がることがあります。増額後の獲得単価を増額前と分けて確認します。
  • 超えている:減額の前に原因を確かめます。クリック単価が上がったのか、コンバージョン率が下がったのかで打ち手が変わります。原因の切り分け方はCPAが高い原因と下げ方で説明しています。
  • 件数が少なくて判断できない:仮に広告費10万円で成果が5件なら獲得単価は2万円ですが、4件なら2万5,000円、6件なら約1万6,700円です。1件の差でこれだけ動く件数では、良し悪しを決められません。期間を延ばして件数を集め、1件増減しても許容獲得単価をまたがない状態になってから判断します。

「どの状態になったら増やし、どの状態になったら止めるか」を配信の前に決めておくと、数字が悪い月に感覚で判断せずに済みます。決めておくのは、許容獲得単価、判断に使う期間、その期間で見る件数の3つです。

TMS Partnersに相談できること

TMS Partners株式会社は、京都市下京区(烏丸五条)のWebコンサルティング会社で、Google Partner認定を取得しています。Web広告運用では、KPI設計を含む戦略立案から、ターゲティング(広告を届ける相手の設定)、クリエイティブ(バナーや動画などの広告素材)の制作、費用対効果の改善、A/Bテスト(2つの案を出し分けて成果を比べる検証)まで一気通貫で対応しています。Webデザインから動画制作まで社内で行っているため、広告の運用とランディングページや素材の制作を一体で進められます。

費用は内容に応じてお見積もりします。「許容獲得単価をどう置けばよいか分からない」「代理店から提案された予算の前提を確かめたい」といった段階でも、無料でご相談いただけます。受注率や粗利など、この記事の計算表に入れる数字が分かる範囲でそろっていると、話が具体的に進みます。

まとめ

広告予算は「目標件数×許容獲得単価」で決めます。許容獲得単価は粗利から出し、クリック単価とコンバージョン率でその金額が現実的かを確かめます。ここまでが4つの手順です。売上に対する割合は、逆算で出した金額が払える範囲かを点検するために使います。配信後は実測値で計算し直し、許容獲得単価に収まっているかで増減を判断してください。

よくある質問

Q. Web広告の予算は最低いくら必要ですか?

一律の金額はありません。目安は「許容獲得単価×良し悪しを判断できるだけの件数(1件増減しても判断が変わらない件数)」です。許容獲得単価が2万円の商材で月に2〜3万円しか使わなければ、成果は0件か1件で、続けるべきかを判断できません。金額を増やせない場合は、媒体と配信地域を絞って1か所に集めてください。

Q. 広告費は売上の何%が適正ですか?

業種で決まる適正な割合はなく、自社の粗利率で上限が決まります。「粗利率−売上に対して残したい利益の割合」が、広告費に使える割合の上限です。粗利率40%で利益を20%残したいなら、上限は20%になります。

Q. 初めて広告を出すので、獲得単価もコンバージョン率も分かりません。どう決めればよいですか?

許容獲得単価は粗利から計算できるので、配信の実績がなくても決められます。分からないのは実際の獲得単価のほうです。最初の1〜2か月は実測値を集める期間と位置づけ、使う金額の上限を先に決めて配信します。得られたクリック単価とコンバージョン率を手順4の式に入れて、予算を組み直します。

Q. 代理店から提案された広告予算が妥当かは、どう確かめればよいですか?

その金額で見込む成果の件数と獲得単価、前提にしたクリック単価とコンバージョン率を聞いてください。件数の根拠が示されず、金額だけが提示されている場合は判断できません。あわせて、金額が手数料を含む総額かどうかを確認し、手数料込みの獲得単価が自社の許容獲得単価に収まるかを計算します。

この記事の投稿者
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京都のWebコンサルティング・制作会社TMS Partners株式会社のコラム編集部です。中小企業/個人事業主が取り組みやすいWebマーケティングや、SEO、Web広告、マーケティングオートメーションのknow-howをお届けします。